日常生活において、私たちに危険の存在などを伝える色のことを「警告色」といいます。この警告色には通常、人間の心理に働きかけやすい色が使用されますが、その具体例にはどのようなものがあるでしょうか。

 オトナンサー編集部では、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに、有名な警告色とそのメカニズムについて聞きました。

本能的に警戒する「黄色」「黒」

 花岡さんによると、警告色とは本来、主に有毒な動植物が持つ体色のことを指します。外敵に目立ちやすい色は「自分に手を出すと危険である」ことを伝え、捕食者を寄せつけない効果があるそう。「警告色を持つ生物に手を出し、毒や悪臭などによる不快な体験をすると、その記憶と体色が結びつきます。警告する側は体色を見せることで捕食者の攻撃意欲を低下させ、身の安全を守るのです」(花岡さん)。

 人間社会においても、あらゆる場所に警告色が応用されています。たとえば、工事現場や踏切は「黄色」と「黒」のしま模様によって危険区域であることを示します。黄色は「進出色」と呼ばれ、こちら側に飛び出しているように感じる色です。逆に黒は「後退色」で、ほかの色よりも奥側にあるように感じられます。

「黄色は人間の注意を引く性質を持つ色。単色でも十分目立ちますが、正反対の黒と組み合わせることで強いコントラストを生み、黄色をよりはっきりと認識させることができるのです」

 また、黄色と黒はスズメバチやアシナガバチなど、危険な生物の模様としてのイメージも強く、人間が本能的に警戒する色の組み合わせとして有効といいます。

危険度を示す「黄色」「赤」

「黄色」と「赤」も日常的によく目にする警告色の組み合わせです。

 たとえば、天気予報の「注意報」は黄色、「警報」には赤が使用されます。サッカーなどのスポーツで、反則があった場合は「イエローカード」で警告を、「レッドカード」で退場を表しますが、「黄色と赤は警戒レベルを直感的に判別できる組み合わせです。特に、赤は血をイメージさせ、危険を察知させるのに有効な色で、消火器や非常ボタン、緊急車両のランプなど異常や緊急事態を認識させる色として多用されています」。

 ところで、緊急時に欠かせない「非常口」が赤や黄色ではなく、「緑色」をしているのはなぜでしょうか。これは、非常口の色に赤や黄色を使うと火災時、赤い炎に紛れて見つけにくくなるため。「赤と正反対の関係にある緑色は炎の中でも目立ち、精神状態を穏やかにする効果もあるので、非常事態でも冷静さを失わない避難に役立つのです」。

(オトナンサー編集部)