■2016クリスマス決戦、有馬記念(2)

 12月25日は、中山競馬場で1年を締めくくる大一番・GI有馬記念(芝2500m)が行なわれる。ファン投票上位3頭のキタサンブラック(菊花賞、天皇賞・春、ジャパンカップ)、サトノダイヤモンド(菊花賞)、ゴールドアクター(有馬記念)の他、マリアライト(エリザベス女王杯、宝塚記念)、ミッキークイーン(オークス、秋華賞)の牝馬2頭を加えたGI馬5頭が揃い、ハイレベルな争いが期待される。

 有馬記念に、その年の菊花賞馬(サトノダイヤモンド)とジャパンカップ勝ち馬(キタサンブラック)がともに出走するのは5年ぶり(2011年のオルフェーヴルとブエナビスタ以来)になる。今回は人気を二分するであろう、このサトノダイヤモンド(牡3歳、池江泰寿厩舎)とキタサンブラック(牡4歳、清水久詞厩舎)に焦点を絞って分析してみよう。

 まずはサトノダイヤモンド。デビューから3連勝でGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)を制し、GI皐月賞(中山・芝2000m)3着、GI日本ダービー(東京・芝2400m)2着と春のクラシックでは惜敗が続いたが、秋初戦のGII神戸新聞杯(阪神・芝2400m)を制し、続く菊花賞(芝3000m)でGI初制覇。今回はそれ以来2カ月ぶりの出走となる。

 過去60回の有馬記念で、3歳馬は4歳馬の25勝に次ぐ17勝。その17頭のうち半数以上の10頭が今回のサトノダイヤモンドと同様に菊花賞から直行で有馬記念に出走しており、ローテーションには好感が持てる。レース間隔が約1カ月となるジャパンカップ組に比べても十分な休養と調整期間があるのは有利だ。中山コースは皐月賞で走っており、勝ったディーマジェスティから0秒4差の3着だった。当時は日本ダービーにピークを持っていくよう調整されていたので、敗れたとはいえ内容的には悪くなかった。菊花賞で3000mの距離を克服し、脚質的にも中団より前で競馬ができる器用さを持っているので、コーナーを6度回るこの中山芝2500mも問題ないだろう。

 キタサンブラックもデビューから3連勝で昨年のGIIスプリングステークス(中山・芝1800m)を勝ち、皐月賞3着。菊花賞でGI初制覇を果たしたところまではサトノダイヤモンドと似たような足跡を辿ってきた。菊花賞は控える競馬で勝利を収めたが、昨年の有馬記念以降は逃げ先行の競馬が板に付き、安定性を増している。今年の春には天皇賞・春(京都・芝3200m)を逃げ切り。この秋はGII京都大賞典を2番手からの競馬で制し、ジャパンカップはレース史上3頭目の逃げ切りを果たしている。

 データ的に気になるのがジャパンカップ勝ち馬の有馬記念成績だ。過去36回のジャパンカップ勝ち馬のうち、有馬記念に出走したのは12頭。そのうち勝利したのは1985年シンボリルドルフ、2000年テイエムオペラオー、2004年ゼンノロブロイ、2006年ディープインパクトの4頭。いずれも競馬史に残る名馬ばかりだ。

 過去10年で勝利したのはディープインパクトのみで、出走したのも4頭と少なく、2008年スクリーンヒーロー5着、2011年ブエナビスタ7着、2014年エピファネイア5着と、3頭は馬券にも絡めなかった。これは東京芝2400mと中山芝2500mにおける適性の違いと、状態をピークに保って、2戦続けて能力を出し切る過酷さと難しさを物語っていると言えるだろう。

 ただ、キタサンブラックの場合は近年敗れた馬たちに比べると、余裕を持ってここまで進んできた印象。この秋の2戦は京都大賞典もジャパンカップも良馬場で、1000m通過が1分を超えるスローペースとなり消耗も少なかった。京都大賞典からジャパンカップまでも十分な間隔があったので、反動も少ないだろう。さらに、中山コースの実績も4戦2勝、3着2回と安定。昨年もゴールドアクターから0秒1差の3着だった。昨年は初騎乗の横山典弘騎手だったが、今回は6戦連続騎乗ですっかり名コンビとなった武豊騎手が騎乗。好走の条件は揃ったと言えるだろう。あえて不安を挙げるとすれば、ジャパンカップを逃げ切ったことで他馬のマークはより厳しくなり、早めに他馬に絡まれるかもしれないという点になりそうだ。

 以上、2頭をさまざまなファクターから分析、比較したが、どちらも強調材料が多くて甲乙つけがたく、どちらを選ぶかは非常に難しいところだ。筆者の結論としては、ローテーションにより余裕があって、キタサンブラックの動きを前に見ながらレースを進められるサトノダイヤモンドを上に見たい。来年はフランスの凱旋門賞挑戦と、活躍が大いに期待されている存在なので、夢が広がるような走りを見せてほしい。

平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki