■厳選!2歳馬情報局(2016年版)第22回:ベルダム

 10月10日、京都競馬場の第10レースとして行なわれた、1600万下のジェンティルドンナメモリアル(京都・芝2000m)。このレースは、今年JRAの顕彰馬に選定されたジェンティルドンナの功績をたたえたものである。

 イギリスのGI馬ドナブリーニを母に持つジェンティルドンナは、2011年にデビュー。翌2012年には3歳「牝馬三冠」を達成した。なかでも、二冠目のGIオークス(東京・芝2400m)では、2着に5馬身差をつける圧勝劇を披露。牝馬の中では別格の存在だった。

 さらにその後、牡馬相手の戦いでも輝きを見せた。3歳秋のGIジャパンカップ(東京・芝2400m)では、あの"怪物"オルフェーヴルを撃破。翌年も古馬牡馬の一戦級を退けて連覇を達成した。

 5歳春にはドバイシーマクラシック(UAE・2410m)で海外GIを奪取。引退レースとなったGI有馬記念(中山・芝2500m)では、世界一のジャスタウェイをはじめ、エピファネイア、ゴールドシップらを抑えて有終の美を飾った。

 引退までに積み上げたGI勝ちは7つ。芝レースのGI7勝は、日本競馬における史上最多タイの記録となる。

 そんな偉大なる"女傑"の妹が、今年の2歳馬の中にいる。ベルダム(牝2歳/父ディープインパクト)である。

 この血統ゆえ、小さい頃から高い注目を集めていたベルダム。育成を行なったノーザンファーム空港牧場の伊藤賢氏は、今春の取材でこんな印象を口にしていた。

「馬体が小さいので、体質強化をしながら、少しでもサイズを大きくするように育成しています。ただ、動きはさすがですね。乗ってみると体幹が強くて、ジェンティルドンナに似た安定感があります。しっかりした足取りで走るところは、姉の印象に近いですね」

 取材時から、活躍へのキーポイントとして挙げられていたのは、馬体の小ささ。春先は422kgというサイズだった。それでいて、スタッフが"たくましさ"を感じたのは、まさに姉の面影といえよう。

 そして同馬は、現在、姉と同じく栗東トレセン(滋賀県)の石坂正厩舎に入厩。11月5日の2歳新馬(京都・芝1400m)でのデビューを目指して調整されている。鞍上は、ジェンティルドンナのオークスでの手綱を取った川田将雅騎手が務める予定だ。

 石坂厩舎に入ったベルダムは、どんな様子なのだろうか。関西競馬専門誌のトラックマンが状況を伝える。

「中間は特にトラブルなく、順調に調整が進んでいます。馬体重は10月20日で404kgと小さいのですが、よく食べるタイプのようで、小さな馬特有の食の細さといった心配はないようです。ただ、これは私の感覚ですが、現状の動きはまだ目立っておらず、デビュー戦から期待するのはなかなか厳しいかな、というところですね」

 調教の動きを見る限り、トラックマンとしては「もうひとつレベルアップしてほしい」という。とはいえ、「良血馬の場合は、レースが近づいたり、レースにいってガラリと変わったりすることがよくある」と続ける。ベルダムにもそういった面があるかもしれない。

 顕彰馬となった姉を持ち、デビュー戦へと歩みを進めるベルダム。来たる初陣へ向けて、良血馬の動向から目が離せない。

河合力●文 text by Kawai Chikara