【意外と知らない】内気循環の使い方でエアコンの悪臭を防ぐことができる

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内気循環では外の臭いは入らないが空気は淀みがち

クルマの空調の外気導入と内気循環。これをどう使い分けるのかは意外と難しいが、それぞれの基本的な特徴は昔からほとんど変わっていない。

外気導入は常に換気ができるため、窓ガラスの曇り防止に有効。車内の酸素濃度の低下や二酸化炭素濃度の上昇を防ぐのも有効だ。

デメリットとしては、前方を走るディーゼルエンジン車などの不快な排気ガスや異臭(最近のクリーンディーゼルでも多少は特有の嫌な臭いが出る)、またフィルターがあると言っても花粉などの微細な異物を車内に取り込んでしまうことだ。

一方の内気循環の特徴は外気導入と真逆で、外部の余計なものを車内に取り込まない代わりに車内の空気が淀みやすくなる。また、外気温が高い真夏は冷房の効きが少し良くなるメリットもある。

最近のクルマや欧州車などでは、エアコンをオートモードにしておくと、状況に応じて外気導入と内気循環を自動的に切り替えてくれるが、昔から推奨されるのは、通常は外気導入が基本で、何か嫌な臭いが入ってきた時に内気循環に切り替えるという使い方だ。

ただ、内気循環といっても車内を完璧に密封できるわけではないし、最近のクルマでは内気循環でもフィルター機能が働くので、車内に取り込まれた異臭が延々と居残ることはない。また外部の空気が一切入らないわけでもない(ドイツの高級車など、密封性がかなり高いクルマもある)。

基本を内気循環にして悪臭を防ぐ

あと、外気導入と内気循環の使い方で悩むポイントとしては「エアコンの悪臭はどっちが防ぎやすいのか?」が挙げられる。

車内で喫煙をする人でエアコンの臭いを気にする場合は、迷わず外気導入にしたほうが良いが、エアコンがカビ臭くなるのを防ぐには、できるだけ車内の湿度を低く保つのが有効だ。

飲み物はペットボトルなど蓋ができるものを選び、濡れたウエスは持ち込まないなど、車内の湿度を上げる要因を徹底的に排除することを常に意識づける。

初代インプレッサWRXを24年間乗り続けながら、エアコンの異臭を防ぎ続けられた個人的な経験から言うと、まず、基本は常時内気循環。雨の日や乗員の数が多いときでも内気循環にして、その場合はエアコン風量をやや強めにする(コンプレッサーもON)。窓が曇りだしたり、空気の淀みを感じた場合はもちろん外気導入に切り替える。

冬場の晴れの日など、車外の気温が低くて乾燥気味の時は、できるだけ車内を乾燥させるイメージで積極的に外気を取り込むのがコツだ。

この際、騒音が気にならない状況なら、わずかに窓を開けて窓から冷たい空気を取り込みつつ、暖房の温度設定は上限まで高めにしてできるだけ熱い空気が出るようにし、車内の温度を調整。

除湿の必要はないのでコンプレッサーはOFFのままで良い。そうすると、空調の経路に乾燥した温度が高めの空気が循環するようになるので、空調経路内部の防カビ効果が高くなる。湿度が下がる冬場は空調経路を乾かす好機だ。

4ドア車の場合、助手席側の前後ドアの窓をわずかに開けると、効果的に車内の空気が換気されつつ(運転席側の前後ドアの窓は閉めたまま)、道路の遮音壁との共鳴音などの騒音は最低限に抑えられる。

これはあくまで参考までにという話だが、このような感じで、クルマの空調の使い方は意外と工夫を凝らせることができる。ただ単に外気導入と内気循環を切り替えるだけではなく、窓からの換気も上手く利用すれば空調設定の幅が広がるのだ。