2017年クラシック候補たち
第3回:リスグラシュー

 例年になく「ハイレベル」と言われる、今年の3歳牝馬戦線。現在、その中心とされるのは、昨年暮れの2歳GI阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF。2016年12月11日/阪神・芝1600m)を制して2歳女王となったソウルスターリングだろう。直線で余裕たっぷりに抜け出したレースぶりは、まさに”完勝”と言える内容だった。

 しかし、そこで敗戦を喫した馬の中にも、まだ逆転の可能性を秘めた馬がいる。阪神JFで2着と涙を飲んだリスグラシュー(牝3歳/父ハーツクライ)である。


阪神JFでは2着だったリスグラシュー。クラシックでの戴冠を目指す デビュー戦は惜しくも2着に敗れるも、2戦目の未勝利(2016年9月10日/阪神・芝1800m)では2歳レコードをマークして4馬身差の圧勝劇を披露。続くGIIIアルテミスS(2016年10月29日/東京・芝1600m)でも骨のあるメンバーを蹴散らして、見事に重賞初制覇を飾った。そして、4戦目に挑んだのがGIの舞台だった。

 その阪神JFでは不運が重なった。18頭立ての大外枠という不利な枠順を引いたうえ、スタートで1馬身ほどの出遅れを喫してしまったのだ。結局それが響いて、最終コーナーでは多頭数の大外を回らされ、かなりのロスを被る展開となった。

 しかし、リスグラシューはそこから猛追。先に抜け出したソウルスターリングは捉えられなかったものの、最後まで力強い末脚を見せて、2着に食い込んだ。

 勝ち馬は内枠から先行し、最後もインコースを抜けた”理想的なレース”で快勝した。一方で、リスグラシューは最も厳しいレースを強いられた。

 そんな敗戦だったからこそ、同馬を管理する矢作芳人厩舎(栗東トレセン/滋賀県)では、”逆転”に自信を見せているようだ。関西競馬専門誌のトラックマンが陣営の様子を伝える。

「阪神JFのレースぶりは、むしろ(リスグラシューの)強さを感じさせる内容で、『勝ち馬との力差はそこまで感じていない』というのが、陣営の感想ですね。もともとスタートに不安のある馬ですが、その点が解消できれば、確実に差は縮まってくるでしょう」

 阪神JFのあとは休養に入って、復帰戦はGIIIチューリップ賞(3月4日/阪神・芝1600m)が予定されている。ここで早くもソウルスターリングとぶつかるが、スムーズなレース運びを実現できれば、実際に力差がないことを証明できるかもしれない。

 そしてその後は、もちろんGI桜花賞(4月9日/阪神・芝1600m)、さらにGIオークス(5月21日/東京・芝2400m)と、牝馬クラシックが大きな目標となる。

 これらの大一番に向けて、陣営ではどんなプランを描いているのだろうか。先述のトラックマンが明かす。

「もともと完成度が非常に高い馬で、休養前と後では『いい意味で変わっていない』とのこと。『チューリップ賞には余裕残しで臨んで、桜花賞とオークスに向けて調子を上げていく』と話していました。距離が延びても問題はないようなので、ふたつのレースともに主力として扱うべき存在でしょう」 阪神JFでは負けたものの、まだ勝負づけは済んでいない――陣営のコメントからはそんな思いが伝わってくる。クラシックの舞台で”真の世代女王”となるべく、リスグラシューの新たな挑戦が始まる。

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