宮本茂氏、iPhone向け『スーパーマリオラン』は「アプリ内購入なし」や「ポケモンGOを意識」と語る

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アメリカのIT系ニュースサイトthe Vergeは任天堂の宮本茂氏にインタビューし、先日発表されたiOS機向けアプリ『スーパーマリオラン』は「マリオをプレイしたことがない人たちに向けてシンプルにした」ゲームであり、その究極の目標が「(本格的なマリオゲームが遊べる)自社プラットフォームに興味を持つ人々の人口を増やすこと」であるとの言葉を伝えています。

その他、まだ公式には明かされていない『スーパーマリオラン』における課金の詳細や、宮本氏がスマホ向けゲームを手がけることになった動機など、いくつかの興味深い情報が報じられています。

先日のアップルのスペシャルイベントのオープニングで「マリオの父」こと宮本茂氏が自ら登壇するサプライズ付きで発表された『スーパーマリオラン』。

昨年3月に任天堂がDeNAと業務提携した際、「任天堂IPを使ったスマートデバイス向けのゲームコンテンツ」の中に含まれる一つとしてマリオの投入がほのめかされていましたが、その後は今年4月に『どうぶつの森』『ファイアーエムブレム』を今秋提供と、具体的には2タイトルの発表に留まっていました。それだけに、アップルイベントでのマリオの突然の「iOSデビュー」は二重に驚きでした。

アップルイベントの終了後、宮本茂氏がthe Vergeに語った内容を箇条書きにすると、ざっと以下のとおりです。

何年にもわたって自社のプラットフォームで、マリオのゲームをプレイしたことがない人たちに向けて、どうやってマリオをシンプルにするかのアイディアを考えてきた

そうしたアイディアの一つは、家庭用ゲームコンソール向けには単純すぎるので、スマートフォン向けに持ってきた

みなさんに深くて挑戦的なマリオの体験をプレイしてもらいたい。これ(『スーパーマリオラン』)により我々のプラットフォームに興味を持ってくれる人口が増えるだろう、それこそが私達の主な目的だ

ポケモンGOはGPSを使用し、カメラやGoogle Mapsとシンクロしている。つまりモバイルのプレイ体験に合わせたソフトウェアだ

だからマリオもシンプルなゲーム内容/片手で遊べる操作/短いプレイ時間を目指した。そうしてこそ、マリオの面白さがより多くの人々に届けられる

マリオが永遠に生き続ければ、80年代以降に生まれた人々にとって人生の一部となる。任天堂のハードはかつては「子供が最初に触るインタラクティブな機器」だったが、それは変わりつつある

現在はスマートフォンが子供が最初にゲームと出会う場であり、だから我々もスマートフォンに参入しようと決意した

『スーパーマリオラン』は定額サービスでもなく、アプリ内購入もなくしたのは、親が子供に「マリオの入ったiPhone」を安心して渡せるようにするためだ。

『スーパーマリオラン』はマリオのアクションがすべて楽しめるわけではない。空間を走り回ったり探索したりの3Dマリオは、スマートデバイスではまだまだ難しい。そのタイプのゲームは、今後も自社のプラットフォームで注力していく

公式サイトでも「ダウンロードおよび一部プレイ無料」は公表されていましたが、今回の発言で「一度支払えばそれ以上の課金は必要がない買い切りタイプ」の可能性が高まりました。

(「ダウンロード無料」「初回だけ支払い」「アプリ内購入なし」は言葉として矛盾しているような気もしますが、遊び続けるためにコインのようなゲーム内消耗アイテムを何度も買う必要がなく、ダウンロード後に一回だけ「フルバージョン解禁」 的なアプリ内購入があるという意味のようです。)

また、宮本茂氏は生活の中での体験を元にしたアイディアを、ゲームに持ち込む逸話でも有名です。『ゼルダの伝説』は子供時代の洞窟探検、『ピクミン』は庭いじり、『WiiFit』は体重計の増減を記録する面白さがアイディアのルーツです。

では、『スーパーマリオラン』は?と訊ねるthe Verge記者の質問に対して、宮本茂氏は「今回は自分の体験よりも、他の人を観察したことが元ですね」と回答。「私の妻が完ぺきなサンプルですね。ビデオゲームやゲーム機を渡しても彼女はあまり遊ばないのに、スマートフォンではいろんなゲームを入れてるんですよ」と語っています。

とはいえ、『スーパーマリオラン』は他のプレーヤーとの対戦・競争など、マリオに欠かせない「やり込み」要素も発表済みです。マリオでゲームと出会い、マリオでハイスコアラーに目覚めるゲームキッズが出てくるのかもしれません。

速報:iPhone用『スーパーマリオラン』が発表。宮本茂氏自らがアップルイベントに登壇して紹介