【厳選!2歳馬情報局(2016年版)】
■第29回:ハリーレガシー

 今年も激闘が繰り広げられた3歳「牝馬三冠」レース。それぞれ勝ち馬が異なる展開となったが、「3強」と言われた面々が顔をそろえた一冠目のGI桜花賞(阪神・芝1600m)を制したのは、その「3強」の一角であるジュエラー(牝3歳/父ヴィクトワールピサ)だった。

 同馬は、昨秋のデビュー戦を勝ったあと、牡馬に混じって挑んだGIIIシンザン記念(京都・芝1600m)と、桜花賞トライアルのGIIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)で、ともに僅差の2着と奮闘。いずれも、後方から迫力ある末脚で追い込んで、内容的には勝ちに等しい"惜敗"だった。

 そして迎えた桜花賞。「3強」と呼ばれるライバルである、2歳女王のメジャーエンブレム、チューリップ賞の覇者シンハライトと激突した。7枠13番からスタートしたジュエラーは、道中後方に待機。直線に入って大外から豪快に追い込むと、シンハライトとの一騎打ちへと持ち込む。最後は2頭がほぼ同時にゴール板を通過したが、33秒0という最速の上がりをマークしたジュエラーが、ハナ差で勝利をもぎ取った。

 以後、メジャーエンブレムがNHKマイルC(東京・芝1600m)で、シンハライトがオークス(東京・芝2400m)でGI制覇を遂げるなか、ジュエラーはケガに見舞われて戦列を離れてしまう。それでも、秋になってローズS(阪神・芝1800m)で復帰し、三冠最後のGI秋華賞(京都・芝2000m)に参戦して4着と健闘。来年以降の活躍に期待を持たせた。

 そのジュエラーの全弟が、今年の2歳馬にいる。栗東トレセン(滋賀県)の音無秀孝厩舎に所属するハリーレガシー(牡2歳/父ヴィクトワールピサ)である。

 同馬の母バルドウィナは、ジュエラー以外にも、短距離重賞4勝のワンカラット(牝/父ファルブラヴ)や、重賞2着の経験を持つサンシャイン(牝/父ハーツクライ)らを送り出している。それだけに、ハリーレガシーへの注目は自然と高まっている。

 実際のところ、同馬に対するスタッフたちの評価はどうなのか。関西競馬専門誌のトラックマンはこう話す。

「もともと音無調教師の評価は、非常に高かった一頭ですね。強い調教を始めてからは、少し慎重なコメントが増えていますが、とにかく走る血統なので、ここからどこまで変わってくるか、というところです」

 まだ良化途上の段階にある同馬だが、すでにデビュー戦は決まっている。12月25日の2歳新馬(阪神・芝1600m)になる予定だ。

 1600mという短距離でのデビューとなるが、そんな同馬の距離適性について、陣営はこんなふうに見ているようだ。先述のトラックマンが続ける。


「厩舎スタッフからは、『ジュエラーとはタイプが違って、どちらかというとワンカラットに似ている』というコメントが出ていますね。兄姉はそれぞれ別の厩舎で管理されていましたが、ハリーレガシーは体型的に足が短くて背が低いため、『短距離に適性があるのではないか』と考えているようです」

 血統的にはジュエラーとまったく同じだが、陣営が抱くイメージはより距離が短いところで結果を出してきたワンカラットに近いという。いずれにしても、兄姉たちのように高いレベルで安定した結果を出してくれるのではないか、という期待は大きいようだ。

 今年最後の開催日となる12月25日。ハリーレガシーは、関係者に最高のクリスマスプレゼントを贈ることができるのか。その走りに注目したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara