ロシア・ワールドカップアジア最終予選のイラク戦、オーストラリア戦へ臨む26人を発表したハリルホジッチ監督。今回も多くの海外組が顔を揃えた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップアジア最終予選のイラク戦、オーストラリア戦に向けたメンバーが発表されたけど、予想通りで、いつもと変わらない顔ぶれだった。すでに指揮官の頭のなかではメンバーは固まっていて、怪我人が出ない限り入れ替えを行なわないんだろうね。ハリルホジッチ監督は会見で、選出理由を語っていたけど、メンバーを変えにくいというのが正直な感想なんだと思う。
 
 ただ、香川に関しては「ドルトムントで熾烈なレギュラー争いをしている」と説明していたけど、今季は新戦力が加わったとはいえ、昨季と同じチームで出場機会を失っているのは問題だよ。それは香川自身のレベルが昨年より落ちていると言えるのかもしれない。
 
 その点は本田も同じ。監督が変わった点は考慮しなくちゃいけないけど、彼だって昨季はある程度の出場機会を掴んでいたのに、今季はベンチが定位置になっている。ふたりともコンディションが整わないなかで代表に合流するんだから、起用法は考えるべきだよ。
 
 黒星スタートとなったUAE戦や続くタイ戦の時も僕は指摘したけど、代表にはコンディションの良い選手を選ぶべきなんだ。
 
 会見ではガンバの長沢、ケルンの大迫らの名前が挙がったけど、Jリーグには大宮で10ゴールを挙げている家長や川崎を牽引する(中村)憲剛、浦和の前線で奮闘している李忠成らがいる。彼らを呼ばないのは、もとからハリルホジッチ監督の頭にメンバーを変えるという選択肢がないということを示しているよ。
 
 僕は大半の海外組とJリーガーに、大きな力の差はないと考えている。実際に今年6月にC大阪に復帰した山口はJ2で試合には出続けているけど、スーパーな活躍をしているわけではない。ただ、海外組を優先する流れは今後も変わらないんだろうね。
 
 新戦力としては鹿島の永木を呼んだけど、彼を起用するかも疑問だよ。GKの川島にはピッチ外でチームメイトを励ます役割を求めているようだけど、発言力や精神的支柱を求めるならカズ(三浦知良)のほうが効果的なんじゃないかな。
 
 それにしても最終予選の初戦で敗れ、周囲からの風当たりが強くなったことで、ハリルホジッチ監督は相当にナーバスになっているようだ。今回の発表会見ではいつもと変わらずに約1時間半の“ハリル劇場”を披露したわけだけど、記者の質問を強く否定する場面があるなど、精神的に追い詰められている印象を受けたよ。
 
 確かにホームでのイラク戦に敗れれば、続くアウェーでのオーストラリア戦では勝利が必須になる。オーストラリアは最終予選でここまで2連勝。新戦力がしっかり存在感を示しており、パワーアップしている印象で今の日本代表が勝てるかは疑問だね。
 
 先日のタイ戦に続いて、ハリルホジッチ監督は周囲の厳しい視線にさらされながらゲームを進めなくちゃいけないし、イラク戦にしてもオーストラリア戦にしても先に点を奪われれば、相当に苦しいはず。
 
 先日、日本サッカー協会は、リオ五輪でU-23代表を指揮した手倉森監督のA代表のコーチへの復帰を発表した。これはスペアタイヤを積んでいなかった車にスペアタイヤを付けたということだよ。「アジアをよく知っている」など、コーチ就任の理由は様々あるようだけど、不測の事態に備えて後釜を用意したということなんじゃないかな。
 
 ただ、手倉森“監督”はリオ五輪はグループリーグで敗退に終わったわけで、後釜候補の人選として疑問が残るよ。
 
 
 ただ、日本代表の現状をハリルホジッチ監督ひとりのせいにするのも如何なものかとも思う。本当は彼も日本のメディアの好みを分かっているのかもしれないね。