3か月で専門的な知識を習得する。日本初のVRの専門学校「VRプロフェッショナルアカデミー」とは?

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昨今、非常に注目されている「VR(仮想現実:Virtual Rality)」の世界ですが、このVRについて学ぶことのできるVRプロフェッショナルアカデミーが、2017年4月に開校されます。しかしVRの学校といってもどんなことを学ぶのでしょうか。そこで今回は、設立の経緯やカリキュラム内容を取材してみました。

VRの普及にはVRを学ぶ場が必要だと感じ開校



VRプロフェッショナルアカデミーを運営するVRデザイン研究所の所長・勝野明彦さんと、エンジニアの月田直樹さんにお話を伺いました。

勝野さんは過去にyahooのコンテンツだった「アバター」に携わっており、それをきっかけにネットコミュニティ分野を研究。それを発展させる形で、VRについて研究するVRデザイン研究所を設立しました。

VRを研究する中で、VRという新しい分野の魅力だけでなく、日本国内におけるVR分野の技術者不足など実情を知り、普及させるには学びの場が必要だと感じたそうです。これがVRプロフェッショナルアカデミーを開校するきっかけになったといいます。

VRアプリケーション開発の基本から高度な応用技術まで学ぶ


その名のとおり、VRのプロフェッショナルを育てる学校ですが、コースやカリキュラムがどのようになっているのか気になるところ。月田さんによると、まず2月に1日だけのVR体験講座、いわゆるワークショップを開く予定。対象者は「C言語系またはJavaまたはUnity、3DCGを学習したことがある人」となっていますが、300人近い参加希望申し込みがあったそうです。大学生など若い世代から、40代の元VR研究者など幅広い応募があり、この中からウェブ面談やプログラムスキルチェックをパスした人がワークショップに参加する予定です。

ワークショップ参加者は、4月1日からスタートする本講座に参加することになります。本講座は「VRエンジニアコース」と「VRクリエイターコース」の2つに分かれており、エンジニアコースでは、Unityを用いたVRアプリケーション開発のスキルを学習。クリエイターコースでは、Unityを用いたモバイルベースのVRコンテンツ開発と、そのワークフローを学び、企画だけでなくプロトタイプアプリを開発できるクリエイターを目指す学習が行われます。

例えばカリキュラムの中には、

・VR酔いの原因とその対策

・VRに適したUIの作成

・VR空間でのスケール設計のコツ

などを学ぶものがあります。他にも「クエスト」と呼ばれる開発案件や技術課題など実践的な学習プログラムも盛り込まれています。最終的には学んだ内容を踏まえて制作したプロトタイプや技術研究の発表を行ったうえで卒業、という流れ。このカリキュラムを3か月で学ぶというのは、なかなかハードな学習スケジュール。受講者にもそれなりの気合いが必要になりそうです。

VRエンジニアコースのカリキュラム例

勝野さんによると、今後はVRフェスなどを開催し、さらなるVRの普及に尽力するとのこと。また、技術者育成のための技術認定制度をつくることなども考えているそうです。

正直コンテンツの不足感が否めないVRの分野ですが、こうした取り組みから魅力的なコンテンツが生み出されるのを期待したいところです。

取材協力:VRデザイン研究所