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ビジュアル系バンドといえば、バンド名がカタカナや漢字から英語になるなど、その表記が変わることもしばしば。たとえば、「“大日本異端芸者”ガゼット」は「the GazettE」に、「新興宗教楽団NoGoD」は「NoGoD」に変更されるなど、ファンが知らぬ間に表記が変わっていることはよくある話だ。

10代のノリで「アイタタ……」な名前を付けてしまい、バンドが大きくなるに連れて黒歴史と化すというパターンも少なくないのだろう。とはいえ、ビジュアル系というジャンルを脱却しようとした場合、無難な英語表記にしておいた方が余計な先入観を与えずに済むという利点もある。

今回は、先日開催された「Visual Japan Summit」でメインステージを彩り、今なお根強い人気を誇る「A9(読み:エーナイン)」にフォーカス。かれらの表記変遷の歴史を見ていこう。

第1形態:「アリス九號」


2004年に元FatimaのNao(Dr.)と元Delta Arkの沙我(Ba.)が、元ギブスの将(Vo.)と虎(Gt.)を誘い、そこにヒロト(Gt.)が加わって結成されたのがA9の前身である「アリス九號」(読み:アリスナイン)だ。2004年から現在までの12年間、このオリジナル・メンバーでバンドを続けてきた。

カタカナと漢字が組み合わさったバンド名は和洋折衷をコンセプトに考えられたもの。デビュー当初は和柄を多用した衣装を身につけるなど、バンド名と世界観がリンクしていたことが印象的だった。2005年に発売されたシングル「百合は蒼く咲いて」でも、不思議の国のアリスと和風をミックスしたような衣装が一際目を引いた。

「九號」の由来は、陰陽道でもっとも強いパワーがあるとされている数字「9」を取り入れたものだという。

コンマを追加! 第2形態:「アリス九號.」


さて、「アリス九號」としてバンドをスタートさせた年、ビジュアル系の大手音楽プロダクションPS COMPANYに所属したことで一躍その名が広がった。
PS COMPANYといえば、これまで「bis」「雅-miyavi-」「Kagrra,」「SuG」「ViViD」「ダウト」などを排出した有名プロダクションで、ビジュアル系で知らない者はいない。現在では、残留している花形バンドが「the GazettE」だけという不調ぶりだが、当時はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでビジュアルシーンを牽引していた。

かれらはここで一度目の表記変更を行う。新たな表記は「アリス九號.」。コンマが追加されたというマイナーチェンジだったので、熱心なファン以外に気付いた人がいるかは定かではない……。

第3形態:「Alice Nine」へと変更


その後、洋楽テーストを取り入れ始め、ハードな楽曲も増えていったかれら。すると当初の和洋折衷のコンセプトにゆらぎが生じ始める。そこで結成5年を期に、メディア露出時の表記をすべて「Alice Nine」へと変更。バンドとしても、1つの区切りを付けることとなった。

ちなみに、この年に発表された楽曲「華」ではメンバー全員がスーツを身に纏いシックな装いを披露している。英語表記になったことでオトナな色が前面に押し出された結果となった。

・第4形態:「A9」へと飛翔


さて、バンド10周年目に突入した2014年8月18日、10年間契約を結んでいたPS COMPANYから、ついに離籍することを発表。2015年3月より、アリスインは3度目の進化を遂げ「A9」(エーナイン)として活動を再開することに。
「あれ、アリスいつのまにかバンド名変わってない?」「これなんて読むの?」など、「エーナイン」という呼び慣れないバンド名にファンも困惑の色を隠せない様子だった。

「A9」へと名称変更をした理由として、公式サイトでは「今後アーティスト活動を継続し、更に飛躍していく上で、【AliceNine】のバンド商標を使用することが活動の幅に制限をもたらす可能性があり、本当の意味で独立・再始動をして前に進んでいく為には、バンド名を変更するのが最善であると考えたため」と説明された。

離籍するバンドが目立つPS COMPANYだけに、「アリスナインも事務所の方針に疑問を感じていたのではないか」「なんか背後に闇がありそう」などさまざまな憶測が飛び交った。

現在も突き進むA9


2015年8月には、A9として発のミニアルバム「銀河ノヲト」を発表。このアルバムに収録された「Phoenix」は、新たな気持ちで打一歩を踏み出すかれらの「飛翔」の気持ちが込められた一曲となった。また、「銀河ノヲト」と、夏にリリースされた「LIGHT AND DARKNESS」をあわせたアルバム「Grace」も発売され、心機一転活動を続けている。

バンドの表記変更の歴史は、バンドの苦難と成長の歴史でもある。もちろんファンを動揺させることもあるだろう。だが、節目節目で自分たちの音楽と真剣に向き合いっているからこそ、ファンも彼らの強い思いに導かれ続けているのかもしれない。
(野中すふれ)

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