GI4週連続開催の口火を切る、GI高松宮記念(3月26日/中京・芝1200m)。スピード自慢による6ハロンの頂上決戦は、「本命不在」の混戦模様となっている。

 というのも、昨年の覇者ビッグアーサーが回避し、昨年の2着馬で、昨秋のGIスプリンターズS(2016年10月2日/中山・芝1200m)でも2着だったミッキーアイルが引退するなど、多くの実績馬が出走しなくなったからだ。そのため、「やや低レベルの争い」とも言われている。

 そうした状況の中、実績で見れば、昨秋のスプリンターズSを制したレッドファルクス(牡6歳)が1番手だろう。だが今回は、海外遠征で挑んだGI香港スプリント(2016年12月11日/香港・芝1200m)で12着と大敗を喫し、それ以来となる休み明け。その辺の影響がないとも限らない。

 GIIIオーシャンS(3月4日/中山・芝1200m)を制して臨むメラグラーナ(牝5歳)もスプリント戦を連勝して人気となりそうだが、GI初挑戦という”経験不足”が気にかかる。

 こうなると、波乱の決着となる予感が一層強くなってくる。そこで、過去の高松宮記念を振り返って、大駆けしそうな”穴馬”を探してみたい。

 過去10年の結果を見ると、勝ち馬については、わりと堅い決着となっている。1〜4番人気の有力馬が勝利しており、あっと驚く伏兵馬が金星を挙げたことはない。「混戦」とはいえ、今回も1着馬については、手堅く考えたほうがいいかもしれない。

 一方で、過去の2、3着馬に目を向ければ、6番人気以下の”伏兵”が飛び込んできたケースは度々ある。そして、その波乱の立役者となった馬たちには、いくつか共通した傾向があることがわかった。

 ひとつは、「スプリントGIでの実績がモノを言う」ということだ。

 2010年の2着馬ビービーガルダンや、2015年の2着馬ハクサンムーンは、いずれも6番人気と低評価だったが、もともとスプリントGIで好走歴のある実力馬だった。前者は前年のスプリンターズSで2着、後者はその2年前のスプリンターズSで2着、高松宮記念で3着に入っていた。

 そんなスプリントの猛者が、直近のレースぶりから人気を落としたものの、結局はGIで通用する底力がモノを言った。今回も、まず狙うのはこのパターンだろう。

 ここで浮上するのは、ソルヴェイグ(牝4歳)だ。

 同馬は、昨年のスプリンターズSの3着馬。3歳牝馬ながら勝ち馬とタイム差なし、という大健闘を見せた。GIで戦える底力を持っている証拠だ。

 しかし、それ以来となった前走のGIIIシルクロードS(1月29日/京都・芝1200m)で6着と惨敗し、今回の人気落ちは必至。ひと叩きした”実績馬”の逆襲は大いに期待できるだけに、狙い目だ。

 過去の穴馬から浮かび上がるもうひとつの傾向は、「前走のオーシャンSで激走した馬」であるということ。


好走実績が多いオーシャンS組。人気薄クリスマスも侮れない 2009年に15番人気で3着となったソルジャーズソング、2014年に8番人気で2着となったスノードラゴンがそのいい例だ。ともに、前走オーシャンSでも人気薄ながら奮闘し、ソルジャーズソングは8番人気で4着、スノードラゴンは11番人気で2着と好走していた。

 ゆえに、今年もオーシャンSの”激走馬”に注目したいところだが、今年の上位入線馬はほとんど人気馬だった。しかしながら、オーシャンS組は意外と高松宮記念では評価されないことが多く、1着メラグラーナ以外は人気の盲点になりそう。とすれば、2着ナックビーナス(牝4歳)、3着クリスマス(牝6歳)を狙ってみるのは面白い。

 とりわけ、配当的においしそうなのは、クリスマス。1着メラグラーナともコンマ1秒差という僅差で、好走の可能性は十分に秘めている。2歳時には、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)でも4着と健闘した馬。一発あってもおかしくない。

 ところで、1200m戦と言えば、”スペシャリストの領域”といったイメージが強い。しかし、近年の傾向を見てみると、決してそうとは言い切れない。

 例えば、2014年の覇者コパノリチャード。同馬はそれまで1400m以上の距離しか経験していなかったが、高松宮記念で初めてスプリント戦に挑戦し戴冠を果たした。ミッキーアイルが2015年に3着となった際も、初のスプリント戦だった。

 2007年、13番人気ながら2着に入ったペールギュントもそうだ。マイルから中距離路線で活躍していたが、初挑戦の1200m戦で見事な快走を披露した。

 つまり、スプリント経験がなくても、地力があれば上位入線のチャンスがあるということ。今回、その可能性を秘めるのは、フィエロ(牡8歳)だ。

 同馬は過去に2度マイルGIで2着になるなど、マイル路線でトップホースとして戦ってきた。今年8歳となる大ベテランだが、近走でも重賞で連続3着と奮闘している。

 スプリント戦は、今回が初挑戦。常識的には厳しいかもしれないが、先述した傾向や、地力があることを考えれば、波乱を演出しても不思議ではない。馬券的な妙味もかなりありそうだ。 わずか1分数秒で勝負が決まるスプリント戦。ちょっとしたことで着順に差が出るからこそ、穴馬が食い込む余地は大いにある。これから続いていく大一番を存分に楽しむためにも、まもなく花開く桜のつぼみと同様、春のGIシリーズ開幕戦で財布も大きく膨らませたい。