■厳選!2歳馬情報局(2016年版)
◆第24回:グローブシアター

 秋競馬のシーズン真っ盛りのなか、来年のクラシックを目指す若駒たちも、毎週数多くデビューしている。その2歳馬のなかには、母がGI馬、あるいは兄姉がGI馬という良血馬もたくさんいる。

 近年は日本競馬の国際化が進んだこともあって、国内GIに限らず、海外GIを勝った繁殖牝馬が輸入されたり、その兄姉が海外GIを勝っていたりしていて、そうした良血馬はますます増えている。

 ただ、母がGI馬で、なおかつ兄姉もGIを勝っている2歳馬というのは、決して多くはない。そんな稀(まれ)に見る"超良血"馬が今週デビューを迎える。

 栗東トレセン(滋賀県)の角居勝彦厩舎に所属する、グローブシアター(牡2歳/父キングカメハメハ)である。

 競馬ファンにとっては、説明不要なほど、誰もが知っている血統と言っていいだろう。母は、2005年に日米のオークス制覇を成し遂げたシーザリオ。故障によって、わずか6戦で現役生活を終えたが、5勝(うちGI2勝、GIII1勝)2着1回という輝かしい成績を残した。もし無事だったら、きっと牡馬相手にもGIで好勝負を演じていたはずだ。

 彼女は繁殖牝馬になってからも、素晴らしい功績を挙げている。2010年に生んだエピファネイア(牡/父シンボリクリスエス)は、GI菊花賞(京都・芝3000m)と、GIジャパンカップ(東京・芝2400m)で戴冠。ジャパンカップでは、当時世界ナンバー1の評価を受けていたジャスタウェイを4馬身も突き離した。

 また、2013年に生んだリオンディーズ(牡/父キングカメハメハ)は、昨年のGI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)を快勝。キャリア2戦目でのGI勝利という快挙を果たした。今年10月、故障して早々に引退してしまったが、今春の3歳牡馬クラシックでは有力馬の一角として奮闘。GI皐月賞(中山・芝2000m)、GI日本ダービー(東京・芝2400m)は、ともに5着と健闘した。

 これほど偉大な母と兄を持つだけあって、生まれたときから注目度が高かったグローブシアター。デビュー前の育成を行なったノーザンファーム早来の森下政治氏は、今春の取材で同馬の印象をこう語っていた。

「リオンディーズのほうが体も大きく、幅もあって、兄たちに比べるとグローブシアターは体が小さかったですね。最初のうちは、その点を考慮しながらやってきました。それでも、ここにきて成長し、(馬体は)上のほうにも伸びていますし、幅も出てきました。そして、兄たちと同様、いい走りをします」

 グローブシアターは現在、母や兄も手がけてきた角居厩舎に入厩し、デビューへ向けて調整している。500kg近かったエピファネイアやリオンディーズに比べて、相変わらず馬体は小さいようだが、スタッフの評価は高いという。やはり、この血統には、目を見張る"モノ"があるそうだ。関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「馬体重は460kgほどで、活躍した兄たちと比べると確かに小さいかもしれません。ただ、スタッフによれば、『能力の高さは共通している』とのこと。速い調教では、それなりにいい動きを見せているようです。厩舎全体の評価も高く、『デビュー戦の勝ち方次第ではクラシックへ』という意気込みです」

 馬体の小ささについては、「スタッフも特に心配していない」とトラックマン。逆に不安視されるのは、兄たち同様、気性だという。

「グローブシアターは、まだ前向きさに欠けるようですが、そこは闘争心が強かった兄を見てもわかるとおり、レースを使えば解消されるはず。むしろ、1度使ってから表に出そうな闘争心を、うまくコントロールができるかどうか、ちょっと心配ですね」

 エピファネイアやリオンディーズは、レースにいって気持ちがたかぶりすぎて、抑えが効かなくなるシーンがよく見られた。これからデビューを迎えるグローブシアターも、出世するにはその辺りがポイントになるかもしれない。

 初陣の予定は、11月13日の2歳新馬(京都・芝1800m)。今年の2歳戦線を占う意味でも、この超良血馬のデビュー戦は見逃せない。

河合力●文 text by Kawai Chikara