北朝鮮の台風10号(ライオンロック)の被災地では、食糧価格の高騰が続いている。無理な復旧作業を進める当局のやり方がその原因だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、会寧(フェリョン)の市場では食料価格が高騰している。

水害前の8月30日と9月18日の価格を比べると、トウモロコシ1キロが1000北朝鮮ウォン(約13円)から1600北朝鮮ウォン(約21円)に、コメ1キロが4.3中国元(約65円)から5.5中国元(約83円)に上がった。

その原因として別の情報筋は、交通網の寸断とともに、当局が市場での商売を禁じたことを挙げている。

当局は10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念日までの修復を指示し、一般住民に加え、学校の生徒まで復旧作業に動員。さらに、作業の邪魔になるとの理由で市場での商売を禁止した。そのため、食糧の供給が減り、値上がりしているというのだ。

それ以外にも、10万人に及ぶ人員の被災地への動員が食糧価格を押し上げている。当局は人員を投入するだけで、彼らの食料はいっさい供給せず、現地調達することを求めているからだ。

情報筋は国際社会に対して次のように訴えている。

「人々は現金、テレビ、ミシンなどの家財道具を洪水から守ろうとして、食料を持ち出せなかった。中央は被災者に限って食糧10キロを配給したが、それでは全く足りない。」

「中央は水害復旧のために全国の人民が立ち上がったと騒ぎ立てているが、被災者の食料供給、住居の問題には背を向けている。家も財産も失った被災者には当面の援助が切実だ」