今週末7日には東京競馬場にて、3歳馬のマイル王決定戦となるGI NHKマイルカップ(芝1600m)が行なわれる。このレースは通算22回目と、JRAのGIの中では歴史が浅い。かつては外国産馬がGI日本ダービーなどクラシックレースに出走できず、3歳春に出走できるGIがなかったことなどから創設されたレースであり、第1回(1996年)のタイキフォーチュンから6年は外国産馬が優勝している。その後はサンデーサイレンス系の発展など内国産馬の地力強化により、昨年まで15年連続で内国産馬が優勝しており、外国産馬の連対はわずか2頭となっている。

 また、GI桜花賞出走組がGIオークスでなく、ここに出走してくるケースも多い。牡馬クラシックのGI皐月賞(中山・芝2000m)→GI日本ダービー(東京・芝2400m)の400m差に比べ、牝馬の桜花賞(阪神・芝1600m)→オークス(東京・芝2400m)は距離延長が800mと大きいため、混合戦で相手強化となるものの、距離延長に不安のある馬たちがここに矛先を向けてくるケースもあるからだ。昨年も4頭の牝馬が出走していた。

 過去21回の歴史の中で、牝馬は計38頭が出走し、4勝、2着2回、3着4回という成績が残っている。決して高い数字ではなく”牝馬だから買い”というわけではないが、今年は例年以上に3歳牝馬のレベルが高いと見られており、牡馬勢は皐月賞の上位組も出走しておらず、チャンスは小さくないだろう。


NHKマイルCに牝馬が4頭出走! 中でも人気が予想されるカラクレナイ


 まずは、過去に好走した牝馬をチェックしてみよう。勝ったのは97年シーキングザパール(1番人気)、05年ラインクラフト(2番人気)、07年ピンクカメオ(17番人気)、16年メジャーエンブレム(1番人気)の4頭。ピンクカメオ以外はいずれも人気を集めていた馬で、その3頭は重賞(うち2頭がGI)を勝っていた。

 2着馬は05年デアリングハート(10番人気)、15年アルビアーノ(4番人気)の2頭。デアリングハートは人気薄だが前走の桜花賞は3着で、アルビアーノは無傷の3連勝でGIIIフラワーCを勝利していた。

 さらに3着馬は98年スギノキューティー(5番人気)、99年レッドチリペッパー(3番人気)、01年サマーキャンドル(12番人気)、09年グランプリエンゼル(13番人気)と4頭いるが、人気や格にかかわらず前走は3着以内だった。つまり、このレースで馬券に絡む牝馬は前走成績が特に重要のようだ。

 ただ、今年は牝馬の出走が4頭(登録は7頭)で、重賞勝ち馬はカラクレナイ、ミスエルテ、リエノテソーロの3頭。前走3着以内は出走馬の中にはいない。過去の牝馬の好走データがうまく当てはまらないが、それにとらわれすぎず柔軟に対応していこう。

 最も人気を集めそうなのはカラクレナイ(牝3歳・松下武士厩舎)だろう。3月に約3カ月ぶりのGIIフィリーズレビュー(3月12日/阪神・芝1400m)を勝利し、前走の桜花賞(4月9日)では0秒2差の4着。後方から鋭く脚を伸ばす好内容だった。


 父は皐月賞、GI安田記念、GI朝日杯フューチュリティSを勝ったロゴタイプと同じローエングリンで、祖母は前述した99年3着馬レッドチリペッパー。母の父アグネスタキオンは、06年ロジック、08年ディープスカイと、このレースの勝ち馬を2頭も出している。まさにNHKマイルC向きの血統構成で実力も兼ね備えており、有力な存在だ。追い込みが決まるハイペースの展開が望ましい。

 アエロリット(牝3歳・菊沢隆徳厩舎)は桜花賞5着馬。4角14番手という後方追走から末脚を伸ばし、カラクレナイとはクビ差だった。この馬は東京・芝1400mの新馬戦(2016年6月19日)を勝利し、サフラン賞(2016年10月2日/中山・芝1600m)、GIIIフェアリーS(1月8日/中山・芝1600m)、GIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)と3戦連続2着。中でもクイーンCは4角3番手から、勝ったアドマイヤミヤビのクビ差2着に健闘する好内容だった。
同じコースで結果を残しているのは心強い。

 父クロフネは2001年の勝ち馬で、父としても2015年の勝ち馬クラリティスカイを出している。いとこには2014年の勝ち馬ミッキーアイル(父ディープインパクト)がおり、こちらも血統的に、このレースがピッタリだ。

 ミスエルテ(牝3歳・池江泰寿厩舎)は桜花賞で5番人気11着だった。大敗からの巻き返しは難しいというデータが残っているが、同馬は桜花賞が約4ヵ月ぶりの一戦だったので、叩いての上積みが期待される。昨年のGIIIファンタジーS(2016年11月5日/京都・芝1400m)では大外一気の豪快な差し切り勝ちを見せており、末脚の破壊力はトップクラス。昨年暮れのGI朝日杯フューチュリティS(2016年12月18日/阪神・芝1600m)では牡馬相手に、道中折り合いを欠き6番手追走と、いつもとは違う競馬になりながらも4着に頑張っており、改めて能力の高さを示した。

 父は昨年のGI阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったソウルスターリングと同じフランケルで、イギリスのGI10勝を含む14戦14勝の名馬。現3歳が初年度産駒となる。NHKマイルCの前日(日本時間6日深夜)に、イギリスで日本の皐月賞にあたるGI英2000ギニー(芝約1600m)が行なわれ、そこにもフランケル産駒のエミネント(英GIIIクレイヴァンS勝ち)、ドリームキャッスル(英GIIIグリーナムS2着)と2頭の有力馬が出走予定。血統の流行り廃(すた)りは結構、国を超えてあるもので、そこで勝ち馬が出るようだったら、その流れで日本でもフランケル産駒のミスエルテが激走というシーンがあるかもしれない。英2000ギニーにも目を配っておきたい。

 リエノテソーロ(牝3歳・武井亮厩舎)は昨年のJpnI全日本2歳優駿(2016年12月14日/川崎・ダート1600m)勝ち馬。芝でも昨年9月のすずらん賞(2016年9月4日/札幌・芝1200m)など2勝を挙げている。前走のアネモネS(3月11日/中山・芝1600m)で4着に敗れてデビューからの連勝は4でストップしたが、プラス10kgと余裕残しの馬体重で、スムーズに好位を追走し、勝ち馬から0秒2差に食い下がった内容は、距離にもメドが立ち、それ自体は悪くなかった。父スペイツタウンの産駒はダートの短距離タイプが多いが、本馬はその枠にとらわれない存在かもしれない。軽視は禁物だ。

 以上、4頭の牝馬を紹介したが、どれも買い材料を持っており、中でもカラクレナイとアエロリットは好走の確率が高そうだ。2005年以来となる牝馬によるワンツーフィニッシュがあっても不思議ではない。

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