コスプレ費用は年間100万円以上(出典:http://www.mirror.co.uk)

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自分の趣味のために「衣食住を差し置いてでも、お金をかけたい」という人が存在する。非常に貧富の差が激しく、その日を暮らすことで精一杯という人も多いブラジルサンパウロで、22歳の女子学生が多額の費用をかけ、自身の趣味であるコスプレを満喫しているという話題が飛び込んできた。そんな彼女をサンパウロの人々はどのような思いで見つめているのであろうか。

22歳のメドーラ・ルイズさん(Medora Ruiz)は、8年前から大好きだった人形のドレスや帽子に魅せられるようになった。透き通る肌に大きな瞳を持つ彼女は、ヴィクトリアン・ドールの豪華なドレスを身に纏い、金髪の巻き毛を被り、サンパウロ市内を闊歩する。

人目を引くのは当然で、今ではすっかり有名になってしまった。「陶器のお人形」と言われプリンセス扱いされるのは決して悪い気分ではない。子供たちはメドーラさんの姿を見て、人形か人間か区別がつかないという。また一方で、ヴィクトリアン・ドールスタイルのメドーラさんとデートをしたいと申し出る人もいるそうだ。

この2年間でもはやコスプレの域を超え、ヴィクトリアン・ドールの格好がすっかりライフスタイルになっているメドーラさんだが、ドレスや小物、コルセットなど全てを揃えて本物のような姿になるのは容易ではない。

現在30着以上の衣装を持ち合わせているというメドーラさんは、この独自のライフスタイルに年間7560ポンド(約100万円)以上もの費用をかけている。そこには生地やアクセサリー代、そしてなかなか見つからない素材を探しに行く時の交通費なども含まれている。

メドーラさんが着ているドレスは全て手作りだ。最低でも2週間、長くて2年をかけて完成するだけに衣装にかける思いも半端ないだろう。だからこそなのか、ヴィクトリアン・ドールになりきるために通常1時間、特別なコンベンションがある時は3時間も費やしているのだ。

小さい頃から人形が大好きで、人形のドレスに憧れ人形のように綺麗になりたいと願ってきたというメドーラさんだが、両親は彼女の“高額な”趣味をあまり快くは思っていないようだ。すっかりヴィクトリアン・ドールでのライフスタイルに傾倒してしまった娘がこの先、普通の服装で過ごすことができるのだろうか?と不安が募るという。

「こんな風に着飾っていると、魔法の世界にいるみたい。子供の頃に戻った気分にもなるわ。このライフスタイルは私にとってアートであり、とても大切なもの」と英紙『Mirror』に語るメドーラさんは、最初こそ批判を受けるのではないかと恐れたこともあったと言い、今でも安全で人通りの多い場所を歩くようにしているという。そんなメドーラさんの心配をよそに、サンパウロの人々は独自の世界観を持つ彼女のライフスタイルをリスペクトしているようだ。

貧富の差が激しいサンパウロでは、メドーラさんのように自身の趣味や嗜好にお金をかけることができる人はほとんどいない。にもかかわらずメドーラさんを批判する声は聞かれないという。

「私の姿を見た人は、『自分らしく生きるということ』に自信を持つようになると信じているわ。それに夢のような世界観を持つことで子供時代に返ることができるし、そうすることで私はとても幸せになれるの。」

現実から少し離れた世界観を持つメドーラさんの生き方に理解を示す人は、意外にも少なくないようだ。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)