『ブラジル』という看板に、日本はおののいていたね。攻守両面で、組織が機能していなかったよ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト特派)

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 7月30日(現地)の国際親善試合、ブラジル対日本戦には、本当にがっかりしたよ。思ったよりも、ブラジルと日本の差が出たし、まるで大人と子どもだった。
 
 日本は自陣に引くばかりでボールを奪いに行かず、球際への意識も低かった。受け身に回る形で、ブラジルに好き放題やられたね。
 
 全員が引き、自陣エリア付近で寄せるだけ。ワンツーやドリブルで打開されたが、それでも辛うじて失点にならない時間が続き、「守れている」という意識だったのだろう。
 
 2失点で終わったのは、日本に多少の運があったからだし、ブラジルが本気を出していなかったからだ。日本の良いところを探そうとしたけど、何ひとつないよ。
 
 守備からカウンターを狙うのはいい。だけど、ボールを奪う意識があれだけ低いと、失点は時間の問題に決まっている。それを考えると、ゲームプランがまったく見えなかった。
 
 サイド攻撃は数えるほどで、相手のミスによるカウンターしかチャンスがなかった。南野はどこにいたのか分からず、2ボランチもさして効いていなかった。
 
 オーバーエイジの3人(興梠、藤春、塩谷)もぱっとしなかったね。興梠はシュート0本に終わったし、塩谷はPKになりかけた対応があった。
 
『ブラジル』という看板に、日本はおののいていたね。攻守両面で、組織が機能していなかったよ。
 
 
 選手たちのコメントのなかに、「後半のほうが良かった」という声もあった。ただ、後半のことなんかどうでもいいんだ。ブラジルは前半がベストメンバーで、後半はチームが別ものだったのだから。
 
 それに「後半のほうが良かった」という言葉を額面どおりに受け取れば、オーバーエイジは不要ということになるよ。
 
 興梠は「今日の試合が大事だったわけではない」と言ったらしいけど、じゃあなんでブラジル戦をやったのか。
 
 せっかくブラジルはベストメンバーが先発したのに、「今日の試合が大事だったわけではない」って、まったく失礼な話だよ。いつから興梠はそんな偉そうなことを言えるようになったの? ブラジルと対戦できる機会なんて、そうそうないんだよ。
 
 一番がっかりしたのは、リオ五輪の出場権利がないサポートメンバーを、わざわざこのブラジル戦で起用したこと。もう2020年の東京五輪に向けて強化しているのかな。だっら、全員U-19代表の選手でやれば良かったんじゃない。
 
 直前合宿地のアラカジュからブラジル戦の会場ゴイアニアまで、約1500キロもわざわざ移動したのに、何しに行ったのか。
 
 この試合の意味は何? なんでこの試合を組んだの? リオ五輪の出場権利がないサポートメンバーを使う意味は? リオ五輪メンバーの疲労や怪我を考慮したの? 
 
 万全の準備ができているなら、それでもいい。でも、あの試合内容を見る限り、準備不足は歴然だよね。それに久保の合流も遅れているわけでしょ。もっとテストするべきことは絶対にあったよ。
 
 良いマッチメイクをしても、サポートメンバーを起用するぐらいなら、この試合の意味なんてなかったんじゃない。ブラジル3、4部のチームと練習試合をして調整しても同じことだった気もするよ。
 
 ブラジルの監督は、日本について「ディフェンシブすぎるチーム」と評していたけれど、ブラジルにとっては参考にならない試合だっただろうね。
 
 
 それから気になったのは、「良い経験だった」と語っていた日本の選手がいたこと。これは年齢を問わずだけど、日本人は引退するまで同じようなことを言うんだろうね。