厳選!2歳馬情報局(2016年版)
第14回:リナーテ

 今年、最も悔しい思いをしたサラブレッドの名前を挙げるとしたら、サトノダイヤモンド(牡3歳/父ディープインパクト)ではないだろうか。競馬界最高峰の舞台であるGI日本ダービー(東京・芝2400m)で惜しくも2着。それも、わずかハナ差に泣いたのだ。

 競走馬のセリ市「セレクトセール」において、2億3000万円(税別)で落札された同馬は、昨秋にデビューしてから破竹の3連勝を飾った。無傷で挑んだクラシック第1弾、GI皐月賞(中山・芝2000m)では、直線で不利を受けながら僅差の3着。「負けて強し」と言える内容だった。

 そして迎えた日本ダービー。サトノダイヤモンドはデビュー以来、初めて1番人気を譲ったが(2番人気)、直線では力強く抜け出して、馬群を割ってきた3番人気マカヒキと壮絶な追い比べを披露した。どちらも33秒台前半の上がりを駆使して、そのまま馬体を並べてゴール。しかし、ほんの少しの差でマカヒキに軍配が上がり、サトノダイヤモンドはビッグタイトルを逃したのである。

 その雪辱を晴らすため、サトノダイヤモンドは今秋、GI菊花賞(京都・芝3000m)で初の戴冠を目指すという。そんな中、実は同馬の妹がデビューを控えた2歳馬の中にいる。リナーテ(牝2歳/父ステイゴールド)である。

 早々に注目を集めていた兄と同様、妹も生まれてまもなく、スタッフの目を引く存在となっていた。リナーテの育成を行なったノーザンファーム早来の村上隆博氏は、春の取材でこんな感触を述べていた。

「バランスのとれた好馬体で、スラっとした印象を受けますね。調教をしてみると、動きは柔らかく、跳びが大きいです。綺麗な走りをしますし、いい動きですね。秋のデビューを本線に、無理せずペースを上げています」

 兄サトノダイヤモンドの父はディープインパクトだが、妹リナーテの父はステイゴールドとなる。近年では、オルフェーヴル(三冠を含めてGI6勝)やゴールドシップ(GI6勝)といった荒々しい気性の大物を送り出している種牡馬だ。

 父が変わったことで、リナーテにも兄とは違った一面が見えるようだ。村上氏が続ける。

「サトノダイヤモンドに比べると、ステイゴールド産駒らしい気の強さがありますよね。そこを考えながら、調教を進められればと思います。ここにきて馬はすごく良化しているので、さらに体に幅が出れば、いい結果を出せるのではないでしょうか」

 リナーテを管理するのは、須貝尚介厩舎(栗東トレセン/滋賀県)。すでにゲート試験に合格しており、デビューに向けて順調に準備は進んでいるようだ。

 性別が異なることから兄とは舞台が変わるが、兄と同じく来春のクラシックで注目を集める逸材であることは間違いない。同世代の牝馬の頂点を目指し、リナーテの挑戦がまもなく始まる。

河合力●文 text by Kawai Chikara