レンジャーズ・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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レ軍はダルビッシュに大金を費やすべきか?

 テキサスの地元メディアが、来年限りで契約満了となるダルビッシュ有投手について、レンジャーズは大金を使ってでも契約を延長するべきだとあらためて訴えている。地元紙「スターテレグラム」が「レンジャーズの資金問題はユウ・ダルビッシュの再契約に影響しない」とのタイトルで特集している。

 記事ではまず、「(新たな)スタジアム建設のため、アーリントンの納税者がテキサス・レンジャーズに5億ドル(約576億円)付与することに同意した」と現状を説明。一方で、「レンジャーズは年俸を上げるつもりはないと頻繁に述べている」と、球団がこの資金を選手に“還元”するつもりはないことを指摘している。

 ただ、レンジャーズの資金力は、メジャーでも上位に位置する。「レンジャーズがワールドシリーズに進出できなかったのは、年俸のせいではない。いかにして資金が使われたかである」。同紙はこのように説明。2011年を最後にワールドシリーズ進出を果たせていないレンジャーズだが、選手に対しては十分にお金を費やしているという。「過去5年、レンジャーズはMLB(選手総)年俸において5回(30球団中)トップ10に入っている」という事実もある。

 その結果として、最近5年で3度のプレーオフ進出を勝ち取っているが、ワールドシリーズ出場はないことから、結果に結びついているかと言えば、疑問が残る。それでも、ダルビッシュについては大金を使ってでも残すべきだという。

「ユウはトミー・ジョン手術を受けて1年離脱した。そして、5年6000万ドル(実際には5600万ドル=約74億円)契約の最終年に突入しようとしている。もし彼がフリーエージェントになった場合、少なくとも5年契約で毎年2000万ドル(約23億円)を得ることになるだろう。少なくともだ」

今オフにトレードには出す予定はない?

 記事では、このように指摘。ダルビッシュのFA後の年俸は最低でも2000万ドルに達すると予想している。地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」では以前、6年総額2億ドル(約233億円)規模の契約になると伝えていた。

「あなたがどう思うと関係ない、これは起こり得るのだ。これが優秀な投手の価格である。ユウ・ダルビッシュは優秀な投手だ。しかし、素晴らしいと言う程ではない。

 ブルージェイズと対決した、アメリカンリーグのディビジョンシリーズ第2戦は痛ましかった。5回を投げ、5被安打、5失点、4被本塁打。しかし、これも関係ない」

 メジャー屈指の投手と評価されることもあるダルビッシュに対して、記事では現実的な寸評を並べており、今季のプレーオフでの“炎上”も厳しく指摘しているが、それが新たな契約に影響を与えることはないという。「優秀な投手は稀である。(GMの)ジョン・ダニエルズは彼のことが大好きだし、トレードには出す予定はない。しばらく彼は球団にいるだろう」。地元メディアの中には、見返りに有望な若手を獲得するためにダルビッシュをトレードに出すべきとの声もあるが、今オフに移籍となる可能性も低いと、同紙は分析している。

「ユウの要求を先送りにした場合、彼がフリーエージェントになった際、球団を去る口実になるのではないかと彼らは恐れている。歴史的に、FA投手はアーリントンから離れていくのだ。 アレックス・ロドリゲス以降、ユウと同等の自由を与えられているレンジャーズの選手はいない。また、マイナーから昇格しナンバー2を担えるような投手がいない」

 代わりを務められる人材はおらず、球団は交渉でダルビッシュ側の要求に応えてでも、契約を延長して流出を阻止するべきだと同紙は主張している。2018年、ダルビッシュはどのチームのユニフォームを着てマウンドに上がるのだろうか。