序盤の攻防

札幌第一 冨樫颯大

 19安打18得点。準決勝で圧倒的な打力を見せた札幌第一。菊池 雄人監督は、「バッティングは出来すぎな部分があるが、みんなの気持ちが繋がった結果だと思います」と讃えた。

 逆に敗れた遠軽の佐藤 貴之監督は、「打たれました。札幌第一さんのバッティングが良かった。ここまでチームが打たれた経験がなかった」と防戦一方になってしまったゲーム展開に脱帽の様子だった。

 イニングスコアを見ると、二度の1イニング7点が目立つが、実は勝負のポイントになったのは1回裏の遠軽が1点に終わった攻防だ。

 打撃では負けない自信がある遠軽打線に対し、札幌第一の菊池監督は「序盤が大事になる」と見ていた。一方の遠軽の佐藤監督は「1回にもう少し点を取れていれば」と1点で終わった攻撃を悔やんだ。その1回裏を振り返ってみたい。

 遠軽は一死から2番・兼田 泰良(2年)がショートへの内野安打で出塁。続く3番・古間木 大登(2年)は、送りバントの気配を見せつつヒッティングに出て、二塁打を放った。一死二、三塁。守る札幌第一のキャッチャー・西村 壮真(2年)はこの時点で、失点そのものは覚悟をした。その上で、「いかに最少失点に抑えるか」と考えた。打席は4番・鶴藤 昇大(2年)。ここまで2試合連続で本塁打を放っている好調な男を前にして西村が下した決断は、鶴藤と無茶な勝負をしない。厳しいコースは突きつつ、「(ストライク)ゾーンの外でいこう。それを振ってくれたらもうけもの。四球になってもかまわない」。

 いかに最少失点に抑えようかと考えた時、満塁を覚悟する策は勇気がいる。だがそれ以上に、鶴藤に打たれると遠軽打線を乗せてしまう。例え最少失点にとどめたとしてもだ。

 鶴藤の結果はストレートの四球。札幌第一サイドの思惑は、次の5番・小野 竜雅(2年)のダブルプレー崩れの間の1点だけに終わったことで、見事に当たった。

 一方、遠軽サイドの視点で見れば、先発の如澤 竜治(2年)が1回を三者凡退に抑えるなど、最高の立ち上がりを見せていた。キャッチャーの古間木は、「いつも以上。でもどこかで必ず打たれる」と調子の良さと同時に確実にゼロでは済まないと感じていた。それだけに、できるだけ多くリードしたかった。そのチャンスが最もあった1回の攻撃が1点で終わったのが悔やまれる。

 3回以降、リリーフした投手陣も札幌第一打線になす術がない。「もっと投手を生かすリードができていれば。周りの選手から、あのキャッチャー良いねと言われるような選手になれるように冬にがんばりたい」と古間木は思ってもみなかったコールド負けに唇をかみしめた。

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