(写真:AP/AFLO)
3000本安打へのカウントダウンが始まった7月、周囲のヒートアップとは裏腹に、先発出場の機会が減ったイチロー(42)。ただ、これにはあるチーム事情が関係していた。

「主砲のスタントンが復帰して、外野3つのポジションが埋まったこと。また、チームが首位のナショナルズとの差をつめはじめたことから、どうしても出場機会が減っている」(現地記者)

だが当の本人は、そうした喧騒を楽しんでいる節がある。22日(日本時間)、4試合ぶりに先発出場して2安打、金字塔まで4本としたときのことだった。

「僕が(50歳まで)あと7年間プレーすることになると、ドニー(マッティングリー監督)が話していたらしいね。7年あれば4本は打てるでしょう」

パンチのきいたジョーク。今もっともコメントの取りにくい選手だけに、報道陣も驚いた。だがかつては、サービス精神旺盛なコメントはしょっちゅう。

1994年6月、本誌は打率が4割を超え、日本球界でいちばんホットだったイチローを初取材。「趣味は盆栽と金魚」の真相を確かめるものだった。

「冗談でプロフィルの欄に書いたんですけどね。趣味は音楽なんて書いたっておもしろくないでしょ(笑)。でも、本当に2つとも好きなんですよ。ファンにもらった盆栽を置いていたんだけど、遠征中に枯らしてしまって。魚はランチュウ。あのボコボコの顔がたまらなく可愛いよね。本当の趣味? ラップとメジャーの選手カード集めかな」

当時は、メジャーやNBAの選手カードなどグッズの収集に熱中。お宝は9万円で買ったユーイングの名前入り革ジャンだった。

さらにその3年後、趣味は記念硬貨集めに変わっていた。いちばんのお宝は、「昭和天皇の在位60周年記念の10万円硬貨」とのこと。高倍率の金貨を親戚の銀行員に頼んでゲットしたという。

20日、MLB公式サイトが、興味深いコメントを発信した。

「P・ローズを日米通算安打で抜いたことは忘れよう。無意味な比較だ。だが、イチローは疑いもなくメジャーにおける殿堂入り選手だ」と、引退後の名誉は確約されていると断定したのだ。

22年前、「金魚と盆栽」を前に微笑んでいた20歳の青年は、全米でもっともホットな男となった。
(週刊FLASH 2016年8月9日号)