それにしても、京都記念(2月12日/京都・芝2200m)のマカヒキ(牡4歳)は、”らしく”なかった。

 最後の直線に入って、外からいい脚で上がってきて、このまま前にいる馬たちを飲み込むのかと思ったら、結局ジリジリとしか伸びずに3着に敗れた。

 内容的にも、勝ったサトノクラウン(牡5歳)を捕らえ切れなかったのはまだしも、7歳牝馬のスマートレイアーと同じような位置から追い出して、最後に競り負けたのは、どう考えても物足りなかった。

 それも、腕の甘い若手騎手が乗っていたわけではない。”世界”のライアン・ムーア騎手が手綱を取って、この結果である。関係者でなくとも、首をひねりたくなる。

 ともあれ、今年からGIに昇格した大阪杯(4月2日/阪神・芝2000m)で、最も大きな期待と注目を集めるのは、このマカヒキだ。


昨年はダービーを制して、凱旋門賞に挑んだマカヒキ なにしろ、昨年のダービー馬である。しかも、そのダービーでは現在「日本の最強馬」とされているサトノダイヤモンド(牡4歳)を負かしているのだから、なおさらだ。が、先の京都記念のレースぶりから、「復活には時間がかかる」とか「早熟っぽい。ダービーのときがピークだったのでは」という声まで囁かれ始めている。

 さて、真偽はどうなのか。大阪杯でも、再び伸び切れずに終わってしまうのか、それとも、周囲の雑音を一掃するような、圧倒的な競馬で強豪他馬を見事にねじ伏せてみせるのか。

 京都記念のレース後、鞍上を務めたムーア騎手は、昨年の凱旋門賞(2016年10月2日/フランス・芝2400m)以来、久々の競馬だったこと、そしてやや重という当日の緩い馬場を敗因に挙げた。そのうえで、最後に「次は変わるよ」と、きっぱりと言い切った。

 ただ、関西の競馬専門紙記者によれば、最後の言葉には多分にリップサービスが含まれているという。

「厩舎関係者は、京都記念で負けたのは『凱旋門賞仕様に仕上げた馬体を、日本仕様に戻すのに時間がかかっているため』と話しています。要するに、パワー優先に変えた馬体を瞬発力優先に戻している最中、ということなのでしょうが、それ以上に、昨秋の凱旋門賞に合わせて、この馬の最大のピークを作ってしまったことが大きいと思います。そこからもう一度、それ以前の日本で走っていた頃の状態に戻すのに手間取っている、という感じがします」

 つまり、凱旋門賞のあと、日本に戻ってからの復調のペースが思いのほか遅れているゆえ、ムーア騎手の「次は変わる」という言葉も、それほど信用はできないというのだ。

 また、この記者によれば、もともとマカヒキは、「調教では、やればなんぼでも動くタイプ」。そのため、調教でどれだけいい時計が出ても、それだけで「好調」とか「復調」といった判断はできないそうだ。

 そういう意味では、京都記念をひと叩きしたことで、「今度は万全」というわけにもいかない。

 だとしても、今度の大阪杯は、マカヒキにとっては「負けられない一戦」だと、先の記者が言う。

 というのも、今年のマカヒキの最大目標は、16頭立て14着と、あまりにも不本意な結果に終わった凱旋門賞に再挑戦すること。そのためには、日本の代表としてふさわしい、堂々とした実績を引っさげて乗り込みたい、という思惑が陣営にはあるらしい。

 そうなると、サトノクラウンへのリベンジはもちろん、GI3勝と実績最上位のキタサンブラック(牡5歳)にも負けられない。再び前述の記者が語る。

「本来、日本の頂点に立つにはサトノダイヤモンドを負かすことですが、そうなると、ここでキタサンブラックに負けているようでは話にならない。だいたい、キタサンブラックは有馬記念(2016年12月25日/中山・芝2500m)以来の休み明け。しかも、この春は大阪杯を含めて、天皇賞・春(4月30日/京都・芝3200m)、宝塚記念(6月25日/阪神・芝2200m)と、GI3戦をフル出走の予定ですから、ここは余裕残しの仕上げでくるはず。

 このあとは宝塚記念まで空くため、今回もある程度仕上げることができるマカヒキが、そんなキタサンブラックにはさすがに負けられないでしょう。ここを勝って、凱旋門賞への再挑戦、そしてサトノダイヤモンドに挑戦状を叩きつける、それが陣営の描いている青写真です」 調整の遅れには不安がある。それでも、多くのファンが望むのは「強い馬」が見せる底力である。新設GIでのマカヒキの快走を期待したい。

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