2017年3歳クラシック
■Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第2弾)

 昨年末に開催されたGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日/阪神・芝1600m)。鮮やかな勝利を飾って「2歳女王」の座に就いたのは、ソウルスターリング(牝3歳/父フランケル)だった。

 一方、同じフランケルを父に持つミスエルテ(牝3歳)は、翌週に行なわれた牡馬路線となるGI朝日杯フューチュリティS(12月18日/阪神・芝1600m)に果敢に挑戦。1番人気の支持を得たものの、4着に敗れて同レース初となる牝馬での優勝は果たせなかった。

 世代を代表する2頭のフランケル産駒。2歳GI戦では明暗を分ける結果が出たが、今回はこれらの成績を受けて、今春の3歳牝馬クラシックの行方を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独自なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位になったのは「2歳女王」に輝いたソウルスターリング。3戦3勝と無敗での戴冠はもちろんのこと、ハイレベルな頂上決戦で見せたパフォーマンスが高評価につながった。

●市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「阪神JFは、前半から平均よりも速いラップが刻まれました。それでいて、レースの上がり3ハロンも35秒2という好時計を記録。それを、ほぼ完璧なレース構成で制したソウルスターリングの強さは相当なものでしょう。道中、内枠を利してインの3番手を確保し、馬群を気にすることなく、ラチ沿いでじっと待機。ほぼ持ったままで直線を向くと、正味追われたのは最後の200mだけでした。まさにインからあっさり抜け出しての完勝と言えます。私の算定したタイムフィルター(TF)指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では、前年の覇者メジャーエンブレムを3ポイント上回り、過去7年でトップ。このまま順調に成長し、強力な新興勢力が出てこなければ、桜花賞までは頂点に立つ"最有力"と断言したいです」

●土屋真光氏(フリーライター)
「この世代は、戦前の評判どおり『牝馬のほうが牡馬より層が厚い』というのは間違いないでしょう。その中で、ソウルスターリングの3戦3勝という実績は申し分ありません。しかも、阪神JFではライバルたちに何もさせない完璧な内容での勝利。この世代の中でひとつ抜けた存在、という印象を受けました。父フランケルは現役時代に2000mまでの距離しか経験していませんが、その2000m戦でも圧巻の勝利を飾っています。母スタセリタもフランス、アメリカで中距離のGIを6勝していて、むしろマイル戦は短いイメージ。それでいながら、マイラー顔負けのパフォーマンスを発揮したことは、段違いの絶対能力の持ち主である証明だと思います」

 2位は、阪神JF2着のリスグラシュー(牝3歳/父ハーツクライ)。ソウルスターリングにこそ敗れたが、メンバー中、最速の上がりをマークして非凡な能力を秘めていることを示した。

●吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「阪神JFは大外枠の18番。通常なら最後の枠入れとなるところを『ゲートへの寄りがよくない』ということで、中途半端なタイミングで枠入れをさせられ、ゲート内で待たされてしまいました。その挙句、出遅れ。ポジショニングも悪くなって、3〜4コーナーにかけては内から6、7頭分の外を回らされるロスを強いられました。レース後、厩舎関係者が主催者側に憤慨するのも納得です。ただ、そうした厳しい状況にあっても、最後は勝ち馬にコンマ2秒差まで迫ったパフォーマンスは立派。『負けたのは悔しいけど、一番強いのはわかった』とコメントした関係者のコメントが真実でしょう。小柄な馬体でまだ成長部分を残している中、精神面はしっかりとしており、舞台や展開を問わずに走れるのは魅力。今後の伸びしろを考えれば、来春が本当に楽しみです」

●市丸氏
「阪神JFでは、勝ったソウルスターリングに1馬身4分の1差。大外18番枠にあって、スタートの出遅れは致命的なものでした。もし内枠発走で普通に出ていれば、十分に逆転はあったでしょう。直線半ばでは一瞬、ソウルスターリングを慌てさせるほどの伸びを見せました。TF指数では、リスグラシューも前年のメジャーエンブレムを1ポイント上回っていて、今のところ牝馬戦線は、阪神JF上位2頭の『2強』と言えるかもしれません」

 3位は、前回1位だったミスエルテ。やはり朝日杯FSでの敗戦が響いて、大きくポイントを下げた。

●土屋氏
「朝日杯FSでは、馬体を減らした前走のGIIIファンタジーS(11月5日/京都・芝1400m)から、さらに4kg減らしての出走。その分、少し余裕がないように感じられました。実際、レースでも中団から伸びそうで伸びませんでした。ファンタジーSの出来にあれば、3着ボンセルヴィーソを楽にかわしていたはずで、やはり本調子ではなかったのではないかと考えます。また、この馬自身、朝日杯FSのような中団に位置取ったレースよりも、後方に控えた大味な競馬のほうが合っているかもしれません。そういう意味でも、まだまだ見限ることはできません」

●吉田氏
「朝日杯FSは、阪神JFよりも多少馬場が悪かったのもありますが、スローペースで全体の時計がかなり平凡なものとなって、4角では団子状態。最後の一瞬の決め手がモノを言う一戦となりました。おかげで、うまく折り合いをつけた1400m戦あたりがベストな馬が上位を独占しました。その結果から、今後につながるレースだったかと言えば、微妙と言わざるを得ません。そうなると、正直4着という成績には物足りなさを感じますが、ミスエルテの評価をこの一戦で下してしまうのはどうかと思っています。何はともあれ、朝日杯FSはこの馬の能力を発揮しにくい舞台であったことは事実。これを糧にしてローテーションや戦法を練り直せば、まだまだリベンジを果たせるのではないでしょうか」

 4位は前回同様、アドマイヤミヤビ(牝3歳/父ハーツクライ)がランクイン。2歳時に重賞出走はなかったものの、2勝目となる百日草特別(11月6日/東京・芝2000m)の内容を評価する声が多かった。

●木南氏
「牡馬ではホープフルSを勝ったレイデオロが出てきたように、やはりウインドインハーヘア(※ディープインパクトの母)の血からは大物が出てくるので、この馬も要注目です。上の兄たち、グランアルマダとミッキーシャンティはややジリ脚っぽかったですが、対照的にこの馬には瞬発力があります。昨年のダービーを勝った(マカヒキを管理する)友道康夫厩舎のカラーとして、同馬も焦らずにレースを使ってくるはず。一戦一戦が勝負になるのではないでしょうか」

●吉田氏
「百日草特別では、その勝ちっぷりも見事でしたが、この時期の2歳牝馬が関東に初めて遠征して馬体重の増減なし、というのは特筆もの。パドックでも無駄なことをせず、精神的にタフな牝馬と判断していいでしょう。個人的には前回ランキングから評価を下げましたが、これは単にレースに出走していない分だけ。次走に予定されているきさらぎ賞(2月5日/京都・芝1800m)の結果次第では、一気にランクアップを考えなくてはいけない素材だと思っています」

 5位も前回と同じくフローレスマジック(牝3歳/父ディープインパクト)こちらもGIには出走することなく、2歳シーズンを終えたが、根強い評価を受けている。

●木南氏
「阪神JFの前と変わらず、この馬を1位としました。アルテミスS(2着。10月29日/東京・芝1600m)で一緒に走ったリスグラシューが阪神JFでもいい競馬をしたことで、この馬の能力は間違いないと確信。姉や兄の実績から血統的に今後の成長が期待でき、今春のクラシック本番を見据えた場合、『(勝つのは)この馬かな』と現時点では思っています。ただ、デビューからの全3戦に騎乗したルメール騎手がソウルスターリングの主戦であるため、陣営が今後、どの騎手を選ぶかが気になるところです」

 年が明けて、徐々にクラシックの蹄音が聞こえ始めている。はたして2017年の"戦国牝馬絵巻"は、このままソウルスターリングが駆け抜けるのか、あるいはそれを阻止する馬が現れるのか、今後の戦いがますます注目される。

text by Sportiva