2017年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第3弾)

 3月に入って、3歳牡馬クラシックの前哨戦も本格化。1カ月後には、いよいよ第1弾となる皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)が開催される。

 年明けの主な重賞では、GIII京成杯(1月15日/中山・芝2000m)でコマノインパルス(牡3歳/父バゴ)が快勝し、GIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)ではスワーヴリチャード(牡3歳/父ハーツクライ)が切れのある末脚を駆使してハイレベルな一戦を制した。


近年、クラシック馬を多く出している共同通信杯を制したスワーヴリチャード また、皐月賞の最重要トライアルとなるGII弥生賞(3月5日/中山・芝2000m)では、GIIIラジオNIKKEI杯京都2歳S(2016年11月26日/京都・芝2000m)の覇者カデナ(牡3歳/父ディープインパクト)が完勝。骨のあるメンバーを蹴散らして、重賞2連勝を飾った。

 一方で、ムーブザワールド(牡3歳/父ディープインパクト)や、サトノアーサー(牡3歳/父ディープインパクト)といった期待の良血馬は、クラシックの登竜門とされる重賞でそれぞれ敗戦。本番に向けて、厳しい状況に立たされることになった。

 そんな中、さらに衝撃的なニュースが入ってきた。2歳時に唯一重賞を2勝し、クラシックの有力候補と目されていたブレスジャーニー(牡3歳/父バトルプラン)が故障。戦列を離れることになったのだ。

 これによって、「混戦」とされていた3歳牡馬戦線は一層混迷を極めそうなうえ、「超ハイレベル」と言われる3歳牝馬戦線に比べて、やや低調なムードも漂い始めている。

 ともあれ、本番まで1カ月。現時点における3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独自なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 1位は、共同通信杯で待望の重賞制覇を飾ったスワーヴリチャード。近年、クラシックに直結しやすいとされるレースを圧勝し、ランク外から一気に首位に躍り出た。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「2歳時のGIII東京スポーツ杯2歳S(2016年11月19日/東京・芝1800m)で2着に入りましたが、当時はまだまだ荒削りな部分がありました。スタートや折り合いに課題があって、脚の使いどころも難しいタイプと見て、厳しいジャッジを下していました。それが、共同通信杯では持ち味となる一瞬の爆発力を最大限に生かして完勝。完璧な乗り方で、その辺りはデビューからコンビを組む四位洋文騎手の手腕がなせる技でしょう。

 それでもまだスタートは危うく、折り合い面も壁を作りつつというのが理想。しかも、追い出しを極力我慢することによって、馬群を一気に切り裂く末脚を備えていますが、そういう鋭い脚は意外と長続きしないもの。とはいえ、世代屈指の決め手を持っていることは明らか。舞台さえ整えば、まとめて面倒を見ることができる逸材です」

土屋真光(フリーライター)
「2歳時はやや荒削りで、不安定さを感じさせていましたが、共同通信杯ではそういった面が解消されていました。3歳になって、ひとつ階段を上がったような印象を受けました。コースについては、向き、不向きがありそうですが、今年の牡馬クラシック路線では常に上位に名を連ねていそうな気がします」


 2位には、3戦3勝で前回1位だったレイデオロ(牡3歳/父キングカメハメハ)と、注目の前哨戦・弥生賞を快勝したカデナが入った。レイデオロは年末のGIIホープフルS(2016年12月25日/中山・芝2000m)以降、年明けは未出走。その分、ポイントを下げてしまった印象だ。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「レイデオロは、皐月賞へ直行というプランが若干不安視されているようですが、藤沢和雄調教師は『もう、春に中山・芝2000mを2回走らせることもないだろう』と泰然自若の構えです。500万条件の葉牡丹賞(2016年12月3日/中山・芝2000m)で破ったコマノインパルスが京成杯を勝利。その後の弥生賞では6着に敗れましたが、同馬を物差しにすれば、十分に上位争いは可能でしょう。ホープフルS後の成長度にも注目したいと思っています。

 しかしながら、こんなふうに皐月賞に直行するような関東馬を(1位に)推しているわけですから、この馬でダービーは間違いない、という存在はまだ見つかっていません。いわんや、皐月賞をや、です。そうした状況からすれば、重賞2勝のカデナも軽くは扱えないでしょう。500万条件の百日草特別(2着。2016年11月6日/東京・芝2000m)で競り合った勝ち馬アドマイヤミヤビ(牝3歳)がその後も重賞を制して、同3着のアウトライアーズ(牡3歳/父ヴィクトワールピサ)も続く500万条件のひいらぎ賞(2016年12月17日/中山・芝1600m)を完勝。それらの結果から見ても、上位の存在と言えます」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「カデナは、一戦ごとステップを踏んで、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)を上げてきています。弥生賞ではスローで、最内を通ってきた馬たちの前残りの展開でしたが、1頭だけ外を通っての差し切り勝ち。時計以上の評価ができます。

 レイデオロは4位としましたが、かなりの伸びしろがあるのは間違いありません。ぶっつけで皐月賞に挑むようですが、完勝するようなことが起こっても不思議ではないほど、上位との力差は僅差です。何かトライアルを使ってくれれば、他との能力比較がより明瞭になったと思いますが、それを推し量れずに本番を迎えてしまうのが、少し残念ですね」

土屋氏
「弥生賞ではコマノインパルスが案外の結果に終わりましたが、スローな流れが向かなかったと考えれば、葉牡丹賞で同馬を一蹴したレイデオロの優位は動きません。もちろん、流れが向いたとはいえ、弥生賞を勝ったカデナも評価しないわけではありません。京都と中山という性格の違うふたつの競馬場で重賞を制した実力は、この世代では間違いなく上位です」

「混戦」と言われるだけあって、4位も2頭が分け合った。GI朝日杯フューチュリティS(2016年12月18日/阪神・芝1600m)を制した2歳王者のサトノアレス(牡3歳/父ディープインパクト)と、GIIIアーリントンC(2月25日/阪神・芝1600m)を勝ったペルシアンナイト(牡3歳/父ハービンジャー)である。

市丸氏
「世間的には、ホープフルSの覇者レイデオロのほうが、朝日杯FSを制したサトノアレスよりも評価が高いようですが、両レースを比べると、少なくともタイム的な価値ではサトノアレスのほうが上だと見ています。サトノアレスが今週出走予定のスプリングS(3月19日/中山・芝1800m)でさらに指数を伸ばし、弥生賞の指数を上回るようなら、皐月賞はこの馬から入るのがセオリーでしょう。

 ペルシアンナイトは、アーリントンCでの強さが相当なもの。皐月賞がもしもマイル戦だったら、優勝候補筆頭に挙げてもいいほどのパフォーマンスだったと思います。ただし、皐月賞というレースはマイル戦とは別もの。評価が難しい1頭と言えますね」

木南氏
「ハービンジャー産駒は勝ち上がり率が高く、爆発力がある一方で、レースへの集中力が続かない、というイメージを個人的に持っています。そのなかで、ペルシアンナイトは異質な存在だと、アーリントンCで確認できました。速い上がりを続けてマークし、凡走もありません。追分ファームの宝、ニキーヤ(母の母)の血恐るべし、です。あと、最も強調したいのは、アイビーS(2016年10月22日/東京・芝1800m)でソウルスターリング(牝3歳)の2着だったこと。ソウルスターリングの父フランケルがそうだったように、同馬にも戦った相手を走らせる”力”があるのかも……」

 ランキング上位は以上だが、抜けた存在がいない牡馬戦線。そのため、ランク外でも高評価を得ている馬が少なくない。吉田氏は良血サトノアーサーを、土屋氏はそのサトノアーサーをきさらぎ賞(2月5日/京都・芝1800m)で下したアメリカズカップ(牡3歳/父マンハッタンカフェ)を強く推奨する。

吉田氏
「きさらぎ賞は、ひとつ前に行なわれた準オープンの芝1200m戦が1分10秒0という、かなり遅いタイムで決着したほど、相当重たい馬場になっていました。おかげで、サトノアーサーは武器である瞬発力を失って2着を死守するのが精一杯でした。メンバーのレベルを考えれば、正直負けたことは残念でしたが、本賞金を少しでも加算できたことは唯一の収穫。柔らかみのある走りで、この世代ではトップクラスの素材であることは間違いありません。今後は、確実にダービーに出走できるローテーションに変更。群雄割拠の今年のクラシック戦線において、最終的に頂点に立ってもおかしくありません」

土屋氏
「オープンの野路菊S(2016年9月17日/阪神・芝1800m)と、重賞のきさらぎ賞の勝ち馬であるアメリカズカップ。ともにラッキーな勝利という印象を持たれていますが、いずれも下したのは評判馬。単なるラッキーでは片付けることはできません。とりわけ、きさらぎ賞では差し向きの流れの中、好位から抜け出して断然人気のサトノアーサーを完全に封じました。力があることは確かで、個人的には人気の盲点のまま本番を迎えてほしいと思っています」 このあと、トライアル戦の若葉S(3月18日/阪神・芝2000m)に、スプリングSのほか、サトノアーサーなど期待馬が多数出走を予定している毎日杯(3月25日/阪神・芝1800m)も控えている。その中から、新たに存在感を示す馬が現れるのか。「低レベル」という評価を覆(くつがえ)すような、スター候補の登場に期待したい。

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