オオアサ電子は、無指向性スピーカー「Egretta(エグレッタ)」シリーズの新製品として、「TS1000F」を12月上旬より発売する。価格は2本1組で350,000円(税別)。ツイーターに新開発素材を用いることでハイレゾに対応した。プレス向け発表会での情報を交えてレポートする。

オオアサ電子「TS1000F」

新開発素材採用のハイルドライバーで広帯域再生を実現

「TS1000F」は、ドライバーユニットを上向きに設置し、その真上に用意した反射材(リフレクター)で音を全方位に拡散させる無指向性スピーカー「Egretta」シリーズの第2世代製品。搭載するスピーカーユニットは、130mmのコーン型ウーハー1基と、50mm角のツイーター1基の2Wayシステムで、システムの再生周波数帯域は44Hz〜45kHz。前世代の「TS1000」から見た目はさほど変わっていないが、新たにハイレゾに対応するとともに、音のチューニングもあわせて見直すなど、内部はガラリと変わっている。

その中でも最大の特徴は、ハイルドライバー方式のツイーターを搭載したこと。ハイルドライバーでは蛇腹状の振動板フィルムを採用。そのフィルム内部に配線を設けており、そこに電流が通るとフィルムが伸縮し音を出す仕組みだ。フィルム面全体が均一に振動するため、一般的なドーム型ツイーターに比べて、軽快でのびやかな高音表現が行えるという。

「TS1000F」では、そのハイルドライバーの振動板に新開発の素材を使用。一般的にはカプトンと呼ばれるポリイミド/高分子素材素が使われるが、本モデルでは粘土を主原料としつつポリイミドも混ぜた「ポリマー・クレイ・コンポジット」を採用。さらに折り方などの製法も最適化することで、つながりのよい自然な音色と、なめらかな高音を再現したのだ。

本体に搭載されるハイルドライバーユニット。内部のウェーブ状に見えるのが新開発の素材を用いた「ポリマー・クレイ・コンポジット振動フィルム」だ。住友精化と産総研(国立研究開発法人 産業総合技術研究所)との共同研究において、東京工科大学の山下教授の技術指導のもとで開発された複合フィルムとのことだ

蛇腹状に加工されたフィルム。その内部にプリントされている回路に電流を流すことでフィルムが伸縮。その時に発生する空気の押し引きで音を再現する。高柔軟性、高耐熱性、低熱収縮性を備えており、ハイルドライバーの振動板としても適した素材だという

また、ハイルドライバーを搭載するほかの広帯域スピーカーに比べて、インピーダンスが8Ωと高く、出力音圧レベルも87dB/2.83V/1mと大きいのもポイント。そのためアンプへの負荷が少なく、小さな電力でもしっかりドライブできるようになっている。実際に会場では、東和電子の小型コンポシステム「NANOCOMPO」(ダイナミックパワー時13W+13W、8Ω)と組み合わせていたが、しっかりと鳴っていたのが印象的だった。

スピーカーユニットは本体頭部に取り付けられている。下段の黒く見えるのがウーファー。その真上にあるのが、ツイーターになっている。各スピーカーユニット上部にはリフレクターが備えられている

部屋のインテリアにも合う白漆喰仕上げの落ちついたデザイン

外観は白を基調とした落ち着いた配色。メイドインジャパンの白漆喰(生地)仕上げで、リビングに置いても調和のとりやすいデザインとなっている。

そのほか、胴体内部にある空気制動の役割を持つダクトの長さや、スピーカー端子部の回路設計や使われる部品も、ツイーターの変更にともない最適化しているという。

スピーカー端子はバナナプラグ。最大入力は50W。クロスオーバー周波数は3000Hz。本体サイズは、約330(幅)×960(高さ)×330(奥行)mmで重量は22.4kg(約11.2kg/1本)。専用インシュレーターが付属する。

なお、既存の「TS1000」のオーナーを対象とした、「TS1000F」へのアップグレードサービスも実施予定とのこと。

白漆喰仕上げの胴体。専用のインシュレーターも付属する。スピーカー端子はバナナプラグ

白漆喰仕上げの胴体。専用のインシュレーターも付属する。スピーカー端子はバナナプラグ


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