ロシアW杯のアジア最終予選が気になる。日本のグループBだけでなく、もうひとつのグループAも。

 ここまで8試合を終えて、イランが2大会連続5度目の出場を決めた。韓国、ウズベキスタン、中国、カタールというグループ内の顔ぶれを見れば、予選突破は妥当と言っていい。

 かつてJリーグの名古屋グランパスでも采配をふるったカルロス・ケイロスが率いるチームは、6勝2分の勝点20で首位をひた走っていった。8試合で8ゴールは物足りなさを抱かせるものの、失点が0(!)なのだ。

 イランが独走でロシア行きを決めた要因には、韓国のもたつきがある。

 U−20W杯の取材で韓国を訪れた際に、ウリ・シュティーリケ監督が率いるフル代表への不満と不安に触れた。2016年に行なわれた最終予選の5試合を3勝1分1敗で乗り切ったものの、韓国は3月23日の中国戦で敗れてしまう。5日後のシリア戦は1対0で勝利したが、シュティーリケ監督には「試合内容が乏しい」との批判が集まった。

 すでにこの時点で解任や更迭の二文字も浮上していたが、チームは6月13日のカタール戦を迎える。それまで1勝1分5敗の相手なら、勝ち点3をつかめるとの希望的観測もあったそうだ。

 ところが、シュティーリケ監督は期待を裏切ってしまう。最終戦で1分2敗と白星のないアウェイゲームで、またしても敗戦を喫したのだった。

 ここまで4勝1分3敗の勝点13は、4勝4敗で勝点12のウズベキスタンとわずか1ポイント差しかない。しかも、9月5日の最終戦はアウェイでの直接対決だ。W杯のストレートインが危ぶまれるなかで、韓国の強化担当者は難しい選択──残り2試合も監督を続投させるか否か──を迫られている。(※編集部注釈:シュティーリケ監督は6/15に解任)

 グループBを戦う日本は、韓国ほど追いつめられていない。

 6月13日のイラク戦は1対1のドローに終わったものの、勝点1をプラスして首位を守った。残り試合は勝点16で2位のサウジアラビア(ホーム)、同16で3位のオーストラリア(ホーム)との直接対決だ。シビアな対戦が待ち受けているものの、どちらかの1試合でも勝利すれば2位以内を確保できる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が統べるチームは、ロシアW杯をさらに引き寄せた。

 ならば、本大会で上位を狙える競争力を身につけつつあるのか。迷わずに首肯できない。

 ケガ人が絶えないとはいえ、システムや人選に揺らぎが生じていないか。ハリルホジッチ監督に求められているのは、やり繰り上手な采配ではない。ブラジルW杯の反省に基づいた、ロシアW杯で勝つためのチーム作りである。

 韓国が監督の解任を考えるのは、アジア予選突破後も見据えているからと聞く。だとすれば、日本のイラク戦は満足できるものでなかったはずだ。守備的にゲームを運びながら1対1のドローに終わった一戦が、明るい未来につながるとは思えないのである。