厳選!2歳馬情報局(2016年版)
第18回:サトノアーサー

 競走馬のセリ市として、国内外から注目を集める「セレクトセール」。ここでは毎年、億を超える高額馬が続出する。そして、そういったセレクトセール出身の"高馬"たちは、2歳秋を迎えると、次々にデビューし始める。

 10月1日の2歳新馬(阪神・芝2000m)でデビューするサトノアーサー(牡2歳/父ディープインパクト)も、その一頭。2015年のセレクトセールにおいて、1億9500万円(税抜)の値をつけた"エリート"である。

 母は、ニュージーランドを本拠地にして現役時代を過ごしたキングスローズ。オーストラリアを含めた南半球で活躍し、重賞6勝という輝かしい成績を残してきた。その中には、GIニュージーランド1000ギニー(ニュージーランド・芝1600m)も含まれている。

 そうした血統背景とセールの高値によって、まずは注目を集めたサトノアーサーだが、素質的にはどうなのか。育成を担当したノーザンファーム早来の伊藤隆行氏は、今春の取材ではこう話していた。

「体のパーツはしっかりしていますし、育成中に幅が出てきて、値段に見合う馬になってきました。背中やトモ(腰から後脚の付け根までの部分)の使い方はいいものがありますし、ストライドがとても大きいです」

 同馬は現在、所属する池江泰寿厩舎(栗東トレセン/滋賀県)に入厩し、精力的にトレーニングを積んでいる。こちらに来ても、エリートらしさは見られるのだろうか。関西競馬専門誌のトラックマンが、その様子を伝える。

「ディープインパクト産駒らしく、馬体重は460kgほどの中型サイズ。ですが、見た目やシルエット、馬体はまさに"高馬の雰囲気"ですね。スタッフは、『トビが大きいタイプで、軽くスピードの出る芝が合いそう。実戦にいってよさが出るタイプではないか』と話しています」

 同馬のオーナーは里見治氏であり、このオーナーと厩舎の組み合わせは、今年のGI日本ダービー(東京・芝2400m)で2着となったサトノダイヤモンドと同じ。この馬もセレクトセールで2億3000万円(税抜)の高値がついて、デビュー前から話題となっていた。

 おかげでサトノアーサーは、そんな厩舎の偉大な先輩と比較されることが多いという。ただ、その点については慎重なジャッジが必要なようだ。先述のトラックマンが続ける。

「現状の調教では、『すごくいい動きをしている』とまでは言い切れず、デビュー前のダイヤモンドと比べると、厩舎の評価は、1、2枚は落ちる印象です。相手はダービー2着馬ですから、それもやむを得ないのですが、厩舎も、オーナーも期待が大きい分、もうワンランク上の動きを求めている、という状況にあるのかもしれません。なお、距離適性については、『2000m以上の中長距離で活躍できそう』とのことですね」

 血統や価格から、求めるレベルはどうしても高くなる。そのため、評価が厳しくなるのも仕方がないだろう。とはいえ、同馬が持つ"高馬の雰囲気"が本物なら、きっとレースで実力を発揮するはずだ。

 いよいよ目前に迫ったサトノアーサーのデビュー戦に注目である。

河合力●文 text by Kawai Chikara