GWでも仕事をしていないと不安… それは「連休恐怖症」かも

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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ

ゴールデンウィークにシルバーウィークと、最近ではまとまった休日が以前より増えてきて、遊び好きにとっては何よりも楽しみなところです。

ところが中には、そんな楽しいはずの連休を“憂うつだ”と感じている人もいます。

それは「連休恐怖症」の仕業かも。

あなたは理解できますか?

連休恐怖症とは?

休日に家でのんびりしているとイライラしてしまい、やり残した仕事のことばかりが頭をよぎる。


よくあることでしょうが、ここまでは正常の範囲でしょう。

しかし、「会社から急な連絡が入った」などと家族にウソをついて会社に出かけるようになると危険です。

さらに、会社が閉まっていれば、会社の周辺をうろうろ。会社の近くの喫茶店で時間をつぶすことも・・・。

“家にいると退屈”というだけならよいのです。

しかし不安な感情が抑えられず、「連休が怖い」とさえ感じ、用事もないのに会社にまで来てしまうとなると、「連休恐怖」も病的な様相をていしてきます。

それが、連休恐怖症」です。

ただし、精神医学的な専門用語ではありません。

勤勉さに縛られている?

日本人には勤勉な人が多く、「趣味は仕事です」と大真面目に答える人も少なくありません。

とくに高度経済成長期を支えた世代には、そのような仕事人間が多いといわれます。

それでは、若い世代なら大丈夫かというとそうともいえません。

休日も頭の中は仕事のことばかり、連休でも心身ともにリフレッシュできないという若年層も少なからずいるようです。

ワーカーホリック(仕事中毒)

1970年代にアメリカ人の作家オーツによってつくられた造語「ワーカーホリック」。

仕事(work)とアルコール中毒(alcoholic)をもじった造語です。

家庭や自分の健康をなおざりにしてまで、仕事をやりすぎる状態を指している、当時、注目された用語でした。

こういった人たちの特徴として、以下のことが挙げられていました。

・仕事から離れることに罪悪感や不安を強く感じる
・残業や休日出勤にはげむ
・長時間労を行うだけでなく、家に仕事を持ち帰る
・仕事を他人に任せられない
・仕事以外にすることがないと感じている

日本ではとくに高度経済成長期に、人生が仕事だけに彩られ、滅私奉公に励む企業戦士のイメージと、ワーカーホリックとが重ね合わされました。

当時、企業戦士といえばポジティブ、ワーカーホリックというとネガティブと、表裏一体のイメージがあったということです。

連休恐怖症の人は、現代版ワーカーホリックともいうことができるでしょう。

連休恐怖:アソビがないこと

連休恐怖症に陥ってしまうのは、仕事以外に熱中できる対象を持っていないことに起因するでしょう。

もちろん本人だけでなく、仕事が忙し過ぎて趣味が持てない、ゆとりがないといった、本人以外の要因に起因するところもあるでしょう。

もともと心理学的には、仕事は「何らかの手段的行為」、あそびは「その行為自体が目的となる行為」と定義づけられています。

たとえば、野球が仕事の人は、報酬を得るとか、社会的に高い地位を目指すといった、野球が目的のための手段になっています。

それにたいして、遊びとしての野球は、野球をすること自体が目的(楽しみ)となっています。

こうした視点からいえば、連休恐怖症の人には、仕事という「手段的」なかかわり方しかできない、つまり、何かを「遊びごごろ」ですることができない、という生真面目さが、背景にあるのかもしれません。

趣味を持とう、遊びを覚えよう

連休を楽しめない人、仕事をしていた方が気楽という人、今からでも遅くはありません。

休日を楽しめる趣味やボランティアなどの社会活動を始めましょう。

仕事以外の楽しみを見つけることをお勧めします。そのことで、仕事にも幅ができてくるかもしれません。

また、仕事以外の人生も充実することでしょう。

今や、ワークライフバランスは、現代人共通の課題なのかもしれません。

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供