厳選!2歳馬情報局(2016年版)
第10回:フローレスマジック

 まさに夏真っ盛りといった灼熱の暑さの中で行なわれる新潟開催。過去にはこの舞台でキャリアのスタートを切り、そのままGI馬へと上り詰めた馬も少なくない。近年では、オルフェーヴル(三冠を含むGI通算6勝。凱旋門賞2年連続2着)や、ジャスタウェイ(海外GIドバイデューティフリーを含めGI3勝)などが新潟でデビューして、その後、歴史にその名を刻む名馬となった。

 今年の2歳世代からも、将来を嘱望される素質馬が新潟でデビューを迎えようとしている。フローレスマジック(牝2歳/父ディープインパクト)である。8月14日の2歳新馬(新潟・芝1600m)で初陣を飾る予定だ。

 同馬が注目されるのは、兄姉に活躍馬が名を連ねるからだ。

 4歳上の姉は、2014年のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制したラキシス(父ディープインパクト)。昨年のGII大阪杯(阪神・芝2000m)では、キズナやスピルバーグなど、牡馬一線級をなぎ倒している。

 また、3歳上の兄サトノアラジン(牡5歳/父ディープインパクト)は、今年のGII京王杯スプリングC(東京・芝1400m)の勝ち馬。その他、マイルGIでも好走を繰り返している。

 フローレスマジックの注目度が高いのは、こうした血統背景だけでなく、育成に携わったスタッフからもポジティブなコメントが聞かれるからだ。同馬の育成を担当したノーザンファーム空港の飯野義勝氏は、4月の時点でこう評していた。

「予想以上の成長を遂げた1頭で、雰囲気のある馬です。久々にこういう馬が"来たな"と感じますね。馬体にはまとまりがあって、柔らかさも十分。力をギューと溜め込むタイプで、弾けるような末脚を使えるのではないでしょうか」

 馬体を見る限りは、「ラキシスよりもサトノアラジン寄り」と同氏は話す。そして、この馬に対する高評価は、実際の走りを見ても揺るぎないという。飯野氏が続ける。

「軽く走っているつもりでもスピードが出ますし、加速する際もバランスを損なわず、スーッとギアを上げていけます。関節の可動域がとても広くて、フットワークがいいんですね」

 フローレスマジックは、所属する木村哲也厩舎(美浦トレセン/茨城県)に入厩。このままデビューへ向けて最終調整が進められていく。

 スタッフも力を込める素質の持ち主は、夏の新潟でどんなパフォーマンスを見せるのか。暑さを吹き飛ばすような快走を披露してくれることを期待したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara