厳選!2歳馬情報局(2016年版)
■第21回:コペルニクス

 ヨーロッパから繁殖牝馬として輸入され、その生涯の大半を日本で生活したバレークイーン。この1頭の牝馬から始まる家系は、およそ20年の間に、日本競馬を彩るほどの活躍を見せるファミリーとなった。その一族は、現在も拡大し、進化し続けている。

 一族の象徴的な存在は、母バレークイーンが生んだ2頭のGI馬。フサイチコンコルドとアンライバルドである。前者は1996年のGI日本ダービー(東京・芝2400m)を、後者は2009年のGI皐月賞(中山・芝2000m)を制し、クラシックウイナーとなった。

 バレークイーンの子でGIを勝ったのはその2頭だが、彼女の孫から多数の活躍馬が出ている。例えば、バレークイーンの娘であるグレースアドマイヤは、2007年の皐月賞馬ヴィクトリーを出して、他にもGIIを3勝し、2003年のGI菊花賞(京都・芝3000m)で2着になるなど、GI戦線で何度となく上位入線を果たしたリンカーンを送り出している。

 これらに限らず、バレークイーンの家系からは数多くの活躍馬が出ていて、今や日本を代表する血筋とも言える。

 そして、今年の2歳馬の中にもこの家系出身の逸材がいる。栗東トレセン(滋賀県)の音無秀孝厩舎に所属する、コペルニクス(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 コペルニクスは、母ロベルタの母がグレースアドマイヤという血統。バレークイーンは曾祖母となる。ヴィクトリーやリンカーンは、同馬の叔父にあたる。

 デビュー前の育成を行なったノーザンファーム早来の木村浩崇氏は、コペルニクスについて、今春の取材ではこんなふうに語っていた。

「体は小さなタイプですが、父ディープインパクト譲りの柔らかい背中を持っていますね。あえて、ゆっくり育成を進めていますが、いつでも調教タイムは詰められそうな手応えです。気性も落ちついてきて、よくなってきました」

 すでにトレセンへと入厩した同馬は、音無厩舎でデビューへ向けて調整を進めているという。その中で、スタッフたちはこの馬をどう評しているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「あるスタッフは、『センスがあって、乗り味がいい。バネの利いた走りをする』と言っていましたね。そのスタッフはわりと辛口なジャッジが多い人なので、そう考えると、いい手応えを感じているのではないでしょうか。馬体重は430kgほどと小さいのですが、『もっと体重が増えて成長してくれれば、さらに期待できる』と話していました」

 バレークイーン一族でひとつ懸念されるのは、"気性の悪さ"がつきまとうこと。だが、コペルニクスについては、「現状は素直で、気性面については問題ないようです」と先述のトラックマンは言う。デビューについては、来月あたり、芝の1600mから2000mのレースを予定しているそうだ。

 日本で繁栄を続けるバレークイーンのファミリーライン。コペルニクスが活躍すれば、改めてこの家系の底力を示すことになるだろう。華麗なる一族から再びGI馬が誕生するのか、注目だ。

河合力●文 text by Kawai Chikara