お米といえば、古くから「研いで炊く」ものでしたが、その常識を大きく変えたのが「無洗米」。研がなくてもよい無洗米は、水を入れるだけで炊けるため、忙しい人にとても便利です。

 しかし、無洗米でも水に浸すと水が白く濁ることから、普通米と同じように研いでから炊いている人も多いのではないでしょうか。水が濁っていると、何だか不安な気持ちにもなってしまいます。

 オトナンサー編集部では今回、無洗米は本当に洗わなくてもよいのか、特定非営利活動法人全国無洗米協会の鈴木敬子さんに聞きました。

白いのは「ヌカ」ではなく「でんぷん」

 鈴木さんによると、何を「無洗米」とするかについて、国としての統一基準はないそう。その中にあって、同協会は日本唯一の審査機関として、規格をクリアした米にのみ認証マークをつけるなど、品質の管理と向上に努めています。チェック項目には「手で4〜5回研いだ米と同程度にヌカが除去されていること」「加工後、人手に触れずに袋詰めが行われること」などがあるそうです。

 実際、無洗米と普通米を比べると、無洗米の方が白くつややかに見えます。鈴木さんによると、普通米が黄色っぽく見えるのはヌカのせい。無洗米は表面のヌカがきれいに取り除かれて小さな凹凸面になっており、光が乱反射して白く見えるのだそうです。

 しかし、場合によっては、無洗米に水を加えると多少白く濁ることがあります。この濁りは気にしなくてもよいのでしょうか。「これはヌカではなく、米のでんぷんが水に溶けることと、水を入れた時に、細かい空気の泡が米の周りにつくことによる濁りであるため、そのまま炊いても問題ありません」(鈴木さん)。

 また、認証無洗米の味や栄養面のメリットには大きなものがあります。普通米は精米後、残っているヌカの中の脂肪分が酸化するため、日ごとに味が落ちますが「無洗米は米のうまみ層を傷つけず、ヌカだけを取り除いているため味が良く、おいしさが長持ちするのです。研がない無洗米は、水溶性のビタミンB1などの栄養価もキープできます」。

無洗米と普通米、経済面で比較すると…

 無洗米と普通米の価格を比較すると、無洗米は普通米と同程度か、やや高い印象です。しかし、以下を踏まえると、無洗米にはお得感もあります。

「たとえば、5キロ入りの米袋で比較した場合、普通米5キロには約0.15キロのヌカがついているため、研ぎ洗いすると実際に食べられる量は4.85キロほど。無洗米はヌカを除去して袋詰めしているため、食べられる量はそのまま5キロ。正味量でいうと、ロスの出ない無洗米の方が多く食べられるのです」

 無洗米は研ぐ必要がない分、水の節約にもつながります。鈴木さんによると、3カップ(約450グラム)のお米を研ぐのに使う水は約4.5リットル。1日3カップ炊くとすると、年間で2リットルのペットボトル828本分の水を節約できます。

 つまり無洗米には、手間が省けるだけでなく、味や栄養面、さらには経済面のメリットまであるようです。

(オトナンサー編集部)