2017年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第3弾)

 年が明けて早くも3月。あと1カ月もすれば、3歳クラシックの幕開けとなるGI桜花賞(4月9日/阪神・芝1600m)が開催される。


クイーンCを快勝し、クラシック候補に名乗りを挙げたアドマイヤミヤビ その注目の3歳牝馬戦線において、新年になってから強烈なインパクトを残したレースと言えば、2月11日に行なわれたGIIIクイーンC(東京・芝1600m)だろう。1番人気のアドマイヤミヤビ(牝3歳/父ハーツクライ)が、「距離不適」と言われたマイル戦で圧巻の走りを披露。レーヌミノル(牝3歳/父ダイワメジャー)をはじめ、アエロリット(牝3歳/父クロフネ)、フローレスマジック(牝3歳/父ディープインパクト)など、重賞実績のあるメンバーを一蹴した。

 今回はこれらの結果を受けて、クラシックを控えた3歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独自なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 1位は、前回に引き続き2歳女王のソウルスターリング(牝3歳/父フランケル)。年が明けてからの出走はなく、前回のポイントがそのままスライドしたような形で首位をキープした。この週末、GIIIチューリップ賞(3月4日/阪神・芝1600m)から始動する。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「放牧から2月頭に美浦トレセンに帰厩し、順調に乗り込みが続けられています。取材にいったところ、『(ソウルスターリングの馬体を)見たか、すごいだろ!』と藤沢和雄調教師も上機嫌でした。阪神ジュベナイルフィリーズ(2016年12月11日/阪神・芝1600m)の前からそうでしたけど、本当にボンギュッボンという表現が当てはまる、パーツがくっきりした馬体には好感が持てます。まずは、チューリップ賞。ライバルも強いですが、どんな競馬を見せてくれるのか、注目したいと思います」

土屋真光氏(フリーライター)
「層が厚いとされる3歳牝馬路線で3戦3勝。女王にふさわしい存在です。阪神JFでの完璧な内容から、年が明けても簡単にその差を詰められるとは思えません。まして、父も、母も、完成したのはもっと年を重ねてから。この馬についても早熟という心配はなさそうで、まだまだ伸びしろが期待できます。ただ、成長した分、マイル戦での距離適性に疑問が生じます。復帰戦のチューリップ賞で、その辺の見極めが必要でしょう」

本誌競馬班
「阪神JFで完勝した力は本物。弱点が見当たらず、牡馬路線でも通用しそう」

 2位は、クイーンCで重賞初勝利を飾ったアドマイヤミヤビ。前回の4位から一気にランクアップし、一躍クラシック候補に浮上した。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「始動戦のクイーンCを快勝。2歳時の百日草特別(2016年11月6日/東京・芝2000m)で、のちにGIII京都2歳Sを制したカデナを抑えた実力は本物でした。2着に敗れたデビュー戦を除いて、3戦連続で上がり33秒台をマーク。単に仕掛けてすぐにトップギアに入るのではなく、ふかしつつ、しっかりとギアを上げていくタイプで直線の長いコースに向いています。折り合いも不問で、距離延長もまったく心配いりません。オークスの舞台となれば、独壇場でしょう」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「クイーンCは、逃げたレーヌミノル(4着)が中間の400mを除いてイーブンペースで保持し、上がり34秒6という速い時計をマークして粘る中、それ以上の上がりを使った馬が何頭かいました。結果、レースの上がりは34秒1という驚異のタイムを記録。しかも、阪神JFの2頭を上回る3頭もの馬がレーヌミノルに先着しました。それこそ、クイーンCのレベルの高さを物語っています。なかでも素晴らしかったのは、アドマイヤミヤビ。百日草特別で牡馬一線級を一蹴して注目されていましたが、3カ月ぶりのレースにもかかわらず、33秒6という強烈な末脚を繰り出して快勝しました」

木南氏
「クイーンCではフローレスマジックに期待していて、この馬については半信半疑でした。ところが、勝った時計も、内容も素晴らしかった。グランアルマダ(父ダイワメジャー)、ミッキーシャンティ(父ダノンシャンティ)の半兄2頭は、芝中距離のジリ脚タイプ。父がハーツクライになって、ここまで違うタイプの馬になるとは驚きです」

 3位は、前回の2位からひとつ順位を落としたリスグラシュー(牝3歳/父ハーツクライ)。同馬もチューリップ賞から始動。阪神JF2着の雪辱を狙う。



吉田氏
「阪神JFは枠入れの順番で物議を醸しましたが、いずれにしろ、大外枠で出遅れて外を回る大きなロスがありながら最速の上がりをマークして、勝ったソウルスターリングとはコンマ2秒差。十分に評価できる内容だったと思います。2月22日の追い切りでは、アルテミスS(2016年10月29日/東京・芝1600m)でコンビを組んで勝利した武豊騎手が騎乗。素晴らしい動きを見せていました。目に見えるような馬体の成長はありませんでしたが、ストライドをしっかりと伸ばした走りは健在です。阪神JFのリベンジに向けて、陣営の意気込みも相当なもの。チューリップ賞→桜花賞と”ホーム”で戦える利は、かなりのアドバンテージになるでしょう」

本誌競馬班
「出遅れなど課題がある分、上位2頭よりも評価を落としましたが、能力的な差はないと見ています。決め手は世代トップクラスでしょう」

 4位には、重賞で続けて2着と好走したアエロリットが初のランクイン。デビュー以来、4戦4連対という安定感は魅力だ。

市丸氏
「TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では、アドマイヤミヤビに次ぐ2位となります。この馬はまだ連を外していませんが、2着が3回。実はかなりソラを使う馬で、勝ち切れないでいるのはそれが影響していると思います。2戦目の500万特別サフラン賞(2016年10月2日/中山・芝1600m)でも、先頭に立ってから気を抜いて、最後の最後で外からハナ差かわされてしまいました。このソラを使う癖さえなければ、相当な器です。クイーンCではレーヌミノルをかわしたあと、外からアドマイヤミヤビが来たおかげで気を抜くことなく、もう1回伸びました。この好走をフロックと考えると、痛い目を見ると思いますよ」

 5位は、ミスエルテ(牝3歳/父フランケル)。朝日杯フューチュリティS(2016年12月18日/阪神・芝1600m)で4着に終わり、人気も評価も急降下しているが、その底力は侮れない。

土屋氏
「同じ父のソウルスターリングと何かと比較され、朝日杯の敗戦によって大きく株を落としてしまいましたが、朝日杯は2戦続けての馬体重減が少なからず影響。この馬本来の状態ではなかったと思います。万全なら、もう少しやれていいはず。直行する桜花賞の際には、できれば少しふっくらした見た目で出てきてほしいところです」

 4位以降はほぼ差がなく、ランクインを逃した馬の中にも、評価の高い馬がいる。ここまで2戦2勝のファンディーナ(牝3歳/父ディープインパクト)である。

木南氏
「衝撃的な新馬戦の勝利に続き、500万特別のつばき賞(2月19日/京都・芝1800m)では控える形で結果を出しました。この2戦のパフォーマンスから、既成勢力を脅かす存在と言えます。牝馬ながら、500kgを超える馬体も大物感を漂わせています。半兄ナムラシングンも皐月賞で一瞬見せ場を作った素質馬で、同様の活躍が見込めます。もまれたとき、坂のある阪神コース、ハイペース……など、さまざまな課題はあるものの、無事にクラシックの出走権を獲得し、有力馬相手にどこまでやれるか見てみたいですね」 チューリップ賞から、いよいよ前哨戦が本格化。桜花賞本番に向けて、既成勢力がさらなる強さを見せるのか、意外な”新星”の登場があるのか、興味は尽きない。

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