■「夏競馬」珍道中〜西日本編(7)

 西日本を巡る夏競馬の「旅打ち」は、第2ラウンドの小倉競馬。まだまだお昼過ぎだというのに、一発目の勝負で的中し、場内の特設バーですっかりほろ酔い気分になっていた。

 次なる勝負は、第6レースの3歳未勝利戦(芝2000m)。人気は、デビュー以来3戦していずれも3着以内の7番ムーチャスエルテと、近走の内容に安定感のある17番ゴールドラッシュ。ムーチャスエルテは初距離という不安を抱えるが、片やゴールドラッシュはこの距離ですでに3着が2回ある。配当的にもこちらのほうに妙味があるので、ゴールドラッシュを軸にした。

 馬券は、ゴールドラッシュからの馬連複。相手は、ムーチャスエルテを厚めにして、芝2000m戦で3着が3回ある16番ナムラルパン、持ちタイムは悪くない9番メイショウメリリー、そして前走は馬場悪化に泣いた12番テーオーピコタンの4頭にながすことに決めた。

「さ〜て、馬券を買いに行こうか」

 そう思った瞬間だった。

 プルルルル〜。

「ただいま、小倉競馬第6レースを締め切りました」

 お馴染みのベルと案内放送が場内に響いた――まさかの、買い漏らしである。ほろ酔いで、締め切り時間まで忘れていた。

「まあでも、人気サイドで決まったら、そんなに儲からないし、余計な出費がなくていいか」と思っていた。が、ゴールドラッシュが抜け出したところに、大外からメイショウメリリーが強襲して快勝。なんとメイショウメリリーは15番人気で、2頭の馬連複の配当は2万6220円という超万馬券に!

 逃がした魚は大きかった......。こういうことがあると、得てして調子が悪くなるものだが、このあと、まさにそのとおりの展開となった。

 第7レースは本命にした2番人気の7番スマートノエルが勝つも、2着馬を買えずハズレ。障害重賞の小倉サマージャンプが行なわれた第8レースも、軸にすべき馬をヒモに回してしまい、75倍強の3連複をまんまと逃した。

「これは、マズい流れだ......」

 そう思って、第9レースはひと呼吸置くために見送った。しかし、競馬をやっている方なら、よくわかるはずである。一度悪い流れにはまったら、そこから脱出するのは極めて困難だということを......。

 第10レースは、不知火特別。芝1800mのハンデ戦である。ここはグリグリの人気でも、「4番テーオービッグバンで間違いないでしょう!」とガツンッと突っ込んだら、5着惨敗。さらに、同時開催の新潟競馬第10レースにまで手を出すと、今度は人気馬を嫌ったことによって馬券が紙くずと化した。

 酔いはすっかりさめたが、もはや冷静な状況ではいられなくなっている。同じく同時開催の札幌競馬のレースまで買い漁るも、狙いとは逆の結果ばかり。小倉の第11レースで、5番グレナディアーズとどちらか悩んだ末に切った8番サンライズホームが、早め先頭から押し切ったときにはヒザから崩れ落ちた。

 肝心のグレナディアーズは6着。しかも、ワシの手元にはなんで買ったのかわからない間違い馬券まであって、紙くずだけがどんどん増えていった。

 悲惨な結果を迎えようとしている「旅打ち」第2ラウンドの小倉競馬。最終の第12レースは、500万条件のダート1000mだった。「気を取り直そう」と自らに言い聞かせて、まずは競馬新聞を隅々まで読んだ。

 そこから導き出した本命は、減量騎手を起用し、逃げる気まんまんの12番メイショウボノム。7番人気と、一発逆転を狙うには十分の馬だ。同馬の単勝に複勝、さらに同馬から馬連複で人気馬3頭、人気薄2頭、計5頭にながした。

 レースは、メイショウボノムがもう1頭の逃げ馬とガンガンやり合って、序盤からハイペースとなった。そうなると、メイショウボノムはさすがに苦しい。結局、ゴール前で脚色が鈍って、2頭にかわされて3着。複勝は得たものの、今日1日の負け分を回収するまでにはとても至らなかった。ドラクエで言えば、ベホマまでいかず、ホイミくらいのヒットポイントを取り戻した程度だ。

 何にしても、負けは負け。土用の丑の日だというのにウナギは食えず、ウナギの寝床のようなカプセルホテルで寂しい夜を過ごした。

(つづく)

土屋真光●旅人 Traveler&text by Tsuchiya Masamitsu