『美しくなるためのランニング講座』 第9回●脚の痛みと解消法

ランニング初心者の馬場ふみかさん(女優・モデル)がフルマラソン完走を目標にトレーニングを開始! 指導担当は、湘南ベルマーレ・トライアスロンチームの中島靖弘ヘッドコーチ。「楽しく、頑張りすぎない」ランニング講座の第9回。

【プロフィール】
中島靖弘http://www.bellmare.or.jp/triathlon/profile/member.html
湘南ベルマーレ・トライアスロンチーム・ヘッドコーチ。ニューバランスランニングアドバイザー
馬場ふみかhttp://lineblog.me/babafumika/
女優・モデル。新潟県新潟市出身。167cm。

■初心者に脚の痛みはつきもの

 初心者が練習をしていく上で、見舞われることが多いのが脚のケガです。

 今回、馬場さんも右の足首に痛みが出ました。見方を変えれば、きちんと練習をしている証拠ですね。

 ケガをする箇所として一番多いのは「ひざ」、その次が「足首」といったところでしょうか。ケガをしてしまう主な原因は2つあります。

 ひとつは、まだ体力と疲労回復のバランスがとれてないため、筋肉が負荷に耐えきれず痛みが出るパターン。例えば、重心が低い走り方をしていると、太腿の前の筋肉をたくさん使ってしまい、衝撃の吸収が十分にできなくなり、膝や足首にも負担がかかります。体力が十分にあり、疲労回復ができていればそれでも耐えられますが、そうでなければ痛みとなって出てきます。これらを"オーバーユース"や"使いすぎ症候群"と言います。

 もうひとつは、正しいフォームで走ることができず、関係のない方向に無駄な力がかかってしまい、痛みが出てしまうケースです。これもフォームの問題で、ある部分に余分な負荷がかかってしまう、使いすぎ症候群の一種です。馬場さんは後者になります。

 解消方法としては、どの部分が問題なのかをチェックし、正しいフォームに修正をする必要があります。

 馬場さんの場合、右脚の動きを見てみると、膝が内側に入り、足先が外側を向いています。「ニーイン・トゥーアウト」というよく見られる症状です。これで長時間走っていると右足首内側のくるぶし周辺に痛みを感じるようになります。場合によっては膝もしくは、股関節の痛みも発症するかもしれません。

 修正方法は簡単です。内側に入る膝、外側へ向く足先を真っすぐになるように、歩みを進めることを日常生活の歩行で意識し続けてください。特に階段を昇るときは、つま先を正面に真っすぐに向け、その真上を膝が通るように目で確認をしながら昇りましょう。また、トレーナーなどに見てもらって、股関節を内側や外側に捻るための筋肉のバランスを修正してもらうことも大切です。

 ランニングは単純に考えれば前に進むだけなので、極端に言えば横や斜め方向といった無駄な動きをできるだけ減らしたい。ケガを防止し効率よく走るには、左右の脚を同じように、真っすぐ前に出すことが重要になります。

■痛みの解消法とアイテム

●骨盤から体を動かす
 ランニング中、左側の腰が落ちているのも足首の痛みの原因になっているようです。右脚を地面に着けたら左側の腰を上げるようにして、まずは歩いてみましょ う。クセをつけることが大切です。ランニング前に、その場で腰の上下動だけで足踏みをして、骨盤から動き出すような意識付けをして走り出してください。

 微妙な感覚の違いなのですが、マラソンのように長時間走り続け、何万回と着地を繰り返すときには、小さな無駄でも大きな負荷となるため、できるだけ修正しましょう。

●インソールを活用する
 足の裏にある"土踏まず"は、走る上で体を安定させ、衝撃吸収やバネなど大きな役割があるのですが、状況によっては、シューズの中敷き"インソール"を使ってそのサポートをしてあげる必要があります。

 馬場さんの場合、"オーバープロネーション"といって、脚を着いた後に足首がグッと内側に入る動きが少し大きい傾向が見られます。これをインソールで調整し、脚の内側を上げて倒れないようにします。

 インソールを使うと、かなり動きが変わります。私が指導する選手も使用しているのですが、足元が安定して無駄な方向に力が向かなくなります。

 インソールはさまざまな種類があり、既成品で合えばそれで結構ですし、足の形は個人で違うので、カスタマイズをしてもいいでしょう。快適に走るために活用することをオススメします。

■ここまで練習を重ねてきて

――さて今回は故障について指導がありました。

中島:決して深刻なものではなく、初心者にありがちな状態なので、正しいフォームで走れるようになれば、すぐ痛みは引くでしょう。

馬場:自分のクセってあるんですね。ただ自分のつま先が外に向いているなといった自覚は以前からあったんです。

中島:わかっていれば、直すのは簡単。とにかく、右脚のつま先の真上を膝が通るように走る。普段の生活においても歩くときや階段を昇るときなど意識してもらえればいいですね。

馬場:そう意識して歩いたり走ったりすると関節に違和感がありました。いつもと違って、何か変な感じ。

中島:今はクセをつけなければいけないので、なるべく意識するようにしてください。アスリートなど体力のある連中は、しゃがんだ状態で真っ直ぐ歩かせたりして矯正するんですけど、それはちょっと馬場さんには大変かな。

馬場:絶対にムリです(笑)。

中島:ハハハ。あと道路にある白いラインの縁などを、両脚の親指で踏みながら走るのもいいですよ。たぶん普段よりすごくガニ股で歩いている感じがすると思うけど。

馬場:えー、それはイヤですねえ(笑)。

中島:いや、感じがするだけで、実際はガニ股じゃないから安心してください。

馬場:はい、わかりました。

中島:練習を始めてから5カ月が経ちましたが、手応えはどうですか? 私が見るかぎりすごく順調だなって思うんだけど。

馬場:うーん、どうなんでしょう。まだそれほど長い距離を走ってないからなあ。ただ、今回みたいに関節の痛みはあるにせよ、筋肉痛はなくなりましたね。

中島:筋トレもやっているようなので、確実に体力はついている。故障の解消法も身につけたので、今後は走ることがもっと楽になってくると思いますよ。

馬場:安心しました。けど、その先、何があるか心配ですね......。実際のマラソンまで半年を切っているし。

中島:大丈夫。順調だし、準備期間もたっぷりありますからね。走ると体が熱くなったり、フォームが固まらないうちは関節が痛むので、終わったあとのケアをしっかりとしてください。以前も言いましたが、水分をしっかりと摂ること。あと痛くなるような箇所は、アイシングをしてください。別に氷のうを用意する必要はないので、走ったあと体温より低い水温のシャワーを痛む箇所に当ててください。それで十分です。

馬場:わかりました。できるかぎり頑張ります!

衣装協力/ニューバランス
http://shop.newbalance.jp/


石塚隆●取材・構成 text by Ishizuka Takashi