厳選!新馬情報局(2017年版)
■第32回:イムノス

 幾多の名馬たちが、その名を刻んできた3歳クラシック。タイトルを手中に収めた勝者たちが語り継がれるのはもちろんだが、あと一歩でタイトルに届かなかった敗者たちがファンの心に残り続けるのも、クラシックのいいところだろう。

 そんな印象的な敗者の代表格として挙げられるのが、2006年の3歳クラシックに挑戦したドリームパスポートだ。

 同馬は、3歳になって2月のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)で初の重賞制覇を遂げて、前哨戦のGIIスプリングS(中山・芝1800m)でも3着と好走。そして、三冠初戦のGI皐月賞(中山・芝2000m)では、10番人気の低評価をくつがえして半馬身差の2着と健闘した。

 続くGI日本ダービー(東京・芝2400m)でも、7番人気ながら3着と好走。トップクラスの実力を示し、春二冠でともに優勝争いを演じた。

 その後、休養を挟んで挑んだGII神戸新聞杯(中京・芝2000m)では、春の二冠を制したメイショウサムソンを下して快勝。誰もが認める「優勝候補」として、最後の一冠となるGI菊花賞(京都・芝3000m)に臨んだ。

 その菊花賞では、2番人気に推されて直線で優勝争いに加わるも、最後はソングオブウインドの強襲にあって2着に惜敗。ついにタイトルを取ることはできなかった。

 しかし、三冠のすべてに出走して2着、3着、2着と、毎回のように勝ち負けを争ったことは、能力がなければできないもの。その姿はファンの心を打ち、人気の高い1頭として今なお語り継がれている。

 そんな兄の背中を追うべく、ドリームパスポートの弟となる3歳馬がデビューを目指している。美浦トレセン(茨城県)の尾関知人厩舎に所属するイムノス(牡3歳/父ディープインパクト)である。

 まだ本格的な調教を始めたばかりの段階だが、陣営はこの馬をどう評価しているのだろうか。関東競馬専門誌のトラックマンが、その様子を伝える。

「スタッフによると、『ディープインパクト産駒らしい軽さとキレがある』とのこと。変なクセもないようですね。ドリームパスポート以外にも、兄たちがコンスタントに活躍していますから、血統的にもそれなりの期待を持っていると思います」

 ドリームパスポートの活躍は前述のとおりだが、それ以外にも、2010年生まれの兄ラウンドワールドは、2歳時にオープン特別を勝ち、GIII札幌2歳S(札幌・芝1800m)でも2着に好走した。「兄は早いうちから活躍しているので、イムノスもデビュー戦から力を発揮できるのではないか」とトラックマンは続ける。

 では、そのデビュー戦はどのくらいの時期になるのだろうか。陣営の話を踏まえながら、トラックマンがこんな見通しを口にする。

「馬体重は420kgほどの小柄で、走りも軽いタイプですから、陣営としては『パワーが求められる中山競馬場は避けたい』とのこと。まだ流動的ですが、1月末からスタートする東京開催に照準を合わせているようです」

 注目の初陣については、体調と適性を考えつつ、じっくりと考えていくようだ。順調にいけば、今年最初の東京開催でその姿を見られることになるだろう。

 名脇役だったドリームパスポートを兄に持つイムノス。兄と同じ舞台に上がり、その雪辱を果たすことができるのか。デビューの日を心待ちにしたい。

河合力●文 text by Kawai Chikara