◆海外馬券発売開始! 2016凱旋門賞 (2)

 今年も10月2日、日本時間23時05分にフランス・シャンティイ競馬場で発走予定の凱旋門賞。今年は日本からダービー馬マカヒキ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)が参戦する。

 今年のGI凱旋門賞は海外レースでは初めて、日本で馬券が買えるというのが大きな変化。日本国内だけの売り上げでオッズが動くので、当然、マカヒキが人気を集めるだろうが、馬券的妙味は外国馬にある。マカヒキを応援しつつ、人気薄の外国馬に穴馬券を期待したい。

 凱旋門賞は波乱の多いレースだ。ディープインパクトが3位入線から失格となった2006年以降の過去10年、1番人気は2勝で、2着2回、3着1回、4着以下5回と馬券に絡まないケースも多い。2番人気が1勝、3番人気と4番人気が各2勝で、それ以下は7番人気(2014年トレヴ)、11番人気(2011年デインドリーム)、12番人気(2012年ソレミア)が1勝ずつとなっている。今では歴史的名牝と称されるデインドリームやトレヴも、人気薄で勝利しているのだ。

 7番人気以下で勝利した3頭の血統を調べると、いずれも血統背景が素晴らしい馬たちばかり。トレヴは"鉄の女"と呼ばれ日本でも出走したトリプティクや、英愛ダービー馬ジェネラス、日本でもダート戦線で活躍したフリオーソ、今年の皐月賞馬ディーマジェスティなどと同じファミリーの出身。デインドリームも近親にフランスのGI馬が多数で、日本でもサクラローレル(有馬記念、天皇賞・春)、キンシャサノキセキ(高松宮記念2連覇)、タイムパラドックス(ジャパンCダートなどGI5勝)などと同じファミリー。さらにソレミアも、仏2000ギニーのグリーンダンサー、英ダービー馬オーソライズド、今年の仏2000ギニー馬ザグルカなどがいるフランスの名門だった。このような良血馬は時に、世界各国の馬たちが集結する大舞台でも、短期間での急激な成長や勝負強さを見せることがあるのだ。

 今年の出走馬でそれに当てはまる血統馬として、筆者が本命に挙げるのはフランスの3歳牝馬レフトハンド(仏・C.ラフォンパリアス厩舎)。2走前にGIIIプシケ賞(ドーヴィル・芝2000m)で重賞初制覇を飾り、前走のGIヴェルメイユ賞(シャンティイ・芝2400m)でGI初制覇を果たしたいわゆる"上がり馬"だ。GIホースとはいえヴェルメイユ賞は牝馬限定で、今回のメンバーでは実績的に格下感があるが、上昇度は一番といってもよいだろう。父ドバウィは今回の最有力馬と見られているポストポンドと同じ。母の父シングスピールとの組み合わせは日本のダート戦線で活躍中のモルジアナと同じだが、レフトハンドはその奥のスタミナ血脈が豊富なため、違ったタイプに出ている。

 牝系も素晴らしい。叔父に仏GIサンクルー大賞典のプリュマニアがいて、11番人気で凱旋門賞を勝った前述のデインドリームとも同じ。つまり、サクラローレル、キンシャサノキセキ、タイムパラドックスとも同じファミリーなのである。近親に日本馬がいると親近感を感じるのは筆者だけではないはずだ。さらに、デインドリームの他にも、1992年の凱旋門賞で、15番人気で3着に入ったヴェールタマンドもいるという、"凱旋門賞大穴牝系"なのである。鞍上は11番人気、5番人気のフリントシャーで2年連続2着に入っているギュイヨン騎手。管理するラフォンパリアス調教師は12番人気で2012年に勝利したソレミアも管理しており、血統のみならず関わる人間も穴実績のある人ばかり。ブックメーカーのオッズでは単勝30倍前後となっており、恰好の穴馬と言えるだろう。

 1番人気が予想されるポストポンド(牡5歳/英・R.ヴェリアン厩舎)は昨夏の英GIキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(アスコット・芝約2400m)からGI4勝を含む6連勝中。GIドバイシーマクラシック(メイダン・芝2410m)では日本のドゥラメンテを完封している。レフトハンドと同じドバウィ産駒で、祖母ビアンカネラは2歳時にデビューから3連勝で愛GIモイグレアスタッド(芝約1400m)を勝った馬。近親に重賞勝ち馬が多数出ている牝系もなかなかで、距離実績からも大崩れはなさそうだ。ただ、5歳牡馬の勝利は2002年マリエンバード、1988年トニービンと、過去40年遡っても2頭しか出ておらず、年齢的には厳しいというデータが残っている。

 日本のマカヒキはディープインパクト産駒で全姉ウリウリがGIII CBC賞(中京・芝1200m)など短距離〜マイル重賞2勝という血統馬だ。芝2400mのダービーを勝ったが、母の父フレンチデピュティも血統的にはスピードタイプなので、日本の馬場には合うが、前哨戦のGIIニエル賞(シャンティイ・芝2400m)を勝利しているとはいえ、パワーの要るフランスの2400mの舞台で世界のトップホースとの争いとなると一抹の不安が残る。

 ディープインパクト産駒はキズナが2013年4着、ハープスターが2014年6着と馬券圏内には至っていないが、今年は例年のロンシャンではなくシャンティイで行なわれるため、事情が変わってくる。このコースでは今年のイスパーン賞でエイシンヒカリ(牡5歳/栗東・坂口正則厩舎)が10馬身差圧勝。そして、フランス調教馬のアキヒロ(牡2歳/仏・A.ファーブル厩舎)が9月16日の仏GIIIシェーヌ賞(芝1600m)を完勝している。過去には同じくフランス調教のアクアマリンが2012年の仏GIIIアレフランス賞(芝2000m)を勝っており、このシャンティイはヨーロッパで最もディープインパクト産駒が実績を残している競馬場なのだ。強敵相手だが、好走の可能性は十分ある。

 以上、レフトハンドを最大の注目馬として馬券の中心に、単勝、複勝、3連複などさまざまなパターンで買ってみたい。

◎レフトハンド
○ マカヒキ
▲ポストポンド
△ニューベイ
△マインディング
△ハーザンド
△ファウンド

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki