ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 天皇賞・春からの6週連続GI開催も先週の安田記念で終了し、競馬ファンの方々でもひと息つこうかという時期かもしれませんが、競馬はここからが面白くなってきます。

 まず、夏競馬になるとクラス再編成(年齢と収得賞金によるクラス〈=条件〉分け)が行なわれます。加えて、夏場の実績や、梅雨の時期には道悪の巧拙など、予想のファクターが増えるため、レースの読み応え、予想のしがいが増すのです。

 つまりその分、自らが考えていたとおり、思い描いたとおりにレースが決まったときには、何とも言えない爽快感を味わえます。ぜひ、夏競馬にも積極的にチャレンジしてみてください。

 さて今週、関東で行なわれる重賞は、エプソムC(6月11日/東京・芝1800m)です。例年、安田記念への出走が叶わなかった馬の参戦が多く、”残念・安田記念”といった位置づけにもなっているレースですね。

 今年のメンバーを見渡しても、そうした類(たぐ)いの馬が多く出走しています。アストラエンブレム(牡4歳)は、その筆頭と言える存在です。4歳馬ゆえクラス再編成の影響も大きく、安田記念には出走できなかったようです。

 そういう意味では、ここが再スタートと言えるでしょう。デビューから一貫してマイル戦を使われてきましたが、前々走で初めて1800m戦に出走。結果は、距離が延びてもきっちり折り合って、終(しま)いも32秒8の上がりをマークし、強烈な決め手を繰り出して快勝しました。

 再度、1800m戦となった前走のメイS(5月20日/東京)でも、2着に敗れはしましたが、上がりタイムは33秒1を記録。鋭い末脚を披露して、勝ち馬に際どく迫っています。今回も、その前走と同じコースで、同じ距離。好勝負が見込まれます。

 何より、昨夏から手綱を取っているミルコ・デムーロ騎手が、ずっと手放さずに乗り続けているのは、この馬の能力を買っているからでしょう。手の内に入れていますし、ますます期待が膨らみます。

 道悪経験が少ないため、雨が降ったときだけはどうなるかわかりませんが、最有力の1頭であることは間違いないでしょう。

 同じ明け4歳馬で、実績的にはアストラエンブレムをしのぐマイネルハニー(牡4歳)も、有力な1頭と言えそうです。

 確かに、前走・小倉大賞典(2月19日/小倉・芝1800m)の大敗(16着)は不可解なものがあります。しかし、本来あそこまで負けるような馬ではないので、何かしらトラブルがあったのでしょう。今回はあれから約4カ月、立て直しはできていると思います。

 東京コースも得意の舞台ですし、少なくとも前走のようなことはないでしょう。今度は、いい競馬を見せてくれると思うんですけどね。

 もう1頭、4歳馬ではタイセイサミット(牡4歳)にも可能性はありそうです。実際、前走のメイSでは先述のアストラエンブレムを破っていますからね。

 もともと、3歳春にはクラシックを目指していた素質馬。最終的にクラシック出走はなりませんでしたが、ここに来て、ようやくパンとしてきた感があります。勝つときは着差がわずかなので強いイメージを抱きにくいのですが、並んでから強いところがあり、そのしぶとさはなかなかのモノだと思います。

 今回の鞍上は、戸崎圭太騎手が務めます。昨年のエプソムC優勝騎手(ルージュバックに騎乗)で、ゲンのいいレースと言えます。期待以上の結果を残しても不思議ではありません。

 昨年の2着馬フルーキー(牡7歳)も人気になりそうです。ただ、この馬の場合は昨年ほどの勢いを感じません。年齢的なものか、今年の成績にも少し陰りを感じます。ならば、フレッシュな明け4歳勢のほうに魅力を感じますね。


人気薄ナスノセイカンの一発に期待 さて、このレースの「ヒモ穴馬」ですが、ここ数戦は不完全燃焼の競馬が続いているナスノセイカン(牡5歳)を取り上げたいと思います。

 前走のメイSでは6着。そのときの上位5頭がこのレースに出走しているので、明らかに格下に見えますが、その前走は究極の決め手勝負になってしまい、大外枠からの発走も仇になったように見えました。結果、伸び負けしただけで、内容としては悪くなかったと思います。

 そもそも、その前の日経賞(3月25日/中山・芝2500m)で厳しい競馬をしたあとで、おそらくメイSに向けては楽をさせたのではないでしょうか。その分、仕上がり的にも緩いところがあったと思います。1回使って、今回は終いの伸びも変わってくるでしょう。

 また、連続開催で使われてきた今の東京の馬場も、同馬にとってはプラスに働きそうです。昨秋のウェルカムS(2016年11月27日/東京・芝1800m)でも、開催終盤の馬場で見事な差し切り勝ちを収めていますからね。 スタート、折り合い、馬込みのさばきなど、多少注文はつくと思いますが、すべてが噛み合えば、一発あってもおかしくありません。

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