高橋大輔が魅せるダンスショー ――「夢や目標の見つけ方? …僕も今、探しているところです(笑)」
見る者を惹きつけて離さない情熱的な演技と圧倒的な表現力。世界的フィギュアスケーターとして数々のメダルに輝き、現在は舞台やアイスショーなどで活躍する高橋大輔が、ダンスショー『LOVE ON THE FLOOR 2017』でシェリル・バークとのダブル主演を務める。現役引退後、見失ってしまった次なる目標。それを探すべく、昨年からは目の前にあるひとつひとつの仕事に全力で向き合っているという。この舞台もまた、高橋にとっての新たな挑戦のひとつ。夢や目標に悩むすべての人を勇気づける、高橋大輔からのメッセージをお届けしたい。

撮影/平岩 亨 取材・文/古俣千尋 制作/iD inc.



氷上のフィギュアと舞台でのダンス「全然違う…」



――6月に上演予定の『LOVE ON THE FLOOR 2017』は、米国のトップダンサーやフィギュアスケーターたちが、さまざまな“愛”のかたちを卓越したダンスで表現するダンスショー。大好評だった昨年の公演に引き続き、第2弾となる今回も高橋さんの出演が決まりました。率直な感想はいかがですか?

またできる喜びと、何よりもプレッシャーを感じていますね(笑)。前回と比べて「変わっていないな」って見られてしまわないか、その怖さみたいなものがあって。初めてだった前回とはまた違う意味で、プレッシャーは大きいなと思っています。

――今回は、主演・構成・演出を手がけるシェリル・バークさんとの“ダブル主演”ということで、高橋さんの出番や見どころもさらに増えそうですね。

演目自体は前回のものをさらにブラッシュアップしていきますし、僕のシーンも増える予定です。前回は初めての参加ということもあり、難しい部分もたくさんあったのですが、稽古中から本番期間中まで、充実した時間を過ごせました。その経験をしたぶん、今回はさらに自分のダンスに集中できるかなと思っています。

――高橋さんはどんな役を演じるのでしょうか?

愛をテーマにした舞台で、「ときめき」「情熱」「とまどい」「嫉妬」「無償の愛」というさまざまな愛の局面を、僕がつないでいく“ナレーター”という役割です。それぞれの愛のかたちを、雰囲気を変えながら演じていきます。



――素足で踊る高橋さんの姿って、見ている側にとっては新鮮なのですが、氷の上を滑るのでなく、舞台に足をつけて踊る感覚はどんな気持ちですか?

氷の上と陸の上はまったく違うんです。バランスの取り方も違いますし、とくに回転が難しいです。陸だと、滑るように回転できないですし、かといってピタッと止まるのも難しくて。自分のスケートの感覚で回転してしまったり、飛んでしまったりするので、キレイに見えるように動き方を変えていかなくてはいけない。そういう難しさを最初はすごく感じました。

――やはり、細かな部分での違いがあるんですね。

あと、スケート靴を履いているときよりも、つま先をすごく意識しなくてはならないんです。足首も硬いので、なかなかキレイに見えなくて…。いやぁ、頑張らないと、ヤバいんです(笑)。だから最近はずっと、つま先をのばすストレッチをやっています。

――スケートの演技のときとは違う、回転や足先の表現。公演でぜひ注目したいポイントですね!

いや、そこはあんまり注目しないでほしいかも!(笑) 




舞台に上がれば「俺を見てくれ!」に豹変!?



――フィギュアスケートのように得点が加わる競技と比べて、アイスショーやダンスでは、踊るときに何か意識が変わったりしますか?

変わらないですね。フィギュアのときも、得点はあまり気にしていなかったんです。表現って曖昧なものなので、もちろん好き嫌いも入ってきますし、そのときによって数字も違ってきます。たぶん採点する方も、点数をつけるのって相当大変だと思うんです。だからそこはあまり考えすぎず、自分が「これを見せたい」という気持ちを一番大事にしていました。

――滑っているときや踊っているときは、どういうことを考えているんですか?

「俺を見てくれ!」ですね(笑)。このプログラムを見せたいって、ただそれだけです。でも、普段の生活では全然違って、むしろ「見ないで!」っていう感じなんですけど(笑)。

――先ほどの撮影のときにも「バラを持つのは照れる」っておっしゃっていましたね。こうしてお話していると、氷上での華やかな印象とはうらはらに、高橋さんってシャイな方なんだなと…。

そうなんですよね、こう見えて…(苦笑)。



――でも舞台に一度立てば、「俺を見てくれ!」になるわけですよね。小さい頃から、そうなんですか?

不思議と、なるんですよね。昔からそうだったわけではないと思うのですが。でも、小さいときは全然踊れなかったながらにも、ダンスなど身体で表現するものを見るのは好きでした。「カッコいいな」っていう憧れは常にありました。

――高橋さんの魅力のひとつが、全身からあふれる“色気”だと思うのですが、ご自身では色気についてどんなふうにお考えですか?

色気については、意識しています。僕は、色っぽいのも、艶っぽいのも好きなんです。たとえば、テレビや映画を見ているときでも「この人、色っぽいな」と思ったら、目線の使い方や歩き方、しぐさとか手の出し方とかを、気にして見るようにしています。「これ、今度やってみよう」とか思いながら(笑)。