4月16日に開催されるGI皐月賞(中山・芝2000m)。今年の3歳世代は、大物感漂う馬がそろって「ハイレベル」と謳(うた)われる牝馬勢に対し、牡馬はやや小粒な印象が拭えず、「低レベル」との声も聞かれる。

 皐月賞では、それを象徴するかのような事態が起こった。牝馬のファンディーナ参戦である。

 ファンディーナは、ここまで3戦3勝。すべてが圧勝であり、たとえ牡馬が相手でも「この馬なら……」という夢を抱かせる存在だ。ただ陣営としては、やはり今年の3歳牡馬勢のレベルがそれほど高くない、という算段もあったのではないだろうか。

 実際のレベルがどうかはこれから判明するとして、少なくとも現時点では、牝馬のレベルが高く、牡馬のレベルが低いというのが、今年の3歳世代の一般的な評価となっている。

 では、今年と似たような状況にあったとき、過去の皐月賞ではどんな結末になったのだろうか。そんな年を振り返りつつ、今年の馬券検討に生かしてみたい。

 過去10年において、牝馬のレベルが高く、牡馬のレベルが低いと言われた年は、2例ほど思い浮かぶ。2007年と2014年だ。

 2007年は、ウオッカとダイワスカーレットが3歳牝馬戦線の主役を務めた年。しかもウオッカは、GI日本ダービー(東京・芝2400m)に挑戦し、牝馬として64年ぶりの戴冠を決めた。このダービー制覇が、まさに世代における牡牝のレベルを示したと言えよう。

 2014年は、3歳牝馬のハープスターが大きな注目を集めた年。この世代の2歳重賞では牝馬がことごとく勝利を収めたこともあって、ハープスターのダービー挑戦も度々噂に上った。事実、この年の牡馬クラシックでは、皐月賞にバウンスシャッセ、ダービーにレッドリヴェールと、牝馬の”挑戦”が相次いだ。いずれも結果は惨敗に終わったが、やはり牡牝のレベル比較が根底にあって起こった現象だろう。

 では、それらの年の皐月賞はどうなったのか。

 まず2007年については、大波乱の結果となった。勝ったのは、7番人気のヴィクトリー。2着には15番人気のサンツェッペリンが入った。2頭は、道中1、2番手を進み、そのままゴールまで先頭争いを繰り広げた。まさしく”行った、行った”の大番狂わせである。

 2014年は、2番人気のイスラボニータが優勝し、2着には1番人気のトゥザワールドが入った。ここまでは順当だったが、3着には8番人気の穴馬ウインフルブルームが食い込んだ。こちらも、逃げてそのまま粘り込んで波乱を演出した。

 いずれの年も低人気を覆(くつがえ)したのは、強気に前へ行った先行馬だった。であれば、今年もチャンスがあるのは、そのような馬ではないか。

 そこで、気になるのは先行馬と言えるファンディーナ。ただ、牡馬相手に初めての2000m戦ということを考えれば、決して無理はしないはず。前に行くとしても3、4番手で、折り合い重視のレースに専念するのではないだろうか。

 そう想定すると、穴として狙うなら、それよりも前に行きそうな馬だ。まず浮かぶのは、アダムバローズである。

 同馬は、若駒S(1月21日/京都・芝2000m)、若葉S(3月18日/阪神・芝2000m)と、オープン特別を連勝中。若駒Sは逃げ切り、若葉Sでは2番手の先行策で勝利をモノにした。しかし、相手のレベルが低いと見られており、人気は上がりそうにない。今回もマークは緩いとみる。

 2007年のヴィクトリーは、若葉Sを先行策で勝って、そのまま皐月賞を制した。また、ウインフルブルームも若葉S2着からの臨戦過程だった。過去に波乱を起こした馬たちと似たパターンというのも、心強い材料となる。

 先行馬としてもう1頭面白いのは、GIII毎日杯(3月25日/阪神・芝1800m)を勝って挑むアルアインだ。


先行した毎日杯を快勝し、皐月賞に挑むアルアイン こちらは、デビューから3戦目までは差しのスタイルを一貫してきたが、毎日杯では一転して先行策へ。道中2、3番手から、直線で早めに先頭に立って、そのまま押し切った。

 先行スタイルに舵を切って重賞制覇を飾っただけに、皐月賞でも同じ形を狙うだろう。要注意の存在だ。

 最後に、超大穴を狙う方にオススメしたい1頭がいる。クリンチャーである。

 今年1月のデビュー戦では、中団待機から12着と大敗したが、続く3歳未勝利(1月28日/京都・芝2000m)で逃げの手に出ると、3馬身差の快勝を決めた。そして、前走のすみれS(2月26日/阪神・芝2200m)では、2、3番手を進んで4馬身差の圧勝劇を披露。先行策に出て、花開いた1頭だ。

 初戦で惨敗している分、先述2頭よりもさらに人気薄。皐月賞でもあっと驚く先行押し切りを見せてもおかしくない。狙ってみる価値はある。

 ここに挙げた3頭は、それぞれ先行策を好むものの、先手を取らなければダメなタイプではない。お互いにハナを奪い合って消耗し合うことは考えにくく、すんなり隊列は決まるだろう。なおかつ、これら3頭のあとにつけるファンディーナに対して、後方の有力馬が気を取られれば……3頭のうち1頭、いや2頭がそのまま粘り込む可能性は大いにあるのではないか。 牝馬の参戦に沸く皐月賞。桜花賞同様、大波乱があっても不思議ではない。

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