ボーナス込みの合計1000万ユーロでユーベに保有権が移ったオルソリーニ。ユーベがミランやナポリを出し抜いた。画像はユベントスの公式ツイッターより

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 現地時間1月31日の23時にクローズした冬のカルチョメルカート。セリエAでは20チーム合計で57人が新規に選手登録されたが、移籍金が1000万ユーロ(約12億円)を超えるビッグディールは、計2200万ユーロ(約26億4000万円)のロベルト・ガリアルディーニ(アタランタ→インテル。まずはレンタルで、2018年6月に買い取り義務が発生)、1800万ユーロ(約21億6000万円)のレオナルド・パボレッティ(ジェノア→ナポリ)という2件のみだった。
 
 完全移籍の件数も数えるほどで、目立った移籍はジェラール・デウロフェウ(エバートン→ミラン)、ルーカス・オカンポス(ジェノア→ミラン)、リッカルド・サポナーラ(エンポリ→フィオレンティーナ)、クレマン・グレニエ(リヨン→ローマ)、ダニーロ・カタルディ(ラツィオ→ジェノア)、オスカル・ヒリエマルク(パレルモ→ジェノア)など、ほとんどがレンタルだった。多くのクラブが財政難に悩む近年の傾向が今冬も続いた格好だ。
 
 その中で注目すべき傾向を挙げるとすれば、ビッグクラブの間でイタリア人の若手タレントの「争奪戦」が勃発したことだろう。
 
 近年のユベントスの成功を受けて、イタリア人のグループを中核に据えて継続性を持ったチーム作りを進める重要性が広く認識されてきたことに加え、今シーズンはアタランタ、ミラン、ラツィオといったクラブが生え抜きの若手を積極的に抜擢して結果を残していることもあって、20歳前後のイタリア人タレントを「先物買い」しようという動きが一気に広まった。
 
 その象徴とも言えるのが、1月30日にセリエBのアスコリからユベントスが600万ユーロ(約7億2000万円)+ボーナス400万ユーロ(約4億8000万)で保有権を買い取った19歳のFWリッカルド・オルソリーニ(イタリアU-20代表)だ。
 
 アスコリの育成部門で育った左利きのウインガーは、昨シーズンのプリマベーラ(U-19)・リーグで17得点・9アシスト(21試合)という数字を叩き出して注目を集めるまでは、ほぼ無名と言っていい存在だった。
 しかし、トップチームに本格デビューした今シーズンは、開幕から右ウイングとしてレギュラーに定着。ここまで4得点・4アシストという活躍を見せている。
 
 183センチ・75キロというバランスの取れた体躯に、170センチ前後のプレーヤー並みのクイックネスとアジリティー、そして優れた足技を備えたドリブラーで、トリッキーなテクニックを駆使した1対1のドリブル突破と、右サイドから鋭く中央にカットインしての左足シュートが最大の武器だ。
 
 とはいえ、様々な意味でまだ粗削りなタレントであり、今すぐにセリエAで通用するかという問いに対しては否定的な声が多い。以前ならば、サッスオーロ、キエーボ、エンポリ、アタランタといった若手の発掘に熱心なプロビンチャーレ(地方の中小クラブ)が獲得に乗り出すレベルの「原石」と言えばいいだろうか。
 
 しかし今冬は、そのアタランタはもちろん、ミラン、ナポリ、そしてユーベというビッグクラブまでが獲得に乗り出し、文字通りの争奪戦になった。最終的にユーベが支払った移籍金は600万ユーロ。ボーナスの400万ユーロを含めて、セリエBで半年しか実績がない19歳としては破格の値段である。
 
 ユーベはここ数年、シモーネ・ザザ(現バレンシア)をはじめ、ドメニコ・ベラルディ(サッスオーロ)、ダニエレ・ルガーニ(元エンポリ/現ユーベ)、ステーファノ・センシ(元チェゼーナで現在はサッスオーロ保有だが、実質的にユーベのコントロール下にあると見られる)、ロランド・マンドラゴーラ(元ジェノア/現ユーベ)まで、若いイタリア人タレントの「先物買い」を積極的に進めてきた。