上半期の”女王”を決めるGIヴィクトリアマイル(5月14日/東京・芝1600m)。今年はメンバー最上位の実績を誇り、前哨戦のGII阪神牝馬S(4月8日/阪神・芝1600m)も好内容で制したミッキークイーン(牝5歳)が、頭ひとつ抜けた存在となっている。

 ミッキークイーンは、メンバー唯一のGI2勝馬。昨年のヴィクトリアマイルは前哨戦、そして本番と連続2着に終わったが、今年は万全の態勢を整えており、馬群に沈むことは想像しにくい。

 こうなると、波乱を期待するのは難しそうだが、ヴィクトリアマイルと言えば「荒れるGI」である。実際、10番人気以下の勝利は過去10年で2度もあり(2007年=12番人気コイウタ、2014年=11番人気ヴィルシーナ)、2、3着にもふた桁人気の馬が飛び込んでくるケースが多い。

 ならば、狙うは”穴馬券”である。過去10年で激走した伏兵馬をピックアップし、今年一発が期待できそうな穴馬を探してみたい。

 まず、過去10年で波乱を演じた勝ち馬を見てみると、低人気だったことが不思議に思うほどの実績馬が多い。つまり、伏兵の評価ではあったが、実績的には十分なものを持っていた馬である。

 その象徴と言えるのが、過去にこのレースを連覇したヴィルシーナとストレイトガールだ。

 ヴィルシーナは2013年に1番人気で制しながら、翌2014年には11番人気の低評価だった。しかし、それを覆(くつがえ)して連覇を飾った。2015年に5番人気でこのレースを制したストレイトガールも、翌年には7番人気と評価を落としたものの、連覇を果たした。

 また、2012年の覇者ホエールキャプチャ(4番人気)も、翌2013年には12番人気と大きく評価を落としたが、2着に入っている。

 ここからわかることは、前年に好走したリピーターが強いということ。そしてもうひとつ、実力のあるGI馬が近走の不調で人気を落としながらも、ここで復活するケースが多いということだ。

 そもそも好不調の波が激しい牝馬。近走の成績が芳しくなくても、そのときの状態や条件によって、一変する余地は常に秘めているのだ。

 そこで今回期待したいのが、クイーンズリング(牝5歳)である。

 昨年のGIエリザベス女王杯(2016年11月13日/京都・芝2200m)を制した同馬は、このメンバーの中でも実績上位。ただ、その後のGI香港カップ(2016年12月11日/香港・芝2000m)で9着と惨敗すると、休み明けで挑んだ前走の阪神牝馬Sでは15着と大敗を喫した。

 そうした状況にあって、さすがに同馬に対する評価は急降下。だが、そんな馬が復調し、大駆けを見せるのがこの舞台である。

 例えば、先述のストレイトガールも、連覇を果たす前はGI香港スプリント(香港・芝1200m)で9着、そして阪神牝馬Sでも9着と惨敗。連覇への期待はかなり薄れていたが、ここでよみがえった。

 今回、同じような臨戦過程で臨むクイーンズリング。ストレイトガールの再現があってもおかしくない。 

 続いて、過去のレースで目につくのは、前走で重賞勝ちを収めながら、人気の上がらなかった馬の好走例だ。

 2009年に2着と健闘したブラボーデイジーは、前走のGIII福島牝馬S(福島・芝1800m)を勝っていながら11番人気だった。2015年に2着に入ったケイアイエレガントも、前走でGIII京都牝馬S(京都・芝1600m)を快勝していたが、12番人気と軽視されていた。

 おかげで、2009年は断然人気のウオッカが勝利したものの、2着ブラボーデイジーとの馬連は5310円の高配当となった。2015年はさらにすごくて、1着ストレイトガール(5番人気)と2着ケイアイエレガントとの馬連は配当3万6880円という超万馬券となった。

 レースの格やメンバーのレベルにかかわらず、前走で重賞を勝っている馬には十分チャンスがあると言える。

 ここで浮かび上がるのは、ウキヨノカゼ(牝7歳)だ。

 同馬は、前走の福島牝馬S(4月22日)を勝利。キャリア3つ目の重賞タイトルを手にしたが、同レースのメンバーレベルを疑問視する声もあり、GIの舞台となる今回はそれほど人気が上がりそうにない。

 だが、ブラボーデイジーやケイアイエレガントの例を見れば明らかなように、重賞勝ち馬を無視するのは禁物。ウキヨノカゼが善戦する可能性は大いにあるはずだ。

 ちなみに、このパターンの馬が2着に好走した場合、3着にも伏兵馬が突っ込んでくる確率が高い。2009年には7番人気のショウナンラノビアが3着となり、3連単は8万580円の高配当となった。そして、2015年には3着にも18番人気のミナレットが入って、3連単は2070万5810円というGI史上最高配当がついた。

 さて、ここまで2頭の伏兵候補を挙げてきたが、それでもふた桁人気になるほどの低評価にはならないだろう。そこで、より大きな穴を狙いたい人のために、再度過去の結果を見返してみると、1400m以下を主戦とした馬の好走が目立つ。

 わかりやすいのは、連覇を飾ったストレイトガール。同馬は、GIスプリンターズS(中山・芝1200m)の覇者でもあり、1200mのスプリント戦が主戦場だった。また、2008年の勝ち馬エイジアンウインズも、1400mまでのレース経験しかなかったものの、初のマイル戦であのウオッカを下した。

 つまり、ヴィクトリアマイルはスピード自慢の”スプリンター”でも通用する舞台と言えるのではないか。

 かつて、東京のマイル戦と言えば「スタミナが必要」と言われていたが、もはやそうとも言い切れないのかもしれない。第一、ここ最近の同レースの勝ちタイムは1分31秒台が連発するなど、非常に速い。それは、この時期特有の軽いスピード馬場が影響していて、結果、スタミナがなくてもスピードに秀でていれば押し切れてしまうのだろう。


大穴を狙うなら、ソルヴェイグがオススメ となれば、今年も自然とスプリンターの好走に期待したくなる。オススメしたいのは、ソルヴェイグ(牝4歳)だ。

 昨年のGIスプリンターズS(2016年10月2日/中山・芝1200m)で、3歳牝馬ながら3着入線を果たしたスピード巧者。しばらく勝ち星からは遠ざかっているが、スプリントの一線級相手に奮闘を繰り返している。

 距離不安もあって人気は急落しているが、乾いた馬場で、スタミナを要さないスピード勝負となれば、この馬にも出番はある。一発あっても不思議ではない。 ひと筋縄ではいかないレースゆえ、またもスタンドのファンが驚愕する結末を迎えることになるのか。およそ1分半で決着する熾烈な女王争いから目が離せない。

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