今週末28日には東京競馬場にて”競馬の祭典”であり、牡馬クラシック第2弾となるGI日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。

 クラシック第1弾のGI皐月賞は1番人気の牝馬ファンディーナが7着に敗れ、9番人気アルアインがレースレコードとなる1分57秒8の好タイムで快勝。2番人気スワーヴリチャードは6着、3番人気カデナは9着という波乱の結果となり、日本ダービーの単勝人気順がどうなるかも掴みにくい状況だ。

 筆者がtwitterの投票機能で「日本ダービーの1番人気馬は何になると思いますか?」と、1.アルアイン、2.アドミラブル、3.スワーヴリチャード、4.その他の4択で問いかけたところ、アドミラブル(牡3歳・音無秀孝厩舎)が60%を超える支持を集めた。この数字の比率がそのまま反映されるとは限らないが、アドミラブルが1番人気に推される可能性は高そうだ。もし、1番人気となれば、GII青葉賞(東京・芝2400m)を勝った馬としては初のケースとなる。


青葉賞を好時計で快勝したアドミラブル。ダービーでも1番人気に!?
 重賞になってからの23回で、青葉賞勝ち馬は22頭が日本ダービーに出走。1994年エアダブリン、2002年シンボリクリスエス、2003年ゼンノロブロイ、2006年アドマイヤメイン、2011年ウインバリアシオン、2012年フェノーメノの6頭が2着に、2004年ハイアーゲーム1頭が3着に入っている。ハナ差の惜敗だったフェノーメノは後にGI天皇賞・春を連覇。シンボリクリスエス、ゼンノロブロイも後に年度代表馬に輝いたが、日本ダービーでは2着に敗れている。アドミラブルは23頭目にして初めて、このジンクスを破れるのだろうか。これまでの戦績を振り返ってみよう。


 アドミラブルは父が日本ダービーなどGI7勝のディープインパクト、母の父がGI4勝、日本ダービー2着のシンボリクリスエス。そして祖母の兄に日本ダービー勝ち馬フサイチコンコルドがいるという、クラシック血統。血統的に見れば、ダービーはピッタリの条件だ。

 昨年9月の阪神・芝1800m戦でデビュー。ムーヴザワールド、エアウィンザー、ナイトバナレットなどの評判馬が揃ったなか4番人気で出走したが、スタートダッシュがつかず後方からの競馬となり、9着と大敗を喫している。

 その後、ノドの手術のため約5ヵ月休養。復帰2戦目は3月5日、阪神の同じく芝1800m戦だった。レースは先行馬がペースを引っ張り、1000m通過が58秒5というハイペース。その流れにも助けられたが、中団から力強く伸び、2着馬に2馬身半差をつける完勝で、勝ちタイム1分45秒8は未勝利戦では破格の時計だった。

 続くアザレア賞(4月1日)は一気に距離が延びて阪神の芝2400m戦。前走と打って変わって1000m通過65秒0の超スローペース。しかし、それにもすんなり対応し、早めに抜け出して上がり3ハロンは33秒5の素晴らしい瞬発力を見せ、ゴール前では余裕十分のまま3馬身差をつける完勝だった。

 そして前走の青葉賞(4月29日/東京・芝2400m)。単勝1.5倍の圧倒的1番人気に推され、道中は最後方からレースを進めると、外を回って早めに進出。残り約400m地点で先頭に立つと、そのまま後続との差を広げて突き放す好内容だった。1000m通過は59秒7の平均ペースで、勝ちタイム2分23秒6は、青葉賞で初めて2分24秒を切るレースレコード。2015年ドゥラメンテのダービーレコード2分23秒2に0秒4差の好タイムだった。


 こうして復帰後3戦のレースを見ると、いずれも素晴らしい内容で、日本ダービーで1番人気になりそうなのも頷ける。単純に走破時計だけを見れば、例年のダービーで勝ち負けできるレベルにあるのだ。

 しかし、気になるのはローテーション。3月5日の復帰戦後、約2ヵ月の間に3戦を消化しており、未勝利戦も青葉賞も破格のタイムを出しているのだ。最近の競馬は1戦ごとの消耗が大きく、どんな馬でも、いかに余力を持って最大目標であるGI戦に臨むのが大きなテーマであることが多い。かつては秋の古馬戦線も、前哨戦(GII毎日王冠 またはGII京都大賞典)とGI3連戦(天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念)の計4戦を使うのが普通であったし、春の牡馬クラシック戦線も、皐月賞馬がNHK杯(かつてのダービートライアル、東京・芝2000m)などダービー前にもう1戦使うことはめずらしいことではなかったが、最近はそういった使い方をされる馬は少なくなってきている。

 とはいえ、同じように短期間で多くのレースに出走しながら、ダービーを勝った馬は近年でも存在する。2013年のキズナも3月3日のGII弥生賞(5着)、3月23日のGIII毎日杯(1着)、5月4日のGII京都新聞杯(1着)と、アドミラブルと同じようなレース間隔で使われていた。しかし、キズナは毎日杯を勝って既に日本ダービーに出走する賞金は足りていたので、京都新聞杯は余裕の仕上げで出走させることができた。アドミラブルは青葉賞で2着に入らなければ、日本ダービーの出走が危うかったので、ある程度仕上げていたはずだ。


 また、使われてきたレースの違いもある。キズナの場合、年末のGIIIラジオNIKKEI杯2歳Sでエピファネイアに0秒1差の3着、弥生賞でカミノタサハラに0秒1差の5着と、後の皐月賞好走馬を相手に差のない競馬を見せており、すでにトップクラスの実力が認められていた。アドミラブルはここ3戦のレースぶりで評価は高まっているが、皐月賞上位馬と走って同様の競馬ができるかどうかはまだわからない。

 競馬、それもクラシックレースにおいて、「強い相手と戦った経験」というのは大事なことで、皐月賞のファンディーナも、この部分が足りなかったことが敗因のひとつと言えるだろう。 アドミラブルは今回の出走馬相手に勝てる実力を持っているとは思うが、筆者は今回勝ち負けするのは難しいという見解だ。ただ、厳しいローテーションで臨んできた今回、克服して勝ち負けするようなことがあれば、歴史に残る名馬へと成長していくことだろう。

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