2017年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第4弾)

 春のGIシーズンがついに幕を開けた。4月9日には、3歳牝馬クラシックの第1弾となるGI桜花賞(阪神・芝1600m)が開催される。

 この本番を前にして、3月には関東、関西それぞれで前哨戦が行なわれた。最も注目されたGIIIチューリップ賞(3月4日/阪神・芝1600m)は、2歳女王のソウルスターリング(父フランケル)が、昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(2016年12月11日/阪神・芝1600m)に続いて、危なげない競馬で完勝。年明け初戦をあっさり制して、同世代の中で一歩抜け出した印象を与えた。

 また、その翌週に行なわれたGIIフィリーズレビュー(3月12日/阪神・芝1400m)では、カラクレナイ(父ローエングリン)が3連勝で重賞初制覇。その前日に中山競馬場で行なわれたアネモネS(芝1600m)は、ライジングリーズン(父ブラックタイド)が強烈なまくりを見せて、GIIIフェアリーS(1月8日/中山・芝1600m)に続く連勝を飾った。


重賞のフラワーCでも圧勝したファンディーナ そしてその後、強烈なインパクトを与えたのが、GIIIフラワーC(3月20日/中山・芝1800m)で5馬身差の圧勝劇を演じたファンディーナ(父ディープインパクト)。桜花賞はパスして、皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)に向かう意向が発表されたが、ソウルスターリング一色だった牝馬戦線に”新風”を吹き込んだ。

 今回はこれらの結果を受けて、現時点で最新の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独自なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 1位は、4戦4勝のソウルスターリング。前哨戦のチューリップ賞でも圧倒的な強さを見せて、本番の桜花賞では断然の支持を集めることになるだろう。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「チューリップ賞に関して言えば、何十回、何百回とレースをやり直しても、ソウルスターリングが勝つと思います。競馬に絶対はありませんが、この馬のチューリップ賞については、”絶対”に近いものがありました。それぐらい強かったですね。時計も優秀で、外枠から前々で運んで抜け出す競馬は見事なものでした。あえて不安材料を挙げるなら、桜花賞本番では他馬の徹底マークにあう点がどうか」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「チューリップ賞は早々に前を捕まえて抜け出し、そこから右手前に戻ったところで決着はついていました。以降、馬も本気を出していないのではないでしょうか。昨年はチューリップ賞組が春のクラシックを分け合いましたが、今年もそのレベルにあって、ソウルスターリングの戴冠の可能性はかなり高いと思います。チューリップ賞でつけた2馬身差を逆転されるシーンが浮かんできません。

 スタートがよく、スッと好位につけられ、なだめれば我慢できて、追い出すと鋭く反応してくれます。一気にトップギアに入る爆発力は、さすがフランケル産駒といったところでしょう。阪神JF→チューリップ賞→桜花賞と関西圏での3連発が、長距離輸送を伴う関東馬の課題となりますが、それも重箱の隅をつつけば、というぐらいの不安点でしかありません。阪神JFで2着だったリスグラシューとの比較でも、心身の成長ではソウルスターリングのほうが圧倒しています」

 2位には、フラワーCを圧勝したファンディーナが一気にランクイン。桜花賞ではなく皐月賞に向かうため、クラシック第1弾でのソウルスターリングとの無敗対決は実現しなかったが、待望のディープインパクト産駒の大物登場で、もともと高かった牝馬戦線のレベルが一段と上がった。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「フラワーCの強さは、どう形容すればいいのでしょう……。3角を回って、残り600mで他馬が追い出しても、ファンディーナは持ったまま。仕掛けたのは、残り450mからの250mくらいでした。そこで後続を一気に引き離すと、鞍上の岩田康誠騎手はターフビジョンを見つめて、最後まで追うことはありませんでした。それで、5馬身差の圧勝。きちんと追っていれば……と考えると、ソウルスターリングより高い評価を与えてもおかしくないほどです」

吉田氏
「500kgを超す雄大な馬体、かき込みの利いたストライドの大きいフットワークは、好素材の証明。前肢は内向気味でややトモを回す走法ですが、抜群のクッション性を誇る長いつなぎがそれをカバーしているのでしょう。後肢のつなぎも柔らかく、上質のスピード持続力があり、距離は延びれば延びるほど、よさそうなタイプです。

 不安要素を挙げるとすれば、テンションの高さ。スッと行き脚がつくため、まだ馬込みで競馬していませんが、これから多頭数での競走が必至のGIを迎えるにあたって、その辺りは心配の種になります。ともあれ、ディープインパクト産駒の牝馬らしからぬ雄大な馬体とダイナミックなストライドはピカイチ。素材的には、ソウルスターリング以上と言えます」


 3位は、アドマイヤミヤビ(父ハーツクライ)。前回は、GIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)の勝利で大きくポイントを伸ばしたが、今回はファンディーナの台頭によって、ややポイントを食われてしまった格好だ。

土屋真光氏(フリーライター)
「クイーンCでは、こちらの予想を上回る勝ちっぷりに驚きました。桜花賞ではまた異なる適性が求められるため、独特のペースに対応できるか若干の不安はありますが、手綱を取ることになったミルコ・デムーロ騎手がそこはうまく対処し、上位争いに導いてくれるのではないでしょうか」

木南氏
「半兄たちのレースぶりからして、なんでこの馬があれだけ切れる脚を使えるのか、不思議でなりません。ただただウインドインハーヘア(母方の曾祖母)の血、恐るべしと思うしかないですね。長い直線コースは合っているでしょうから、桜花賞ではこの馬こそが、ソウルスターリングを脅かす1頭になると思います」

 4位には、アエロリット(父クロフネ)。ここまで4戦1勝だが、クイーンCではアドマイヤミヤビと僅差の勝負を演じるなど、敗れた3戦はいずれも2着と、高い安定感を誇る。

市丸氏
「アエロリットは、ソラを使うのが問題なだけ。その能力は、桜花賞にいっても十分に通用するはずです。その桜花賞、順当ならソウルスターリングとアドマイヤミヤビの一騎打ちと見られていますが、アエロリットも相手が強ければ強いほど力を発揮する馬ですから、もしかすると”2強”に割って入る可能性も大いにありますよ」

 4位と1ポイント差の5位には、3頭がランクイン。阪神JFでソウルスターリングの2着だったリスグラシュー(父ハーツクライ)、フィリーズレビューの勝ち馬カラクレナイ、そしてフェアリーS、アネモネSと連勝を飾ったライジングリーズンである。

木南氏
「リスグラシューは、昨年のアルテミスS(2016年10月29日/東京・芝1600m)で強い競馬を披露し、阪神JFでも見どころがありました。”打倒ソウルスターリング”を目標に、もしかしたらチューリップ賞ではメイチの仕上げもあるかと思いましたが、結果を見れば、やはり陣営はその先の桜花賞、オークス(5月21日/東京・芝2400m)を意識した馬の作りをしてきたように思います。本番ではかなりの上積みがあるのではないでしょうか」

吉田氏
「ここまで4戦3勝のカラクレナイ。新馬戦(4着)は大きなロスがあって、前有利な馬場と展開によって取りこぼしましたが、その後は馬場や展開に左右されることなく、3連勝を飾ったのは立派です。ここまでの実績から、広いコースでのマイル戦がどうか? と疑問視されていますが、ストライドを稼げる走法のうえ、立ち気味で長いつなぎが抜群の瞬発力を生み出していますから、十分に対応可能でしょう。牝馬にしては馬体もしっかりとしており、坂のある阪神コースも向くタイプ。桜花賞本番でも、流れひとつで上位に食い込める脚力を秘めています」

土屋氏
「ライジングリーズンがフェアリーSを勝った際は、馬場や展開に恵まれて、一発の賭けがはまったという見方も否めないと思いました。しかし、アネモネSでは堂々とした競馬を見せて、最後は豪快なまくりで快勝。この2戦の勝ち時計(ともに1分34秒7)が、この世代の中山・芝1600mの最速タイムというのも注目に値します。早めに動いても、ゴール前まで脚色がしっかりしているため、桜花賞では攻めの騎乗でどこまでやれるか、思い切った勝負を仕掛けてくれることを期待しています」「超ハイレベル」と言われてきた今年の3歳牝馬戦線。クラシック本番でも、大本命がそのまま突き進むのか、ハイレベルゆえの下克上があるのか。桜の女王をめぐる乙女たちの戦いに注目だ。

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