2017年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第4弾)

 牡馬クラシック第1弾の皐月賞(中山・芝2000m)が4月16日に開催される。

 その前哨戦となる、GIIスプリングS(3月19日/中山・芝1800m)、オープン特別の若葉S(3月18日/阪神・芝2000m)、GIII毎日杯(3月25日/阪神・芝1800m)の3レースでは、スプリングSに臨んだ2歳王者のサトノアレス(牡3歳/父ディープインパクト)をはじめ、1番人気の馬がことごとく敗戦。牡馬クラシック戦線はますます混迷の色を深め、やや物足りないムードに包まれつつあった。


牝馬ながら皐月賞へ果敢に挑むファンディーナ そこへ、強烈な”スパイス”が投入された。デビュー3連勝でGIIIフラワーC(3月20日/中山・芝1800m)を圧勝したファンディーナ(牝3歳/父ディープインパクト)の皐月賞参戦表明である。これで、ハイレベルな牝馬クラシック同様、皐月賞への注目度も一気に高まった。

 これらの結果を受けて、皐月賞を目前に控えた3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独自なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。



 1位は、スワーヴリチャード(牡3歳/父ハーツクライ)。ランキング全体を見てもわかるとおり、今回は上位馬のポイントが軒並み下がった。これは、一長一短ある上位馬への信頼の薄さの表れだろう。結果、各選者のランキング対象馬がバラつき、上位、下位のポイント差も一気に縮まった。そんな中にあって、出世レースとされるGIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)から皐月賞へ向かう同馬は、前回比2ポイント減にとどめ、首位の座を死守した。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「デビュー前から四位洋文騎手の評価は高く、デビュー時からテーマを持って競馬を教え込んできた好素材。新馬戦こそ取りこぼしましたが、そのつど課題を見つけて対策を練ってきたことで、確実に馬は進歩してきました。その集大成が、共同通信杯の勝利につながった、と見ていいでしょう。

 発馬を何とか五分に出て、馬込みで我慢し、直線では一瞬の脚を生かすため、できるだけ追い出しを遅らせるのが、同馬の作戦であり、勝ちパターン。基本的にはここ2戦で東京コースを使っていることから、ダービー(5月28日/東京・芝2400m)を目標にして、そこから逆算したローテーションという感はあります。それでも、共同通信杯のときと同じく、発馬をうまく決めれば、皐月賞でも十分に勝ち負けできると思います。世代屈指の切れ味で、戴冠に一番近い存在です」

土屋真光氏(フリーライター)
「これ、という馬がいないため、押し出されての1位評価という感もありますが、共同通信杯での人気を背負っての勝ちっぷりから、課題らしい課題も見つからず、今のところ頭ひとつ抜けている印象があります。コース適性という点で、皐月賞では注文がつくかもしれませんが、懸念されるのはその程度。勝てないとしても不甲斐ない競馬はしないでしょうし、高いレベルで計算の立つ1頭だと思います」



 2位は、カデナ(牡3歳/父ディープインパクト)。本番と同じ舞台のGII弥生賞(3月5日/中山・芝2000m)を勝って、クラシックでの戴冠を狙う。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「弥生賞の、ものすごく遅い時計、最後の瞬発力勝負という展開は、間違いなくこの馬に向いたと思いますが、これまでのレースぶりから、速い流れになっても最後の脚は使えるはず。陣営がダービーをかなり意識しているので、皐月賞への本気度はどれほどなのかわかりませんが、弥生賞でもまだ余裕を残した仕上げだったので、意外に底は知れません」

本誌競馬班
「重賞を2連勝。その実績を素直に評価したいと思います」

 3位には、レイデオロ(牡3歳/父キングカメハメハ)と、サトノアーサー(牡3歳/父ディープインパクト)が入った。レイデオロは、昨年末のGIIホープフルS(2016年12月25日/中山・芝2000m)から、皐月賞へぶっつけで臨むことが懸念されてか、前回から6ポイントもダウン。サトノアーサーは、一度は圏外に落ちたものの、強力な新勢力の台頭がなく、再びランクインを果たした。

木南氏
「レイデオロは皐月賞へ直行となりましたが、帰厩したあとも順調に調整できています。立ち姿は決して凄みのある馬体というわけではないのですが、歩き方や、軽いキャンターを見ていると、運動神経の高さを感じさせます。ぶっつけの皐月賞でも何の不安もない様子。ルメール騎手が引き続き乗れるというのも大きいですね。また、中山の馬場がかなり傷んできて、差しが決まる印象なのは、この馬にとっても歓迎でしょう」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「サトノアーサーはGIII毎日杯で2着に敗れましたが、勝ったアルアイン(牡3歳/父ディープインパクト)とは通ったコースの違い。距離ロスが大きいことから、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)ではサトノアーサーのほうが上回る形となりました。上がりは、メンバー最速の33秒3。アルアインを半馬身捕らえ切れなかったことに物足りなさは残りますが、将来性を感じさせる一戦だったと思います。皐月賞はパスしてダービーへ直行するという話なので、今後が注目されます」

吉田氏
「レイデオロは、ノーズバンドやチェーンシャンクという頭を上げたり、口を開けたりするのを防ぐ馬具を使用しています。パドックでの神経質な仕草からも、精神的な部分に不安を抱えています。また、まだ得意のペースでしか競馬をしていない印象があって、レースのレベル自体にも疑問があります。それでも、負けていないことは事実。現状では馬込みも問題なく、折り合いもスムーズゆえ、最後に上質な瞬発力が生み出せています。今年のメンバーなら、十分に楽しめそうです。

 毎日杯(2着)に臨んだサトノアーサーは、前走からやや間隔が詰まっていた分、パドックや返し馬でもテンションが高かったですね。そのため、レースでは折り合いを重視して前に出していけず、しんがりからの競馬となりました。結果的に、イレ込みとレースでの折り合い面という課題が浮き彫りになってしまいました。ダービーでは、当日のイレ込み次第。あとは、長距離輸送となる関東遠征をうまくクリアできれば、他馬をまとめて面倒見るだけの決め手は持っています」

 5位も2頭。GI朝日杯フューチュリティS(12月18日/阪神・芝1600m)を制した2歳王者のサトノアレスと、そのサトノアレスを退けてスプリングSを勝ったウインブライト(牡3歳/父ステイゴールド)である。

市丸氏
「サトノアレスは、朝日杯での指数をそのまま残した形での評価。スプリングSは出遅れて、4角を迎えてようやく最後方から伸びかけました。直線半ばでは2着はあるかと思ったのですが、そこから逆に内の馬に差し返されるような感じで4着。無理をしない”トライアルらしい”と言えばそれまでですが、能力の違いのようなものを見せることができなかったところに不満が残ります。

 そのスプリングSの覇者ウインブライトが、サトノアレスとは同格での評価となります。1戦ごとに力をつけて、スプリングSではTF指数を大きく伸ばしました。相性のいい舞台というのもありますが、ひいらぎ賞(2着。2016年12月17日/中山・芝1600m)で敗れたアウトライアーズ(牡3歳/父ヴィクトワールピサ)を差し切っての重賞勝ち、という点にも勢いを感じます。毎回、大外を回しているだけに、中山最終週の皐月賞も合うでしょう。上位入線の可能性が、かなり高い1頭だと思います」

 3歳牡馬戦線はさすがに大混戦で、ランク外でも高い評価を得ている馬が何頭もいる。吉田氏は、先日の500万特別アザレア賞(4月1日/阪神・芝2400m)を完勝したアドミラブル(牡3歳/父ディープインパクト)を個人ランキングでは2位に選出している。

吉田氏
「ノド鳴りの手術をしてからは、2連勝中のアドミラブル。とりわけ、前走のアザレア賞の内容は秀逸でした。向こう正面で無理なく2番手に上がると、最後の直線では余力十分に抜け出して、上がり33秒5をマーク。後続に3馬身差をつける圧勝劇を演じました。全兄タブレットや全姉イサベルも、脚もとの不安がなければ、おそらく大成していた逸材。今後は青葉賞(4月29日/東京・芝2400m)→ダービーという予定ですが、ディープインパクトの血が爆発する軽い芝で、上がりの速い競馬になれば、この馬にもチャンスが回ってきそうです」

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 さて、今回の牡馬ランキングにおいてはもうひとつ、ファンディーナの評価もしなければいけない。牝馬ということで、ここではランク付けしなかったが、もしファンディーナもランキングに加えるとしたら、各選者はどう評価するか聞いてみた。

 その結果、吉田氏=4位、木南氏=5位、市丸氏=1位、土屋氏=4位、本誌競馬班=1位。合計15ポイントとなり、総合では単独2位の評価となった。

市丸氏
「牝馬のため、斤量は2kg減。TF指数では2位に大差をつける数値となります。能力的には、皐月賞はファンディーナの圧勝という答えが導き出されています。キャリアの浅さ、馬群に入れる競馬をしたことがないなど、いくつか不安要素はありますが、この馬は先行力があり、1番枠でも引かない限り、すんなり外側の2、3番手につけられそう。経験不足はあまり関係のない競馬ができそうですから、『低レベル』と言われる今年の牡馬勢が相手なら勝ち負け必至。ダービーでどうかはわかりませんが、皐月賞ではあっさり勝ってもおかしくありません」 牝馬による69年ぶりの戴冠があるのか。それとも、牡馬が意地を見せるのか。まずは間近に迫った皐月賞の行方を注目したい。

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