日本の国民食としてすっかり定着したハンバーガー。GetNavi webでは、国内唯一のハンバーガー評論家・松原好秀さんの協力のもと、選りすぐりの名店を紹介してきました。本稿では、そんな松原さんが厳選したハンバーガーショップの名店をあらためて振り返っていこうと思います。お近くにおでかけの際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

【私が紹介します!】

松原好秀さん

国内唯一のハンバーガー評論家。2004年よりハンバーガーの探求を開始し、食べた個数は推定3000個にのぼる。1日最大12バーガー、10日で46バーガーの審査経験あり(すべて完食)。

 

FELLOWS/表参道

― shop data ―

所在地:東京都港区北青山3-8-11

アクセス:東京メトロ 表参道駅B2出口より歩4分

オープン:2005年11月14日

営業時間:火〜土曜日 11:30〜16:00, 18:00〜22:00(LO)、日曜日 11:30〜19:00(LO)

定休日:月曜日(祝日の場合翌火曜休。要確認)

 

プンと漂う炭のにおい。コゲの苦味と香ばしさーー。「フェローズ」のハンバーガーはバーベキューのようなバーガーである。肉や野菜を炭火で焼いてキャンプ場や河原で食べる、野外のあのバーベキューを想わせるバーガーを出す店だ。

 

 

最も手間のかかる仕込み作業はパティ作り。農場指定・部位指定のオージービーフをブロック肉で仕入れて、丁寧にスジ取りした後、ミンサーで挽く手間をずっと変わらず続けている。きつね色になるまで香ばしく炒めたタマネギがつなぎに入る。だから牛肉の旨味が上品に、丸くやわらかに感じられるのがフェローズらしい特徴だ。

 

「ベーコンチーズバーガー」(1566円)。自家製ベーコンの香りも程好い看板メニュー。肉とチーズとオニオン、三者が混ざり合った瞬間のおいしさがたまらない

 

この150gパティを炭火で、まさにバーベキューのように焼いている。コゲの付け方も、中の火の入れ方も抜群の巧さ! ガバッと大ぶりなグラハムバンズも炭の遠赤効果を使って、サクッと軽快にトーストしている。厚切りにしたオニオンも自家製のベーコンも、すべてが炭火で焼いた”charbroil”だ。

 

B.B.Q KIMURA/航空公園

― shop data ―

所在地:埼玉県所沢市東新井町737-3 第3武井ビル101

アクセス:西武鉄道新宿線 航空公園駅歩16分

オープン:2013年6月9日

営業時間:月曜日(祝日含む)/11:00〜15:30(LO15:00)、火〜日(土曜除く)/11:30〜19:30(LO 19:00)

定休日:土曜日(要確認)

 

郊外の店らしく、広い空間を広く使っているところが何よりよい。壁には年代物の本物のステンドグラス。入口を入ってすぐに立つ間仕切りは、アンティークショップで仕入れた古い窓枠をリノベーションしたもの。扉を開けた瞬間に一発でそのインテリアに魅了される、惚れ惚れするセンスの店だ。

 

 

店主・木村敦さんは高校1年の夏、河原でやったバーベキューで持ち前のホスピタリティに目覚める。「バーベキュー屋がやりたくて」、5年がかりで準備を進めた。そしていよいよオープンという直前に単身テキサスを訪ね、本場の”Real-Barbecue”を食べて一発KO。それ以来、肉を煙で燻すアメリカの伝統料理”barbecue”の本気の専門店を目指して、木村さんは日夜研究に励んでいる。

 

 

↑板のように厚い自家製ベーコンが乗る「燻製ベーコンチーズバーガー」(1130円)。炭火で焼いた粗挽きパティの肉粒感が、バーガーの底で全体の味をしっかりと締めている

 

木村さんは東京・目白のバーガー店「base」に3年間勤めていた。全10品。炭火で焼いたUSビーフの100グラムパティに、ケチャップとマスタード、そして甘いピクルスが挟まるバーガーは、誰もがなじみのあるポップで親しみやすい味わいだ。バンズは地元の人気ベーカリー作。本格的なスモーク料理からポップなハンバーガーまで、硬軟織り交ぜたさまざまなメニューで魅了する、キムラは所沢きっての人気店である。

 

BROZERS’/人形町

― shop data ―

所在地:東京都中央区日本橋人形町2-28-5 月村マンション1階

アクセス:東京メトロ日比谷線・都営浅草線 人形町駅歩7分

オープン:2000年7月3日

営業時間:平日/11:00〜22:00(21:30LO)、日・祝日:/11:00〜20:00(19:30LO)

定休日: 不定休(要確認)

 

 

人形町の「ブラザーズ」は、東京の、いや、日本のハンバーガーが今日これだけ大きな発展を遂げるに至った、そのきっかけをなした店である。優秀な人材も多く輩出している。渋谷の「レッグオンダイナー」、両国の「シェイクツリー」など、かつてブラザーズで活躍し、巣立っていった「弟子」たちの店が、ざっと数えても全国に20以上ある。

 

 

以下はすべてブラザーズが「初めてやったこと」であるーー。BBQ、スイートチリなど「ソース」をかけるバーガーをウリにしたこと。30数品ものバーガーをメニューブックにずらりと並べたこと。サンドイッチを一品も置かなかったこと。そして、レタスをきれいに折り畳んだこと。いまや当たり前になっているこれらのことは、2000年にブラザーズができるまで、他のどの店でもしていなかった。

 

↑名代の「ロットバーガー」(1620円)。丁寧に畳み込んだレタスが背高なバーガーの土台をなす”全部乗せ”。パティはオージービーフ100パーセントのサイズ110グラム。バンズは特注。選べるソースはBBQ、テリヤキ、レッドホットチリ、スイートチリの全4種

 

その折り畳んだレタスに象徴される積み上がったハンバーガーの美しさは、永久不滅の輝きを放っている。名物「ロットバーガー」は、ソース、マヨネーズ、強く振った黒胡椒と、「濃い味ばかり」の集合体であるのに、みごとな均整を保ち、一個のバーガーとして完璧な調和をなしている。まさにバーガー界の金字塔だ。甘酒横丁の散策ついでに、ぜひ訪ねたい21世紀の老舗である。

 

Roller Coast/中川(港北ニュータウン)

― shop data ―

所在地:神奈川県横浜市都筑区中川1-20-18

アクセス:横浜市営地下鉄ブルーライン 中川駅歩2分

オープン:2009年12月26日

営業時間:平日・土曜/11:00〜23:00、日曜・祝日/ 11:00〜22:00

定休日: 火曜日(要確認)

 

ガランと大きなその店内は42坪、60席の広さ。立食パーティーなら100人まで可能という、なかなかの大箱だ。どこかの企業持ちの店ではない。オーナーは個人。店主・大仲さんは、まだ20代のうちにこの店を始めた。

 

 

都内の老舗ダイナー叩き上げの実力者である大仲さん。古巣の影響を強く受け、できる限り「手づくり」することを決意した。パンはバンズからサンドイッチ用のライ麦パンまで、全3種を毎日オーブンで焼いている。パティも自家製。肉屋が挽いた挽肉と店で手切りにした肉とを合わせて成型し、直火のグリラーでグリルしている。

 

↑「ドライベジバーガー」(1080円)。野菜はパプリカ、ズッキーニ、アスパラほか8〜9種類。5つの部位から作るコリッと硬めなパティの上にスイスチーズがとける

 

バーガーメニューは全9品。当初、ベジタリアン向けに肉なしで出していたという「ドライベジバーガー」は、天日干しにした野菜8〜9種類が乗る一品で、今では店の看板メニューだ。かぶり付けば自家製バンズの「もちり」と沈み込むような弾力。同じく自家製の120グラムパティはコリコリとけっこうな粗挽き。広い店内に近所の主婦や子供たちが集まる姿が温かな、地域に愛され、親しまれる店である。

 

写真/新井由己、松原好秀