3歳牝馬クラシックの第1弾、桜花賞(阪神・芝1600m)が4月9日に行なわれる。断然の人気が予想されるのは、デビューから無傷の4連勝を飾っているソウルスターリング(牝3歳)。昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(2016年12月11日/阪神・芝1600m)を制して2歳女王に輝いた同馬が、クラシック本番でも再び頂点に立つのか注目されている。そこで本番直前、主戦を務めるクリストフ・ルメール騎手を直撃し、その手応えを聞いた――。


ソウルスターリングでの桜花賞制覇に自信を見せるルメール騎手――まもなく開幕する3歳クラシック。ルメール騎手のお手馬には、今年も牝馬、牡馬ともに楽しみな馬がそろいましたね。牝馬は、ソウルスターリング。ここまで4戦4勝、デビュー戦(クビ差の勝利)以外は危なげないレースで勝利を飾っています。前走のトライアル、チューリップ賞(3月4日/阪神・芝1600m)も強い競馬でした。

「(チューリップ賞では)馬がとてもリラックスしていました。レースのペースもちょうどよかったですし、直線の瞬発力もよかった。完璧、でしたね」

――ソウルスターリングは、父が14戦無敗の「怪物」フランケル。母も欧米でGI6勝を挙げているスタセリタと超良血。とりわけ母スタセリタは、ルメール騎手がフランス騎手時代に騎乗してGIを3勝しています。不思議な縁がありますね。

「スタセリタは、僕にとってフランスオークス(ディアヌ賞)を勝った”スペシャルホース”です。だから、その娘に日本で乗ることになったときは、すごく感動しましたね」

――どういった経緯で騎乗することになったのでしょうか。

「昨年の5月に、東京競馬場で藤沢(和雄)先生から『この夏、フランスオークスを勝った馬の子どもがデビューする予定なんだけど、乗らないか?』と言われました。それで、『フランスオークスを勝ったのは何という馬ですか?』と聞くと、先生が『スタセリタ』とおっしゃって、もうびっくりでしたよ。スタセリタの子が日本にいるのは知っていましたけど、その馬に自分が乗ることになるなんて……。だから、すぐに『もちろん、もちろん、乗りたいです!』と即答しました」

――ソウルスターリングはお母さんのスタセリタに似ていますか。

「長い脚、毛色、跳びが大きいこと、スピードがあること、それにテンションが高いこと、そういうところはすごく似ています」

――実際に騎乗して、デビュー戦(2016年7月31日/札幌・芝1800m)での印象はいかがでしたか。

「テンションが高くて、センシティブ。パドックでジャンプしていましたからね(笑)。藤沢先生は『走る馬だよ』とおっしゃっていたけど、僕は最初『まだ子どもだなぁ』と思いました。実際、レースでもちょっと出遅れて、そのあと、ちょっとかかったんですよ。でも、残り400mあたりでリラックスして、ラスト150mくらいからすごくいい脚を使った。このフィニッシュの脚が力強くて、『これは素晴らしい馬だ!』と思いましたね」

――その後の成長も期待どおりでしたか。

「まだ少しテンションは高いけれども、2歳の後半から3歳にかけて随分と大人になりました。(自身の頭を指差して)ここがよくなったね(笑)。だから、期待どおり。

 デビュー戦を勝ったあと、重賞の札幌2歳Sを使うというプランもあったんですけど、藤沢先生たちスタッフが話し合って、2戦目は東京開催まで待つことにしました。この判断がグッドでしたね。そんなふうに、この馬にとって何がベストかを常に考えて、ステップ・バイ・ステップでやってきたことが、彼女を強い馬にしたと思います」

――ソウルスターリングの一番いいところはどこですか。

「素晴らしいスピードをお父さんから、素晴らしいファイティングスピリットをお母さんから受け継いで、しかも走るのが大好き。いくら才能があっても、走るのが嫌いな馬は強くなれないですからね。藤沢先生が『この馬はハッピーホース。走るのを楽しんでいる』と言っていましたけど、僕もそう思います。そういう意味でも、彼女の一番いいところは、その”走るのが大好き”というところかな」

――さて、いよいよ桜花賞です。ズバリ、勝つ自信はありますか。

「今は、心配なことは何もありません。だから(勝つ)自信はあります」

――桜花賞と言えば、昨年も断然人気のメジャーエンブレムに騎乗。しかし、結果は4着でした。その昨年と比べて、自信のほどはいかがでしょうか。

「昨年も自信はあったし、今年も同じくらい自信はあります。でも、(何が起こるかわからないのが)競馬だからね。みんな勝ちたいし、みんな勝つために一生懸命走ってくる。それに、強い馬ばかりが勝つわけではないでしょ。少しのミスやアクシデントによって、うまくいかないこともあります。そういう中で、僕はみんなに負けないよう、ベストを尽くすだけです」

――どんなレースになると考えていますか。

「トライアルみたいなレースになってほしいですね。いいペースで流れて、4〜5番手くらいのところにつけて、最後に持ち前の瞬発力で抜け出す。跳びが大きい馬だから、抜け出すときにはスペースが必要です。そういうレースになれば、たぶん負けません」

――ライバルとなるのは、どの馬でしょう。特にデビューからずっと乗り続けてきたアドマイヤミヤビ(牝3歳)については、どう見ていますか。

「アドマイヤミヤビは、とても強い馬です。いい瞬発力があって、最後に加速する脚も素晴らしい。阪神の外回りコースは直線が長いから、ミヤビにも(勝つ)チャンスはあります。ソウルスターリングにとっては、一番のライバル。こわい、こわい(笑)。

 でも、スピードはソウルスターリングに比べると少し落ちる。また、僕がずっと乗っていたから、ミヤビがどういうレースをしたいかはよくわかっています。だから、勝つ自信はある。けど、やっぱりこわいね(笑)」

――もう1頭、皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)に向かうことになったファンディーナ(牝3歳)も同世代のライバルです。同馬については、どんな印象を持っていますか。

「フラワーC(3月20日/中山・芝1800m)で初めて見たけど、まず体の大きさに驚かされました。お尻がとても大きかったね。皐月賞で牡馬と戦うのは大きなチャレンジだと思うけど、がんばってほしい。もし桜花賞に出ていたら、かなりの強敵になっていたと思います」

――最後に、ソウルスターリングへの、今後の期待について教えてください。

「お父さんがマイラーで、お母さんもベストは2000mくらいの馬だったから、長い距離に対応できるかどうかはわかりません。2000mまでなら絶対にいけると思うけど、2400mとなると何とも言えない。だから、桜花賞のあと、どこを使うのかは、まだわかりません。 でも、これだけ素晴らしい血統の馬ですからね、今後もGIをいくつも勝ってほしい。いつか、日本の競馬の歴史の一部になる、それぐらいの活躍をしてほしいと思っています」