膵臓ガンで亡くなった男性とその家族(出典:https://www.facebook.com/Bemorejay)

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不妊だと子供を諦めていたイギリスサセックス州在住のカップルに2016年1月、待望のマクシー君が誕生した。しかし新しい命の誕生を喜ぶ一方で、父親はその3か月前に膵臓ガンの告知を受け苦悩していた。膵臓ガンは初期症状がほとんどないにもかかわらず、進行が早いことで知られる。『thesun.co.uk』が伝えている。

2015年10月、「膵臓ガンで余命は4〜6か月」との告知を受けたジェイ・クラークさん。昨年11月にジェイさんの様子をお伝えしていたが、その時にFacebook綴っていた言葉が実に力強い。

「膵臓ガンと診断されてから1年以内に死亡するのは79%。つまり21%の人は1年後も笑顔でいられるってこと。私はその21%に入るスーパーヒーローだ。」

ジェイさんはこの言葉通り、“スーパーヒーロー”として1年4か月を生き抜いた。その間にマクシー君は寝返りし、お座りをし、「ママ」「ダダ」の言葉を発し、クリスマスと1歳の誕生日を迎えて最初の一歩を歩いた。ジェイさんにとってはひとつひとつが大きな喜びだった。

しかし力を全て出し尽くした2017年2月26日、スーパーヒーローは同年1月から入院していたホスピスで、愛する家族に見守られながらその短い生涯を終えた。42歳だった。パートナーのキャロラインさんはジェイさんの最期の様子をこう振り返っている。

「最後の8日間は意識があったりなかったりの状態でした。ジェイの身体はもうノックアウトされた状態だったと思います。でも心が“生きる”ことを諦めなかったんです。26日の最期の日はマクシーの頬をそっと彼の頬に近づけて『もう逝ってもいいの。私たちは大丈夫だから。心配しないで』って優しく語りかけました。」

「ジェイは最高の父親でした。そして何よりも“マクシーが父親なしで生きていかなければならないこと”をとても気にかけていました。ジェイも実の父を知らず苦労して育ったのです。そしてやっと父親になれたのに、父親としての責任を果たせず逝かなければならない…。だから私はジェイに『あなたはいつも私たちの心の中に生き続けるわ』ってそう話したんです。」

ジェイさんは今年1月1日、「膵臓ガンについてもっと多くの人に知ってもらおう」とキャロラインさんと一緒に『BeMoreJay』というブログを立ち上げている。キャロラインさんはブログへの思いをこう述べた。

「ジェイは典型的な医者嫌いでした。膵臓ガンの初期症状の1つである胃の痛みがあった時も、筋肉痛だとか言ってずっとそのままにしていたんです。乳ガンについては知っていても、膵臓ガンなんて気にしたこともなかったんです。」

「でもこのブログを立ち上げると、そのシェアは数日で5万を超えました。ジェイは『これで他の人を救うことができるかもしれない』ってとても喜んでいました。」

マクシー君がジェイさんと過ごせたのは1年2か月。でも彼がスーパーヒーローとして生きた父を忘れることはないだろう。

人生の最期をどう締めくくるかは人それぞれだ。昨年9月には末期ガンと診断された91歳の女性が、1年間にわたりアメリカを横断。生き生きとバケットリストをこなす姿が伝えられた。また先月には31歳の俳優、クリス・サルヴァトーレさんが、身寄りがない89歳の隣人を自宅に招き入れて最期まで寄り添い、多くの人に感動を与えた。

出典:https://www.facebook.com/Bemorejay
(TechinsightJapan編集部 A.C.)