厳選!2歳馬情報局(2016年版)
第11回:シロニイ

 競走馬として生きる以上、自らの"走り"でファンを魅了するのが、サラブレッドの宿命と言える。とはいえ、個性豊かな馬たちの中には、その印象的な"見た目"で人々の心をつかむケースもある。

 今年の2歳馬の中にも、そういった"個性派"になり得る逸材がいる。シロニイ(牡2歳/父キングカメハメハ)である。

 シロニイの"見た目"における最大の特徴は、真っ白な馬体。サラブレッドとしては非常に珍しい白毛の持ち主だ。

 競馬ファンにはよく知られていることだが、シロニイはまさしく「白毛ファミリー」の1頭。母シラユキヒメが白毛なら、その子であるユキチャン(牝/父クロフネ)やマシュマロ(牝/父クロフネ)、マーブルケーキ(牝5歳/キングカメハメハ)、ブチコ(牝4歳/父キングカメハメハ)など、兄姉のほとんどが白毛馬である。

 シロニイの見た目における特徴はそれだけではない。通常、馬の目は全体がほぼ黒に見えるが、同馬の右目は中心のみが黒い。その周りは薄い青色で覆われている。

 これは「魚目(さめ)」と呼ばれる珍しいもので、見た目のインパクトは相当なものだろう。ちなみに、視力に問題はなく、競走能力への影響もないという。

 さて、常に見た目ばかりが大きな話題となるこのファミリー。しかし、その"走り"のレベルも決して低くはなく、注目に値する。

 姉のユキチャンは、地方競馬の交流重賞を3勝した活躍馬。ブチコもこれまでにダートで4勝を挙げ、GIIIユニコーンS(東京・ダート1600m)では牡馬相手に逃げて5着と奮闘した。ダート戦線では、トップレベルで活躍している。

 そんな兄姉に追随するかのように、シロニイも素質の高さをうかがわせる動きをデビュー前から見せているようだ。同馬の育成を担当したノーザンファーム空港の細田誠二氏は、春先の取材の際にこう語っていた。

「シロニイは前向きさがあって、脚元も丈夫です。育成ではバリバリと調教をこなしています。最初のダッシュ力もあって、スピードよくビュンといけるタイプ。この感じなら、2歳の早い時期からでも楽しみなレースを見せられるのではないでしょうか」

 先に触れたとおり、ダートでの活躍が多いファミリーだが、シロニイについては芝での好走も期待できるようだ。細田氏が続ける。

「かき込むような走りが特徴なんですが、個人的には芝でもいけそうな感じがありますね。性格もおとなしくて、乗りやすいです。それでいて、(気合いをつけると)ガツンとスイッチが入るのがいいですね」

 現在、シロニイは所属する池江泰寿厩舎(栗東トレセン/滋賀県)に入厩して、調整を重ねている。順調にいけば、9月4日まで開催されている小倉でデビューする可能性もあり、その場合は芝でのレースとなる見込みだ。

 見た目から名前まで、文字どおりユニークな個性を持ったシロニイ。多くのファン、そしてメディアも、そのデビューを心待ちにしているはずだ。そこでもし、華々しく初陣を飾ることになれば、世間一般にも知られる大きなニュースになるに違いない。

河合力●文 text by Kawai Chikara