今週末、10月30日に東京競馬場で行なわれるGI天皇賞・秋(芝2000m)。今回は最重要ステップレースと位置づけられるGII毎日王冠(東京・芝1800m)を制し、有力馬の1頭となったルージュバック(牝4歳/美浦・大竹正博厩舎)について分析しよう。

 同馬は昨年の牝馬三冠戦線の中心的存在だった馬。デビューから2連勝で牡馬混合重賞のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)に臨み、2馬身差で圧勝した。だが、三冠初戦のGI桜花賞(阪神・芝1600m)では単勝1.7倍の圧倒的な支持を受けたが、9着と大敗してしまう。そこから歯車が狂い始め、巻き返しが期待されたGIオークス(芝2400m)は2着と、春は無冠に終わった。秋シーズンは熱発のため、三冠最終戦のGI秋華賞に間に合わず、GIエリザベス女王杯4着、GI有馬記念10着と、GIを勝てずに3歳時を終えた。

 4歳になっても、牝馬同士ならと1番人気に推されたGIII中山牝馬S(中山・芝1800m)を落鉄の影響もあり、2着に惜敗。GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)では距離不足の感もあり、5着に敗れた。

 しかし、続くGIIIエプソムC(東京・芝1800m)で約1年4カ月ぶりの勝利を飾ると風向きが変わる。夏をじっくり休養に充て、4カ月ぶりとなったGII毎日王冠も1番人気に応えて、牝馬として23年ぶりの勝利を飾り、ここに進んできた。ルージュバックの勝算をあらゆる角度から探ってみる。

【距離適性】
 ルージュバックの全5勝のうち4勝が1800mで、1勝が2000mだ。1600mから2500mまで出走しているが、この2つの距離の成績は群を抜いている。2000mは1戦1勝で、その勝利は2歳時に、天皇賞と同じ東京で行なわれた百日草特別でのもの。2歳のコースレコード勝利だった。成績の通り、2000mは1800mに次ぐベスト条件だろう。

●結論
 ほぼベスト条件

【コース適性】
 東京は5戦して3勝。内訳は1800mで2勝、2000m1勝、2400mで2着1回、1600mで5着1回。連対率は80%となっている。他に勝利している新潟、京都ともに直線が長めのコースである。

●結論
 連対率80%、走り慣れたコース形態。

【馬齢】
 天皇賞・秋が芝2000mになった1984年以降の32年間、4歳馬の勝利は半数を超える17頭。牝馬は1997年エアグルーヴ、2005年ヘヴンリーロマンス、2008年ウオッカ、2010年ブエナビスタの4頭が勝利している。4頭のうちヘヴンリーロマンスを除く3頭が4歳馬。さらに2着まで広げると、2008年ダイワスカーレット、2013年ジェンティルドンナと、計4頭の4歳牝馬が連対していることになる。

●結論
 4歳牝馬は好成績

【ローテーション】
 毎日王冠からのローテーションは過去14頭が勝利している王道パターン。さらに、過去10年連続で毎日王冠組が3着以内に入っている。ただ、14頭のうち毎日王冠からの連勝は4頭のみ。前哨戦を勝つということは、そのレースがピークであったり、そうでなくても本番で過度な注目を浴びるため他馬にマークされやすく、思うような競馬ができないといったケースもよくある。毎日王冠勝ち馬の成績は過去24頭が出走し、5勝、2着4回。決して高いとは言えない数字だろう。

●結論
 毎日王冠からの連勝は容易ではない

【血統】
 父マンハッタンカフェ産駒はこれまで、天皇賞・秋では2014年ラブイズブーシェが出走したのみで未勝利だが、16番人気で4着だったことから内容は悪くないと言える。同条件の東京芝2000mで行なわれているGIIフローラSは2008年レッドアゲート、2015年シングウィズジョイで2勝。東京コースではないが、芝2000mのGIではレッドディザイアが2009年秋華賞(京都)を制している。東京芝コースもジョーカプチーノが2009年GI NHKマイルC(芝1600m)を制しており、コース、距離ともに好相性と言える。

 母ジンジャーパンチは米GI BCディスタフなど米ダートGI6勝を挙げ、米古牝馬チャンピオンに輝いた活躍馬。母の父オーサムアゲインも米GI BCクラシックの勝ち馬とダートの活躍馬。母の父としても東京大賞典のローマンレジェンド、JpnI JBCレディスクラシックのミラクルレジェンドを出している。完全にダート向きの血統で、芝のトップクラスで活躍しているルージュバックは異端の存在だ。類い希なる瞬発力や、スラリとしたその馬体を見る限り、母系よりも父マンハッタンカフェの血をより濃く受け継いだということなのだろう。

●結論
 マンハッタンカフェ産駒とは好相性のコース

■まとめ
 以上、5項目からルージュバックの勝算を占ってみたところ、ほとんどで高評価となった。強いて言えば、毎日王冠を勝ったことによりマークがきつくなること、前走からの上昇度が懸念されるが、今回は海外GI馬を含む5頭のGI馬が揃う豪華メンバーで人気が分散するであろうし、ルージュバックも休み明けを叩いてさらなる上積みも期待できるだけに、それほど心配する必要はないだろう。

 メンバーは極めて強力だが、4歳秋を迎えての充実度と勢いはヒケを取らないはず。好走を期待しよう。

平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki