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▽『RISE 117』
20日 後楽園ホール
観衆 1,758人(超満員札止め)

 全国がボクシングに沸いた土曜の夜、東京・後楽園ホールはキックボクシング熱で溢れかえっていた。チケットは前売り券完売、当日若干数発売された立見券もあっという間に売り切れ。オープニングファイト2試合を終えて、本戦がはじまる18時には、指定席はもちろん、南側最上部と東西バルコニーの立見エリアがギッシリと埋まり、日中夏日を記録した外の気温を遥かに超える暑さが充満。Tシャツやタオルなど、ファンが身につけているグッズの大半は“天心グッズ”。“神童”那須川天心が一人で後楽園ホールを埋めてしまったと言っても過言ではない。

 また今大会では、“天心需要”で集まった超満員のファンの前で名前を売ろうと、他の出場選手の気迫も凄まじいものがあった。

 後半戦最初の試合に出場した、ハニかむ笑顔と闘う姿のギャップをフォーカスした煽り映像でインパクトを残した“ハニカミクラッシャー”優吾・FLYSKYGYM(FLYSKYGYM)は、同階級である“天心の対抗馬”として関係者が期待している注目選手。この日はWMC日本バンタム級王者の知花デビット(エイワスポーツジム)を相手に、大苦戦の末判定勝ち。デビットのレッドカード2枚がなければ危ない試合内容に「負けたと思った」という優吾は、コメントブースに現れるとひと筋の悔し涙を流した。「満員のお客さんに飲まれたことはないです。ただ相手がチャンピオンだということを意識し過ぎたのかもしれません。反省点と課題が見えた試合でしたが、結果的に勝ててホッとしています」とぬいぐるみを抱えながら話すと、少し落ちついたのか持ち前のハニカミ笑顔を取り戻していた。人気が出る要素を備えているだけに、近い目標としている天心戦が実現すればブレイクするかもしれない。

 試合内容という意味で今大会のベストバウトは、セミファイナルで行われた、森本“狂犬”義久(BRING IT ONパラエストラ葛西)と工藤政英(新宿レフティージム)のフェザー級マッチ。両選手は1Rから3Rまでほぼノンストップの打ち合いでファンを大熱狂させる。判定の結果はジャッジ1人が森本、その他の2人がドローだったため、1Rの延長戦へ。この延長ラウンドでも3分間2人の動きは止まらず、試合終了を告げるゴングが鳴ると、2人は抱き合うように同時にマットに倒れた。大きな拍手に包まれる中、再度行われた判定はジャッジ全員がドロー裁定。勝敗をつけられないという言葉がこんなに当てはまる試合もない。試合後、両選手ともに「楽しかった」とコメントしていたが、再戦への意欲も忘れなかった。“天心目当て”で超満員になった後楽園ホールで、このカードが残したインパクトは、RISEマットにとっても、キック界にとっても大きいのではないだろうか。

 こうして今大会のバトンはいろんな選手の手にわたりながら、最高の形でメインの那須川天心に渡された。

 すっかり定着した入場テーマ曲「止まらないHa〜Ha」(矢沢永吉)に乗って、天心が南側の最上部に現れると、場内は真っ赤な天心タオルを掲げるファンが大歓声で出迎えた。エプロンにあがり、振り向いて客席を見渡す姿は、天心が大ファンである新日本プロレスのオカダ・カズチカ(IWGPヘビー級王者)と通じるオーラがあった。父、弘幸氏には「まだまだだ。もっと入場に力を入れろ」と口酸っぱく言われているそうだが、RIZINマットで、さいたまスーパーアリーナや、横浜アリーナといった大会場を経験したことで、入場だけでも満足できる選手に成長したのは間違いない。

 世界タイトル初防衛戦の相手ライアン・シェーハンの戦績は20勝(7KO)4敗1分。19歳と、18歳の天心と年齢も近いヨーロッパムエタイ界のトップ選手。昨年5月に新日本キックボクシングに初来日した際には、ISKAムエタイ世界バンタム級王者の志朗と対戦。ヒジ打ち、ヒザ蹴りで志朗を苦しめ、ドローに持ち込んでいる強豪だ。