子どもがよく転ぶ!原因はあるの?

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執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士)


子どもは、大人に比べて多く転びます。

「幼稚園の頃は、擦り傷が絶えなかった」という方も多いのではないでしょうか?なぜ、子どもは大人に比べてよく転んでしまうのでしょうか?

また、他の子どもに比べて多く転んでいる場合、どういったことに注意すればよいでしょうか?詳しくみていきましょう。

子どもは歩行時にバランスを取りづらい

赤ちゃんは、生まれてから寝返り、はいはい、つかまり立ちを経て、二足歩行をし始めます。

つかまり立ちから歩きはじめは特になかなかバランスが取れず、眼を離しているうちに突然転んでしまいます。これは、ただ単純に「歩行時のバランスが取れない」ということではなく、小さければ小さいほど、「頭と体のバランスが取れない」ことによって起こります。

一般的に、1歳前後であれば3頭身ですが、3歳頃になると5頭身ほどとなります。そのため、小さければ小さいほど体に対して頭の比率が大きいために、バランスを取りにくく、転びやすくなるのです。

他の事に夢中になってしまいやすいことにも原因が

また、子供特有の原因として、「周りが見えづらい」ということも挙げられます。

遊びなど歩行以外のことに夢中になり、周囲に目がいかなくなってしまうために障害物に気づくことができません。その結果、障害物に足を取られて転倒してしまう、ということがよくあります。

「歩く癖」は小さいうちから少しずつ


小さいうちは成長にも個人差が大きいですが、小学生になった段階でも他の子どもよりも転ぶ回数が多い場合には、注意が必要です。

この場合、転びやすく歩く癖がついてしまっている可能性があるからです。

転びやすい子の特徴として、「膝が十分に曲がっていない状態で、次の足を出そうとしてしまう」ということがあげられます。膝をあまり曲げない状態で歩こうとしてしまうために、足を十分に上げられず、通常よりも転びやすくなってしまうのです。

歩く際に、「膝をしっかり曲げて、足を十分に上げる」ことを習慣づけることで、転倒回数が減るかもしれません。

股関節の異常の可能性もあり

また、歩く動作において重要な役割を果たすのが「股関節」です。

成長発達の段階で股関節に異常が出てしまうと、通常よりも転ぶ回数が多くなります。段差もないところで転んでしまう、一日のうち何回も転んでしまうなど、同じ月齢、年齢の子に比べて明らかに転ぶ回数が多い場合には、歩く癖を見るとともに、股関節など歩く上で重要な器官になんらかの障害が起きている可能性を疑います。

この場合は、早期の発見、治療によってその後の成長発達を促せることもありますので、検診時に医師へ相談するとともに、早めの専門医の受診をお勧めします。

いかがでしたか?
親として、子どもが転ぶということはケガにつながるため、つい「どうすれば転ばないか」と考えてしまいがちです。

しかし、親が転倒を恐れて子どもの行動を制限してしまうと、本来育つべき脚力や持久力が育ちにくくなっていまいます。

「どうすれば転ばないか」ではなく、「どうすれば大きなケガをしないで済むか」という考えから、安全面を配慮していただければと思います。

<執筆者プロフィール>
山村 真子(やまむら・まこ)
看護師・西東京糖尿病療養指導士、一児&犬二匹の母親兼主婦。現在は医療系ライターとして執筆活動中